North Africa'41(以下、本作)は、2023年に米国GMT社から出版されたシミュレーション・ウォーゲームである。テーマは、WW2の北アフリカ戦線で、1Turn=半月、1Hex=8マイル、1ユニット=大隊~旅団のスケールで描いている。
今回、本作のシナリオである「クルセーダー作戦」をプレイしてみた。このシナリオは17Turn(1941年11月後半)~19Turn(12月後半)までの計3Turnを描くシナリオである。
前回までの展開は --> こちら
第2回戦
言葉が出ないほどの大敗にプライドを打ちのめされた筆者であったが、残酷なことにまだ昼過ぎ。ゲーム会を切り上げて帰宅するには時間があり過ぎた。そこで筆者は立場を変えてプレイすることを申し入れ、相手プレイヤーにも了承を得た。そして今回は筆者がロンメルになって英軍のクルセーダー作戦を迎えうつ。立場が変わると見える景色も変わってくる。先ほどまで無敵に見えていたドイツ軍装甲師団だが、いざ自軍側になってみると今度は補給ポイントの不足が気になってくる。イタリア軍との連携攻撃に関する制約も厄介といえば厄介。いやー、「七分三分の兼ね合い」とはよく言ったものだ。
英軍プレイヤーは、先ほどのこちら側の失敗を見ているので、ハルファヤ峠に対しては攻撃を行わず、ドイツ軍の偵察部隊に対して攻撃を仕掛けてきた。このゲーム、偵察部隊はD1とDSの結果を食らってもステップロスを無視して後退できる。従って最前線や側面防御に最適の部隊であった。前回のプレイでは、偵察部隊を上手に使うことができなかったので、その点も反省点である。
教訓:偵察部隊を上手く活用すべし
英軍は砂漠の西側を迂回して攻撃を実施。トブルクに対する直接攻撃を狙ってきた。筆者から見ると「英軍は危険なドッグファイトを挑んできた」ようにも見えるのだが、果たして・・・。
当然ドイツ側も反撃を行う。装甲師団2個を投入して全力反撃。特に狙い目は英軍右翼に進出してきた歩戦連合部隊である。まずは英軍左翼に対して第21装甲師団による右フックを食らわせてこれを後退させる。そこで生じた戦線の隙間を使って狙い目の英戦車スタックを第15装甲師団が包囲攻撃を仕掛ける。マチルダ戦車を持つ強力なスタックなので砲兵を使って4:1の戦闘比で攻撃。出目6で結果はD1。複合ZOCに囲まれているので退路がなく、英軍は断固たる防御を試みるも悉く失敗。1個スタックが完全に壊滅した。
この損害はさすがの英軍プレイヤーもショックを隠し切れない様子であった。
教訓:必ず後退路は確保するべし
ちなみにこのインパルスに枢軸軍の輸送船団がイタリア本土から北アフリカに向けて出航したのだが、マルタ島を基地とする英軍部隊の攻撃を受けて、貴重な補給ポイントが海没してしまう
教訓:海上輸送はリスクを下げるために月の暗い夜(第3インパルス)を利用すべし
第2インパルス。英軍はハルファヤ峠と西方砂漠地域で攻勢を仕掛けてきた。
まずハルファヤ峠に対しては、歩兵2個師団(インドとニュージーランド)で2:1の戦闘比を達成。砲兵支援を加えて3:1の戦闘比として戦闘結果はDR2。ドイツ軍第21装甲師団所属のカンフグルッペBach(3-3-5)が断固たる防御に成功。なんとかハルファヤ峠を死守した。
西方砂漠地域では、英軍はドイツ第21装甲師団に対して反撃を行ってくる。マチルダ戦車を失った英軍はドイツ軍に対して戦車戦では不利を強いられる。しかし攻撃側の場合、戦車値で劣っていても、攻撃力が半減するだけなので致命的ではない。今回英軍は27戦力を集めて1:1の戦力比を達成。さらに砲兵支援を加えて2:1で攻撃を行ってきた。戦闘比2:1なら5/6の確率でドイツ軍に損害を強いることができるはず。悪くない賭けだ。
今回は英軍側は出目に恵まれず結果はA1。ドイツ軍は無傷であった。しかし確かに英軍側は防御に徹するのではなく、積極的に攻撃を仕掛けてドイツ軍の機先を制する必要があると感じた。
