Sta42Ex表紙


Stalingrad'42(以下、本作)は、2019年に米国GMT社が出版したシミュレーション・ウォーゲームである。本作のテーマは1942年夏から秋にかけて行われた青作戦とスターリングラード攻防戦、そしてウラヌス作戦までを扱っている。1Turnは実際の3~7日間、1Hexが10マイル、1ユニットが連隊~機械化軍団に相当する(基本は師団~機械化軍団)。

今回プレイしたのは、Expansionは、2022年に発売された追加キットで、1942年12月から始まったリトルサターン作戦とそれに続く冬嵐作戦、スターリングラード陥落を扱う。新たなルール、ユニット、シナリオが追加されている。このシナリオは1942年12月14日から翌年2月5日までの約2ヶ月間を計12Turnで描いている。史実において、スターリングラードでの第6軍降伏が1943年1月31日なので、このシナリオはスターリングラード陥落までの時期を描いている。

今回、私はロシア軍を担当した。



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34Turn(42/12/14-18)

赤軍Turn

まずは戦線北方。ヴォロネジの西隣では、ドン川西岸地区でドイツ軍陣地帯を攻撃。3-1攻撃でドイツ軍の陣地帯を突破した

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RU_1Gd_003その南、ドン川が湾曲したヴェルキニー・マロン(Verkhniy Mamon,3213)の南でソ連第1親衛軍がドイツ・ルーマニア軍のスタックを攻撃。2-1の戦闘比を砲兵支援で4:1まで引き上げ、さらに計画攻撃でダイス2個ぶりをしたが、出目が両方2というショボさ。ドイツ軍も断固たる防御を試みたが失敗。ロシア軍が辛うじて突破に成功した。

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その東、ヴォンセンスカヤ(Vyoshenskaya,4016)付近でソ連第1機械化軍団(9-8-6)を主力とする部隊がルーマニア軍3個師団からなるスタックを攻撃。出目が1で最低であったが、辛うじてルーマニア軍を後退させることに成功した。

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スターリングラード西方ではピトムニク飛行場の西側を守るドイツ軍に対してロシア軍は2ヶ所で攻撃を実施。そのうちの1ヶ所でドイツ軍を後退させることに成功した。飛行場まであと1Hexに迫る。

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コーカサス方面での反撃は、黒海沿岸ツアプセ(Tuapse,2957)付近での攻撃に成功してドイツ軍を後退せしめた。

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枢軸軍Turn

全戦線で反撃を開始したロシア軍だが、ドイツ軍の反応は素早かった。

まず北方ヴォロネジ付近。ドン川西岸を突破してヴォロネジの包囲を図るロシア軍に対し、ドイツ軍は歩兵4個師団で反撃を開始する。戦闘比2-1の攻撃で結果はDR2。赤軍の「断固たる防御」が成功したため進展なし。

GE_11Pz_766スターリングラード西方のSurovikino付近では、ソ連第5打撃軍に対し、ドイツ軍が第11装甲師団、第17装甲師団等で反撃を実施。戦闘比3:1の攻撃だったが、ダイス目がまさかの"1"(EX)。マンシュタイン将軍効果(ダイス振り直し)によって再びダイスを振るが、ダイス目はまさかの連続"1"。ドイツ軍による乾坤一擲の反撃は失敗に終わる。

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GE_6Pz_1086スターリングランド南方では、コテルニコヴォ(Kotelnikovo,4930)を進発したドイツ軍装甲2個師団(第6、第23)が、スターリングラードで包囲されている第6軍を解放すべく「冬嵐作戦」を開始する。3:1攻撃でソ連第13機械化軍団を撃破し突破口を啓開したものの、その後の機動襲撃で2:1攻撃に失敗(出目1でA1)し、虎の子装甲師団がステップロスする。わははは。

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35Turn(42/12/19-24)

