BaptsimByFire表紙

「Baptism by Fire」(以下、本作)は、2017年に米国MMP社が発表したシミュレーション・ウォーゲームである。本作のテーマは1943年2月の北アフリカ・チュニジア戦線。いわゆるカセリーヌ峠の戦いである。
本作はBCSシリーズの1作である。BCSとは、Battalion Combat Seriesの略称で、大隊規模ユニット同士の戦闘を描いたシリーズである。BCSシリーズの基本システムについては、 過去の記事 を参照されたい。

今回は、本作の中からキャンペーンシナリオである5.1 Kasserine Campaignをプレイした。私は枢軸軍を担当した。

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6Turn(43/02/19)

ロンメルが戦場に帰ってきた。ロンメルはドイツ・イタリア軍の3個部隊(第10装甲師団、第21装甲師団、その他)のいずれか1つに付けることができる。ロンメルの指揮を受けた部隊は、SNAFUロールと第2活性化の際、有利なダイス修正を得る。今回は第10装甲師団にロンメルをつけた。

もう1つ。このTurnに重要なイベントがある。それは勝利条件の決定だ。ドイツ軍は2枚の勝利条件チットの中から1枚を引き、ロンメルプランかアルニムプランのどちらが選ばれたかを決定する。ロンメルプランの場合はカセリーヌ峠を突破してその北側に進出することが勝利条件になるし、アルニムプランの場合はシビバ峠の突破が重要になる。ちなみに史実では折衷案が選ばれたのだが、本作では折衷案は再現されていない。
ドイツ軍が引いたのは「ロンメルプラン」。従ってロンメル将軍が果たせなかった夢を目指すこととなった。

ロンメルプランということは、まずカセリーヌ峠を突破しなければならない。しかしカセリーヌ峠の前面には地雷原が敷き詰められている。まずはその地雷原を排除しなければならない。DAKに所属する歩兵部隊が地雷原に足を踏み入れてその排除にかかる。

一方、スベイトラの向こう側では、なおも米第1機甲師団のCCAが抵抗を続けている。ドイツ第10装甲師団がそれに猛攻を加え、ようやくそれを撃破した。これによりカセリーヌ峠とスベイトラの間の進撃路が確保され、ドイツ軍はいよいよカセリーヌ峠攻撃に本腰を入れることになる。

7Turn(43/02/20)

ドイツ軍はカセリーヌ峠に対する攻撃準備に入った。DAKと第10装甲師団がカセリーヌ峠に近づく。米軍も激しく抵抗してきた。両軍の砲兵が火を噴く。そしてドイツ軍の戦車と歩兵がカセリーヌ峠に攻撃を加えていく。DAKと第10装甲師団が峠を守る米軍と砲火を交える。

写真07


8Turn(43/02/21)

いよいよカセリーヌ峠に総攻撃を加えるという時、虎の子ティーガー重戦車部隊は米軍の砲撃を受けて消し飛んでしまう。重戦車大隊と雖も砲爆撃に対する抵抗力は他の戦車部隊と同じなので、6の目が出れば消し飛んでしまう。しかもティーガー大隊は保有ステップが1なので、1発食らっただけでお陀仏。さらに言えば、ティーガー大隊は補充による復活が効かない。文字通り「オンリーワン」なのだ。
ティーガー大隊を失って意気消沈のドイツ軍だったが、諦めるのはまだ早い。カセリーヌ峠に取りついたDAKがいよいよ地雷原を抜けて峠を守る米軍部隊に総攻撃を加える。カセリーヌ峠を守っていたのは、米第1機甲師団のCCC(C戦闘団)。しかし歴戦のドイツ軍に敵うはずもなく、米軍は一蹴されてしまう。カセリーヌ峠を占領したドイツ軍は、いよいよテベッサへ向けた進撃路を開きつつあった。

写真08


9Turn(43/02/22)

米軍を撃破して、後はターラ、ハイドラ経由でテベッサへ向かうだけのドイツ軍の前に米第1歩兵師団の部隊が立ちふさがる。戦車兵力で優越するドイツ軍は米軍部隊に猛攻を加えるが、米軍もここでは一歩も引かない。ターラ前面で進撃を止めらてしまうドイツ軍。これじゃ史実通りやんけ、と思ったが、実はターラまでまだ20Hex近く距離があり、史実よりも全然ダメなドイツ・イタリア軍であった。

またシビバ峠方面では、イギリス近衛第1機甲師団を主力とする米英軍が反撃を仕掛けてきた。スベイトラ北方では、ドイツ軍第21装甲師団と第10装甲師団のGerhdt戦闘団からなる部隊が米英軍の進撃に立ちふさがる。

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感想

あと1Turnでゲーム終了という状況であったが、時間の関係でこの時点でゲーム終了とした。ここまでのプレイ時間はセットアップを含めて約8時間である。慣れれば1日で十分にプレイ可能なレベルであると感じた。

ちなみに勝利条件について考察してみると、ドイツ・イタリア軍が勝利するためには、勝利条件ヘクスを9ヶ所以上占領する必要がある。8ヶ所なら引き分け、7ヶ所以下なら敗北だ。ちなみに勝利条件ヘクスの位置は、ドイツ軍が引いて来た勝利条件プランの内容によって変化する。
第9Turn終了時点でドイツ・イタリア軍が確保したVPヘクスは計5ヶ所。勝つためにはあと4ヶ所、せめて負けないためにはあと3ヶ所を奪う必要があるのだが、これが結構厳しい。ターラを占領し、その進撃途中の集落を占領しても+2VP。Dar Frikatの集落を占領して+1VPなので、これで漸く引き分けに持ち込める。しかし米英軍の抵抗も益々激しくなるのに、この勝利条件を達成するのは中々難しい。少なくともあと1Turnの持ち時間で勝利条件を達成するのは相当難しそうだ。

史実と比較すると、ドイツ軍がカセリーヌ峠に総攻撃を開始したのが2月19日となっているので、ゲームで言えば第6Turnだ。今回のプレイでは総攻撃開始が第7Turnだったので、1Turnほど遅かった計算になる。序盤にスベイトラ前面で攻撃に逡巡したことと、DAKがカセリーヌ前面で右往左往したのが攻勢の遅れた原因であった。結果論になるが、遅くとも第4Turn頃にはスベイトラを占領し、カセリーヌへの道を切り開くべきであった。つくづく序盤の下手なプレイが悔やまれる。

とまあ、プレイ自体は不満の残る展開であったが、ゲーム自体は面白かった。マップ2枚という見た目の「巨大さ」に似合わず1日で完遂できるプレイアビリティの高さが良い。 以前にプレイしたArracourt に比べても駒数はさほど多くなく、またマップが広いので豪快な機動が楽しめる。やはりBCSは広いマップでプレイした方が楽しいな、と、思った次第。

今回はプレイに不満が残ったので、是非再戦の機会を見つけて、もう少しマシなプレイをしてみたいと思う。

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