「太平洋戦史」(以下、本作)は、2014年に国際通信社からコマンド・マガジンの別冊として発売されたSLGである。テーマは太平洋戦争で、1941年の真珠湾攻撃から1944年末のレイテ沖海戦までを1Turn=約半年、1ユニット=主力艦1隻+随伴艦艇というスケールで描いている。
今回、この「太平洋戦史」をプレイすることとなった。陣営をダイスで決めた所、私の担当は連合軍となった。強力な日本軍の攻撃を耐えて、後半の反撃でウサを晴らすのが連合軍の楽しみとなるが、果たしてどうか・・・。
前回までの展開は --> こちらく
4Turn(1943年後半)

連合軍は資源2枚を使ってフリートトレインをラバウルに配置する。フリートトレインが置かれた基地は港湾として機能する。ラバウルに集結する米艦隊。日本軍は反撃を試みるが、「山本聯合艦隊司令長官戦史」によって日本軍の反撃を封じる。
ラバウルを基点に米艦隊はニューギニア北岸沿いに作戦線を開設し、トラック島に集結する日本艦隊を横目に見ながらフィリピンに侵攻する。軽空母と戦艦を中心とする艦隊がフィリピンに殺到し、微弱な日本軍の提供を排除してフィリピンに拠点を築く。
[US_CVエセックス]ラバウルに残っていた高速空母と高速戦艦からなる機動部隊がトラック島を空襲。トラックを守る日本艦隊と決戦を行う。「マリアナの七面鳥撃ち」で日本機を迎え撃ったが、それでも正規空母2隻が日本機の攻撃によって撃破された。さらにトラック近海では日米の戦艦同士が初めて激突。重巡部隊が戦艦「大和」「武蔵」を主力とする戦艦部隊と戦った。しかしさすがにこれは無謀であり、重巡4隻が犠牲になった。その後の空襲で「大和」を除く日本艦隊は全滅。「大和」は僅か1隻で日本本土へ向けて撤退していった。
トラック島とフィリピンには連合軍の基地航空部隊が進出し、日本軍の反撃を封じる。既に日本の空母戦力は絶無なので、基地航空隊が守る拠点を日本軍が取り返すのは事実上不可能なのだ。
Turn終了時に初めて連合軍がVPで優位に立った。港湾によるVPは日本軍が8VPで連合軍が12VPなので-4VP。さらに獲得した基地の数で連合軍が優位に立っているので-1VP。累積VPが日本軍1VPになった。これで両陣営ともサドンデスはなし。勝負は最終Turnにもつれ込むことになる。
5Turn(1944年)

ちなみに現時点での戦略的状況を確認しておく。
勝利条件は累積VPが連合軍+5で連合軍の勝利、それ以外は日本軍の勝利となる。現時点での累積VPは日本軍+1。このまま状況が変化しないままTurnが終了すると、連合軍側は5VPを獲得するので、累積VPが連合軍+4となり、ギリギリで日本軍の勝利となる。逆に言えば、連合軍はどこかの日本軍港湾を占領又は無力化すれば勝利できる。現時点での戦力バランスから言えば、連合軍が港湾1つを占領するのは容易な技に見える。が、何故か日本軍プレイヤーは不敵な笑みを浮かべている。これはいったい・・・・。
日本軍の態度に不安を覚える連合軍プレイヤー(筆者)であったが、冷静に考えて日本軍に何かできる力があるとは思えない。まずは日本本土に残る空母群を撃破し、「片手で対処できる」状況を作っておくことにする。
軽空母を主力とする艦隊がマリアナ諸島に進出し、日本軍を撃破。マリアナ諸島を制圧して日本本土へ向かう進撃路を確保する。続いて大型高速空母11隻、新鋭高速戦艦4隻を主力とする米第58機動部隊が日本本土目指して進撃する。
日本本土を守る日本艦隊は、先に述べた空母8隻の他、巨大戦艦「大和」「武蔵」と伊勢型、山城型の旧式戦艦と重巡部隊である。航空戦力で圧倒的に優位に立つ米艦隊は、まず航空攻撃で日本側の航空戦力を殲滅する。
航空戦の結果、最初の交戦で米海軍は歴戦の空母「ホーネット」が沈没、新鋭空母「フランクリン」沈没寸前の大破したが、日本海軍は「大鳳」「雲龍」「天城」が沈没。「隼鷹」が大破した。そして両軍の砲撃戦。日本軍は重巡7隻、米軍は重巡8隻が沈没又は大破した。
第2ラウンド。航空戦力で圧倒的優位に立った米海軍は、「大和」「武蔵」を除くすべての日本艦隊を撃沈破した。

制海権を確保した米海軍は、その後コロネット作戦を発動。日本本土上陸作戦を敢行し、日本本土を支配した。
Turn終了時、日本軍は3VP、連合軍は17VPを確保していた。さらに基地の数で連合軍が勝っているので連合軍1VP。その差は15VP。累積VPは連合軍の14VPとなり、連合軍の勝利が確定した。
感想

プレイしての感想だが、予想以上に面白かった。ルールがシンプルで自由度が高いので、結構ハチャメチャな展開を予想したが、意外と歴史に近い展開になるのにも驚き。日本軍がラバウルに拘った意味やなぜソロモン諸島が激戦地となったのか、あるいは北方作戦の重要性など、太平洋戦争での戦史の意味をゲームという形で理解できるのが素晴らしい。戦艦、空母が1隻単位でユニット化されているのも艦船ファンにとっては嬉しい所。レーティングで一部違和感を覚えた所(例えば「大鳳」や「雲龍」がなぜ移動力2なのか、とか)や恣意的な増援スケジュール(最終Turnにまとめて登場する日本空母等)等も少し気になったが、いらぬ拘りだろう。とにかく本作が、シンプルなルールで太平洋戦争全域を見事に再現した傑作ゲームであることは間違いない所だ。
実の所、筆者はこれまで本作の人気が高いので意図的に対戦を避けて来た所があった(人気の高いゲームをプレイすると外野がウルサイのが嫌だった)。しかし今回本作をプレイしてみて、食わず嫌いに近いものであったことがわかった。機会があれば是非再戦してみたい作品である。
ちなみに、この後立場を変えて筆者が日本軍を担当してプレイしてみた。その時は連合軍の抜け目ない防御に翻弄され、戦力を消耗した所で破れかぶれでセイロン攻略を試みるも大損害を被って失敗。さらには防御の隙を突かれてボルネオを占領されたので、士気崩壊を起こして投了するという醜態を晒してしまった。トホホ。








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