日本アニメの革新
氷川竜介 角川新書
アニメと言えば、今から50年ほど前までは「子供が見るもの」「小学校高学年になって卒業するもの」というのが世間の認識であった。しかし「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」の大ヒットによってアニメは「子供でも大人でも見るもの」というのが世間の認識となり、ジブリアニメやエヴァンゲリオン、新海誠作品によって日本製アニメ作品は世界でも認められるようになってきた。本書はそのような日本製アニメ作品の系譜をいくつかの作品を軸として論じるものである。
本書が取り上げている作品は、鉄腕アトム、宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダム、風の谷のナウシカ、AKIRA、攻殻機動隊、新世紀エヴァンゲリオン、君の名は、などである。他にもいくつかの作品が登場するがここでは省略しよう。ちなみに私(評者)はこれらの作品のすべてを通暁している訳ではないので念のため(さすがにアトムは知らんわ)。
筆者はこれらの作品を取り上げ、これらの作品がなぜアニメ史上で革新的であったのか、これらの作品がそれ以前の作品群と何が異なっているのか、そしてこれらの作品以降アニメはどのように変化したかについて、実例を挙げて論じている。アニメの技術的な面などは余程のアニメーションマニアか、その業界人しか理解できないであろう部分もあったが、それ以外のストーリーやマーケット手法、世間の捉え方なの解説は概ね首肯できた。
日本のアニメ史に興味がある向きには、一読して損はないと思う。
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