赤軍Turn

天候が雪になった。雪の効果は移動力1減、戦闘後前進1Hex減である。移動力はとにかく、戦闘後前進の減少は痛い。枢軸同盟軍の脆弱な防衛線を突破して、一気にロストフまで突進したかったのだが・・・。
無論悪いことばかりではない。降雪時にはスターリングラードで包囲されているドイツ軍の損耗チェックに不利なダイス修正が適用される。普段はピトムニク飛行場からの空中補給によりスターリングラードで包囲されているドイツ軍は消耗する危険性はないのだが、降雪時には飛行場の効率が低下するために確率1/6でドイツ軍ユニットがステップロスするのだ。これはロシア軍にとっては好機といえる。

北方、ヴォロネジ方面では、増援の戦車軍団2個を得たロシア軍が、ヴォロネジ西方で攻撃を続行。3:1攻撃でドイツ軍歩兵部隊を撃破。ヴォロネジの背後に回り込み、同市を包囲する状況を作りつつある。

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その南方、ドン川湾曲部では、ソ連第1親衛打撃軍がドイツ・ルーマニア軍の共同スタックを4:1攻撃し、これを後退させた。

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スターリングラード方面では、スターリングラード西方でロシア軍の攻撃を行う。まず最西端部に対する2:1攻撃はA1/D1の結果を得てドイツ軍に後退をしいた(「断固たる防御」失敗)。続いて3:1攻撃でもう1ヶ所を攻撃。砲兵支援をつけて4:1とし、結果はA1/D1。ドイツ軍の「断固たる防御」はまたしても失敗。ドイツ軍はここでも後退を余儀なくされた。スターリングラードを囲む中心としたドイツ軍の占領地域は、今や残り5Hexにまで狭まった。

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コーカサス方面でもロシア軍は2ヶ所で攻撃を実行したが、大きな前進はなかった。



枢軸軍Turn

枢軸軍は早くも体制を立て直して反撃してきた。

ドン川湾曲部では、ドイツ軍とハンガリー軍の装甲部隊が中心として反撃を仕掛けてき、ロシア軍は3ヶ所で後退を余儀なくされた。

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スターリングラード南方からもドイツ軍2個装甲師団が攻撃を続行。ソ連第13機械化軍団は後退を余儀なくされ、ドイツ軍はスターリングラード市街中心部から7Hexまで迫った。

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スターリングラード市街では、ドイツ軍が消耗チェック。合計5Stepが消耗により失われた。



36Turn(42/12/24-31)

赤軍Turn

天候は晴れ。このTurnもロシア軍は各地で攻撃を行ったが、攻撃のダイスが今一つ冴えない。機動襲撃で"1"の目を出して"A1"とか、3:1攻撃で1を出して"EX"とかである。

RU_Chuikovそんな中、スターリングラード市街地で大きな戦果があがった。市街中央を占める1Hexで市街戦を繰り広げていたワシーリー・チュイコフ麾下のロシア軍1個軍がドイツ軍の抵抗を排除してこれを占領。スターリングラード中心部に楔を打ち込んだ。

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枢軸軍Turn

ヴォロネジを包囲せんとするロシア軍に対し、ドイツ軍第19装甲師団を主力とするドイツ、ハンガリー連合軍がヴォロネジ西方で反撃を行う。4:1攻撃で"D1"の結果を食らい、貴重な機械化部隊1ステップを失ってしまう。ドイツ軍の装甲師団はたったの1個だけなのに、しぶといぜ。

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スターリングラード南方では、これまでの2個装甲師団に加えて山岳師団1個の計3個師団でスターリングラードへ目指して攻撃を継続。赤軍のスタック2個を撃破し、スターリングラード中心部まであと5Hexと迫った。

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この時点でロシア軍の進撃はやや停滞気味。ヴォロネシ方面でも、ドン川湾曲部でも大きく前進できていない。ただしスターリングラード方面では快調に前進し、あと2~3Turnぐらいで全市を制圧できそう。スターリングラードが落ちれば兵力に余裕が生まれるので、前線の状況も改善されるだろう、と期待しておく。

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つづく




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