Hell's Highway(以下、本作)は、1983年に米国Victory Gamesが発表したSLGである。Victory Games社が初期に出版した3部作の1つで(他の2つは、U.S. Civil WarとGulf Strike)、当時Tactics誌などでも宣伝されていた。
本作のテーマは1944年9月のマーケットガーデン作戦。9月17日からの9日間の戦いを、1ユニット=大隊、1Turn=6時間(夜間は12時間)、1Hex=1300メートルで再現する。
デザイナーは、John H. Butterfield。本作の他、Ambush!(VG/HJ)やRAF(WestEnd/HJ)、Freedom in the Galaxy(SPI/AH)等のデザイナーとしても知られている。最近の作品としては、Enemy Action Kharkov(CompassGames)、DownFall(GMT)等が有名だ。なんだかソロプレイゲームが多いなぁ。
余談だが、筆者が大学生の頃、試験勉強をしようとしてAmbush!を始めてしまい、そのまま徹夜でシナリオ1本やり遂げて、達成感一杯になって単位を落としたことは、今では良い思い出である。
ゲームシステム&シナリオ紹介
本作のシステムは基本的にシンプルである。両軍とも移動・戦闘の繰り返し。一応砲兵支援などもあるが、ルールそのものはシンプル。戦闘後前進も原則として目標Hexまでである。戦闘システムが所謂戦闘比ではなくファイアーパワーなので、防御側の防御射撃を受けた後に攻撃側が射撃するパターンである。本作で特徴的なのは、兵科マークの区分が詳細かつその意義が重要なこと。通常のゲームでは「機甲部隊」で一括りにされる戦車部隊と駆逐戦車も、本作では別扱いになっている。そして兵科の違いは防御力と移動コストに直結しており、例えば戦闘隊形の戦車部隊は悪路走破能力が極端に悪くなる。その代わり移動隊形の車両部隊は、道路沿いを移動する限り無制限に移動できる(1Turn=6時間、1Hex=1300メートルなら、自動車を使えば1Turnでマップの南北を走破することは十分可能)。もちろん敵部隊の存在によって移動は妨害されるのだが・・・。
シナリオは計3本。一番短時間で終了するのが「第30軍団の突破」シナリオで、マップの南半分を扱い、ゲームの長さは8Turn。公称プレイ時間は4時間となっている。
2番目のシナリオは「包囲軍」シナリオで、マップの北半分を扱う。英第1空挺師団と米第82空挺師団、そして途中から英第30軍団がマップ南端から登場してくる。ドイツ軍は第9,10SS装甲師団とその他の部隊が登場する。いわばマーケットガーデン作戦の主要な舞台を扱っている。シナリオの長さは26Turnで、公称プレイ時間は12時間となっている。
そして3番目のシナリオは「キャンペーン」シナリオで、全てのマップを使用し、全部隊が登場する本作のメインシナリオである。シナリオの長さは26Turnで、公称プレイ時間は25時間となっている。
なおキャンペーンシナリオは、空挺降下のパターンに従って3パターンがあり、完全なヒストリカルバージョンと、自由降下バージョン、そしてその中間バージョンがある。
今回2番目のシナリオである「包囲戦」をプレイしてみた。筆者はドイツ軍を担当する。
1Turn(44/9/17PM)
英第1空挺師団がアルンヘム西方、オーステルベーグのさらに西方に降下する。同方面を守るドイツ第16SS自動車化歩兵大隊と交戦し、これを撃破。さらに英第2空挺大隊がネーデルライン川沿いにアルンヘムを目指す。米第82空挺師団は、ナイメーヘン南東のグルースベーク付近に降下し、ナイメーヘンへ向けて進撃を開始する。さらに別の部隊がマース川沿いに降下し、要域グレーブを占領した。
奇襲を受けたドイツ軍は効果的な対応が取れなかったが、第9SS装甲師団の偵察大隊がナイメーヘンに入城した。
2Turn(44/9/17夜)
英第2空挺大隊(フロスト大隊)がアルンヘム市内に突入した。米第82空挺師団もナイメーヘン目指して前進する。ドイツ軍はアルンヘムで第9SS装甲師団が市街地の西部に展開し、アルンヘムの西方から近づく英第1空挺師団に対して阻止線を形成する。
3Turn(44/9/18AM)
天候は悪天候。このTurnに降下予定であった米英の空挺部隊は、悪天候に阻まれて降下できない。ドイツ軍は第9SS装甲師団と第10SS装甲師団の大軍がアルンヘム周辺に登場してきた。アルンヘム市街地を守る英フロスト大隊に対する攻撃を開始する。
4Turn(44/9/18PM)
天候がやや回復してきた。米英軍の空挺部隊第2波が降下してくる。ドイツ第10SS装甲師団がアルンヘム市街に籠るフロスト大隊を攻撃する。20火力超の最大コラムで攻撃し、フロスト大隊をステップロスさせた。それにしても市街地に籠る兵隊は強い。最大コラムでもステップロスする確率は50%に過ぎないのだから。
5Turn(44/9/18夜)
英第1空挺師団の増援部隊がアルンヘム市街へ向かう。しかしその頃にはドイツ軍のSS装甲師団がアルンヘム市街への進路を防いでいた。アルンヘム市街に籠るフロスト大隊を救う術は最早ないのか?。ドイツ軍は再びアルンヘムに攻撃を加えたが、今度は戦果がなかった。都市部を守る歩兵は本当に強い。
6Turn(44/9/19AM)
ポーランド第1空挺旅団が、アルンヘム市街地南方に降下した。アルンヘム南方への配兵を怠ったドイツ軍。その隙を突いてアルンヘム南方にポーランド空挺兵が攻撃を仕掛ける。ドイツ軍の対空砲部隊はポーランド軍の攻撃に対抗できずに壊滅。アルンヘム橋の南端をポーランド兵が占領した。アルンヘム南方に兵力を展開しなかったドイツ軍の失敗である。第9SS装甲師団の一部をネーデルライン川南岸に展開させてポーランド空挺部隊への攻撃とナイメーヘンへの増援とすべきであろう。
感想
今回は、ここで終了とした。所要時間は約7時間である。本シナリオのプレイ時間は公称12時間とのことだが、このペースでプレイし続ければプレイ時間は30時間ぐらいになりそうである。このゲームのプレイをFaceBookの The Board Wargamer で報告した所、100件以上のGoodが付いたので驚いた。殆どが外国人の方だったが、外国人の中で本作を高く評価する人が多いというのが驚きである。確かに本作はプレイアビリティが高く、ゲームとして面白い。それでいて歴史的再現性も高く、印象としてはシモニッチ氏のHolland'44よりも歴史的再現性では優れているようにも思える。マップは綺麗なのだが、ユニットが地味なのとボックスアートがあまり見栄えがしないので損をしている感がある。
いずれにしても面白いゲームだったので、今回の体験を踏まえて是非再戦してみたい。









コメント