教訓:イギリス軍は、ドイツの装甲師団に対して積極的に攻撃を行うべし
イギリス軍は自軍の前面に偵察部隊を展開して本体が直接攻撃を食らわないように布陣している。この布陣は結構厄介で、ドイツ軍は反撃の機会をなかなか得られない。そこで今回は前面に展開する偵察部隊の殲滅を狙い、攻撃を展開した。AUTODSで偵察部隊を撃破した後、機動強襲で後方の英戦車スタックを攻撃。戦闘比4:1であったが、戦闘結果はA1/D1。英軍部隊を撃破したものの、ドイツ軍も1ステップを失ってしまう。こんな感じでステップを失っていくのがドイツ軍にとっては結構痛い。
何とか英軍戦車部隊2個スタックを撃破して偵察部隊を包囲し、第21装甲師団の機動強襲で偵察部隊を包囲殲滅した。しかしその後の機動強襲で第21装甲師団も1ステップを失い、結局このインパルスにドイツ装甲師団は計3ステップを失った。こうして少しずつ損害が増えてくるのが辛い辛いドイツ軍なのであった。
第3インパルス。英軍は第21装甲師団に対して攻撃を仕掛けてきた。今回の攻撃では英軍はマチルダ戦車を投入して攻撃力30を獲得。戦闘比2:1で砲兵支援と航空支援で4:1。戦闘結果はDRXで双方1ステップロス。第21装甲師団も後退を強いられてしまう。うーん、英軍はこういう戦い方があるのか・・・。
教訓:マチルダさんは強いねぇ
ドイツ軍は第15装甲師団とイタリア軍との共同攻撃で英軍の戦車部隊を攻撃する。通常、ドイツ軍とイタリア軍の共同攻撃はルール上認められていない。しかし最高司令部マーカーを使うと、ドイツ軍とイタリア軍の共同攻撃が可能になる。ちなみに最高司令部マーカーは、イベント又は資源ポイントの消費で入手可能。
今回、筆者は最高司令部マーカーを使用した。弱いイタ公のために貴重な資源ポイントと補給ポイントを消費するのはシャクだが、背に腹は代えられない。30戦闘力を集めて2:1の戦闘比とし、各種シフトで5:1とした。戦闘結果はD1を得た。さらに機動強襲で1個スタックを撃退したものの、2回目の機動強襲でEXを出してしまい1ステップを失ってしまう。
この時点で英軍も勝利条件の達成が難しいと判断。ゲーム終了となった。ちなみにこのシナリオの勝利条件は、トブルク、エルアデム、ガンブート、マトラバ、トミミの5ヶ所のうち3ヶ所を支配した側が勝利する。現時点で枢軸軍がトブルクを除く4ヶ所を支配しているので、英軍としてはあと2ヶ所を奪取する必要があるということだ。
感想
第1回目のプレイではドイツ装甲師団の破壊力に圧倒されたが、第2回目のプレイではドイツ軍にも限界があることがわかった。英軍側のプレイは結構難しいとは思うが、ミスをしないように心がければ、何とか枢軸軍と対等に戦えるような気がする。勝てるかどうかはビミョーだけどね。今回はそれぞれ1Turnずつプレイし、所要時間は2~3時間であった。キャンペーンシナリオは計19Turnからなるので、単純計算ならキャンペーンシナリオの所要時間は約50時間となる。まあ実際には補給物資の関係上大攻勢を行う機会は限られてくるので、プレイ時間はもっと短いだろう。2日間では無理としても、3日間、20時間ぐらいかければキャンペーンシナリオもプレイできそうな気がする。機会があればキャンペーンシナリオにも挑戦してみたい。
いずれにしても本作は良く練られた作品であり、挑戦し甲斐のある作品だと思う。
North Africa '41(GMT Games)
NO RETREAT 2(ノー・リトリート 2)完全日本語版
Valentine Infantry Tank vs Panzer III: North Africa 1941–43 (Duel Book 132) (English Edition)
「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨 (角川新書)
ロンメルとアフリカ軍団戦場写真集
リンク
コメント