働かないオジサンの給料はなぜ高いのか
楠木新 新潮社
私は定年間近のサラリーマンである。いわゆる「働かないオジサン世代」といえよう。私自身が「働かないオジサン」に該当するのか否かは本人が判断できることではないが、少なくとも残業を殆どしないし、有給休暇も可能な限り取得するようにしている。そういった意味では、若手や他の社員から「働かないオジサン」認定されている可能性は大いにある。
本書は「働かないオジサンの給料はなぜ高いのか」というタイトルで、日本型人事制度のカラクリとその中でどのように振舞えば良いかについて筆者なりの考え方を記したものである。人事に関する話は概ね首肯できる内容であったし、私自身のサラリーマン生活を振り返っても納得できるものであった。
筆者は言う。雇用契約とは本来労働者側の労働提供と雇用者側の給与及び福利厚生の提供からなる筈である。しかし日本ではそう考えられておらず、会社というメンバーシップへの所属と見る向きが強いと筆者は言う。例えば、業務時間外でのイベント参加や宴会等。私自身について言えばこの種のイベントには極力参加しないようにしているが、完全に断れるものでもなく、泣く泣く参加することもある。この種の「日本的な」イベントはさっさとなくなってほしい所だが、今の所消滅する気配はない。
とはいえ、上記のような日本型契約形態は急速に変化しつつあると私自身は思っている。今や終身雇用が崩壊し、成果主義が広く導入されると、日本型メンバーシップ契約形態は急速に崩壊するであろう。既に「社員旅行」という言葉が死語になりつつある現在、「飲み会」という言葉が死語になる日も近いのではないか。
お奨め度★★★★
働かないオジサンの給料はなぜ高いのか―人事評価の真実―(新潮新書)
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