「激闘!マッカーサー国連軍」(以下、本作)は、Game Journal88号の付録ゲームだ。テーマは朝鮮戦争の序盤1950年の戦いで、1ユニット=1個師団、1Turn=半月、1Hex=約20kmのスケールで描く。
基本システムは、名作の誉れ高い「激闘!マンシュタイン軍集団」(2003年)のシステムを採用している。具体的には命令チットをカップに入れて、引いた命令チットに相当する司令部が活性化する。活性化した司令部は、指揮範囲内のユニットを活性化し、移動・戦闘させることができる。さらに特別活性化というルールがあり、司令部からではなく直接ユニットに命令を与えることも可能である。
今回、本作をVASSALでソロプレイしてみた。以下はその記録である。
1Turn
戦争が始まった。国境を突破した北朝鮮軍は、最初の一撃で開城、議政府を占領。さらに韓国の首都ソウルを包囲し、総攻撃によってこれを奪取した。ただし北朝鮮軍の独立戦車旅団(1-1-8)が、韓国軍の攻撃を受けて壊滅してしまう。
2Turn
国連軍は補給ポイントを増援3ユニットと航空阻止2ヶ所に回した。壊滅した韓国軍ユニットの復活は後回しである。北朝鮮軍は水原付近で撤退が遅れていた韓国軍1個師団を包囲殲滅した後、国連軍の航空阻止を掻い潜って太田に殺到する。5:1攻撃でRRの結果を出し、韓国軍第2歩兵師団(2-3-5)を太田より駆逐して太田を占領した。
3Turn
太田を落とした北朝鮮軍はさらなる南下を続ける。金泉手前の峠道で韓国軍第2歩兵師団を再び捕捉した北朝鮮軍。1度は逃がすも、洛東江東岸まで下がった倭館で再び北朝鮮軍は第2師団を捕捉した。正面攻撃でついにこれを撃破。洛東江も渡河した北朝鮮軍は、倭館に橋頭堡を築いた。黄海沿岸では群山を守っていたスミス支隊(0-1-6)が北朝鮮軍2個師団の攻撃を受けて壊滅。群山も北朝鮮軍の支配する所となる。
4Turn
洛東江が両軍決戦の地となった。北朝鮮軍は洛東江の北側を迂回すべく、提川を守っていた韓国軍第2歩兵師団(4-4-5)を包囲攻撃する。この時初めて北朝鮮軍伝家の宝刀「バンザイ攻撃」がさく裂。韓国軍は抗せず後退する。一方、洛東江の東岸の大邸では、国連軍が初めての反撃作戦を実施した。アメリカ第1騎兵師団(9-5-8)、第24歩兵師団(6-6-6)と韓国軍2個師団が大邸に迫る北朝鮮軍第12歩兵師団(4-4-5)を包囲攻撃し、5:1の戦闘比でこれを撃破した。北朝鮮軍の歩兵師団が壊滅したのは、この戦争では初めてのことである。
5Turn
国連軍は韓国南西部で大々的な反撃作戦を開始した。米第1騎兵師団、同第25歩兵師団(6-6-6)、そして第2歩兵師団の3個師団と韓国軍2個師団による包囲攻撃である。北朝鮮軍第8歩兵師団(4-4-5)が包囲攻撃により壊滅する。北朝鮮軍は洛東江戦線から部隊を回し、国連軍に対して3個歩兵師団、1個戦車師団を投入した反撃を実施する。北朝鮮軍得意のバンザイ攻撃でなんとか3:1の戦闘比を達成し、米軍スタックを後退させてステップロスを強いた。しかし大々的な反撃にもかかわらず国連軍の損害は比較的軽微であった。
そしてその時バンザイ攻撃を行った北朝鮮軍第3歩兵師団は、国連軍の反撃により壊滅してしまう。
6Turn
国連軍が甕津半島に上陸した。米第1海兵師団(6-6-6)と米第7歩兵師団(6-6-6)が橋頭堡を固める。同地を守備していた北朝鮮軍後備旅団(1-1-4)は瞬く間に撃破された。米軍2個師団は韓国北部を無人の野を往くがごとく前進し、ソウル、春川を奪回した。これにより韓国南部へ進行中の北朝鮮軍は後方連絡線を断たれてしまう。韓国南部で行動中の米第8軍も浮足立った北朝鮮軍に反撃を実施。歩兵2個師団を完全包囲して殲滅した。
北朝鮮軍は残存兵力を結集し、第1軍を再編成。歩兵3個師団、戦車1個師団でソウル南部に展開する。ソウルを守る米第1海兵師団は、北朝鮮軍による必死の反撃に晒されようとしていた。
7Turn
北朝鮮第1軍を追って韓国国内を北上した米第8軍はソウルに到着。同地を守っていた米第1海兵師団と手を結んだ。ソウル南方に布陣していた北朝鮮第1軍は、ソウルと米第8軍に挟まれて大損害を被り、わずかに生き残った北朝鮮部隊がソウル北方に逃れていく。8Turn
最終Turnである。国連軍は、ソウル北方に展開していた北朝鮮軍をほぼ掃討し、ソウル周辺の安全を確保した。ゲーム終了時点で韓国領内には北朝鮮軍歩兵師団5個が残留していたが、いずれも補給切れ状態で、生還の可能性はほぼなかった。最終的に北朝鮮軍が獲得した勝利得点(VP)は27VP。北朝鮮側の勝利条件は37VPなので、今回は国連軍の勝利である。
感想
ルールはシンプルでプレイしやすい。国連側の海上輸送が強力なので、北朝鮮軍は後方の港湾都市を1つ1つ潰していく必要があるだろう。特に甕津と仁川は確実に落としてしっかり守っておきたい。可能ならこの両港湾には師団規模の部隊を配置しておきたい。師団規模部隊で守っていても国連軍には強力な艦砲射撃があるので、上陸そのものを阻止することはできないが、国連軍の戦争資源を消費させるという意味はある。さらに後方に強力な部隊を残しておけば、最前線に前進している北朝鮮軍が北に引き上げる時間的な余裕を得ることができる。そういった意味では、首都ソウルにも師団規模の守備隊を残しておきたい。ソウルを保持していれば、北朝鮮軍によって死命を制する連絡線を守ることができるだろう。今回のように後備旅団を申し訳程度に海岸守備に残していても、気休め以上の意味はない。次回プレイする時は、北朝鮮軍でもう少し奮戦してみたいものである。
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