「激闘!ロンメル軍集団」(以下、本作)は、Game Journal誌88号と付録ゲームで、 以前に紹介した「激闘!マッカーサー国連軍」 とほぼ同一のシステムを採用している。
本作のテーマは1942年末~1943年前半の北アフリカ戦線。
エルアラメインで敗北したロンメル軍がチュニジアへ向けて敗走する中、北アフリカ西部のモロッコ、アルジェリアに米英軍が上陸(トーチ作戦)。枢軸軍は東西から連合軍の挟撃を受けることになる。この危機的な状況下でロンメルは危機を打開して勝利をつかむことができるのか?
本作の基本システムは、「激闘!マッカーサー国連軍」と同じで、命令チットをカップに入れて、引いた命令チットに相当する司令部が活性化する。活性化した司令部は、指揮範囲内のユニットを活性化し、移動・戦闘させることができる。さらに特別活性化というルールがあり、司令部からではなく直接ユニットに命令を与えることも可能である。
今回、本作をVASSALでソロプレイしてみた。以下はその記録である。
1Turn
序盤は両軍ともゆっくりと進撃する。飛行場を占領して制空権確保を図る。そのためにこのTurnに両軍の接敵はなかった。2Turn
両軍が接触。それぞれの先鋒部隊が敵主力の反撃を受けて後退を余儀なくされている。特にドイツ軍は戦線南部で攻勢を仕掛けて、英空挺部隊(2-3-6)を後退させていた。3Turn
イギリス軍が攻勢に出てきた。チュニジア領内エルケフ(LE KEF 2006)付近でドイツ軍2個部隊を捕捉したのである。いずれも高比率攻撃で一挙に殲滅し、枢軸軍の北方戦線は大穴が空いた・4Turn
チュニジアを守るドイツ第5装甲軍は英第1軍の攻撃を受けて危機に陥っていた。そのため兵力を整備し、戦線縮小を図る。そして貴重な機動打撃兵力である第10装甲師団(9-5-9)をチュニジア南部山岳地帯となるカセリーヌ(KASSERINE 1406)方面へ向けさせた。これは、トリポリ方面から撤退してくるロンメル麾下のドイツアフリカ装甲軍と共同作戦を取るためである。そしてドイツ軍期待のドイツアフリカ装甲軍がついにマップ南端から姿を現した。彼らは海岸道路を北上した後、一転西に進路を転じ。カセリーヌ南方に向かう。ここで彼らは先の装甲2個師団と合流し、米第1軍が守る連合軍南翼に対して猛攻を加えた。
最初に矢面に立ったのは、連合軍南翼を担当していた米第2軍団と自由フランス第19軍団である。自由フランス軍は1個軍団がスタックして強固な守りを固めていたので、ドイツ軍はその後方へ迂回し、アルジェリアとの国境に近いテレプテ(THELEPTE 1205)に対して攻撃を行った。同地を守るのは米第1機甲師団所属の連隊戦闘団。複数のドイツ軍装甲師団の攻撃を受けたこの連隊戦闘団は、ひとたまりもなく壊滅してしまう。米第2軍は慌てて戦線を再構築するが、果たして
5Turn
ロンメルチットで先手を取ったドイツ軍は、ガフサ(GAFSA 0906)南方の山岳地帯を守っていた自由フランス軍第19軍団麾下の2個師団を包囲しつつ、要域カセリーヌを守る英空挺部隊(2-3-6)を包囲殲滅した。さらに次に引いてきたチットがPAA(アフリカ装甲軍)である。ドイツ軍としては戦果拡大のチャンスであったが、さすがのドイツ軍も兵力不足が目立ってきた。史実におけるロンメルプランに従うのなら、このまま国境を越えてアルジェリアに侵攻する所だが、米軍を完全に撃破できるだけの兵力はない。ゲーム的に考えるのなら、サドンデス狙いではなく、時間切れでの勝利を狙うのが得策のように思える。
という訳でドイツ軍はアルジェリア方面ではなく、チュニジア北西部に布陣する英第1軍を攻撃目標とした。史実で言う所のアルニム攻勢である。チュニジアで限定的な勝利を得て連合軍の進撃を遅らせれば、ゲーム終了時でチュニジアが陥落することはないだろう。
ちなみにこの時点でドイツ軍の獲得した占領マーカーは37個に達しており、ゲームの長さは最短の8Turnまで縮まっていた。これ以上攻勢を続けて占領マーカーを追加確保する意味はほぼなかったといえる。
結局ドイツ軍はターラ(THALA 1606)を守る米第1歩兵師団(4-4-6)を攻撃し、これを後退させた。
チュニジア方面を守るドイツ第5装甲軍も英第2軍に対して攻勢を仕掛ける。しかし、こちらは兵力不足のため、大きな戦果は上がらない
一方の連合軍もやられっぱなしではない。兵力を整備した米第2軍団はロンメル装甲軍に対して反撃を開始。特にGAFSA南方で包囲されている自由フランス第19軍団を救援すべく、米第1機甲師団(8-4-8)と第34歩兵師団(4-4-6)がドイツ軍第164歩兵師団(3-3-8)を包囲攻撃する。第164歩兵師団は損害を受けつつも後退していく
チュニジア北方に展開する英第1軍も強引に攻勢を仕掛け、増援に登場したドイツ軍ヘルマンゲーリング装甲擲弾兵師団(6-4-8)を後退させ、チュニスの前面まで進出した。
そして本命。モントゴメリー麾下の英第8軍が、いよいよ登場してきた。チュニジア南東部の海岸地帯に陣地を構えてイタリア軍4個歩兵師団が防衛ラインを敷く。しかしモントゴメリー軍は、その第1防衛ラインであるマレット(MARETH 0413)ラインを突破。さらにイタリア軍の半数にあたる2個歩兵師団を撃破した。
6Turn
モントゴメリー麾下の英第8軍が海岸線を守るイタリア軍を完全撃破し、チュニジアへ向けて突進する。ドイツ軍はチュニジア西方での攻勢を停止し、戦線を縮小する。 そしてロンメル麾下のドイツアフリカ装甲軍は英8軍の先鋒を叩いた。第8軍麾下の機甲師団2個のうち、英第1機甲師団(8-4-8)は損害を受けて後退し、第7機甲師団は後退路を防がれて包囲殲滅されてしまう。大戦果に沸くドイツ軍。しかしチュニジア西方から反撃に転じた英第1軍、米第2軍団が反転攻勢を行ってくる。
7Turn
ロンメルが本国に帰っていた。時を同じくしてチュニジアの空を連合軍の航空部隊が覆った。ロンメル不在、そして連合軍の大攻勢が始まる。 制空権による2シフト、さらにパットン将軍の1シフトなどを利用して連合軍がドイツ軍部隊を各地で包囲撃破していく。ドイツ軍も突出してきた連合軍部隊に対して包囲反撃を試みるが、兵力不足、さらにはここに来ての出目の悪さなどもあり、連合軍に対して有効な打撃を与えられない。ドイツ軍の兵力が急激に減少したことにより、チュニジアにおける兵力バランスが急激に連合軍側有利に傾いていく。 Turn終了時には連合軍の先鋒がチュニジアの首都チュニスの前面に達し、アフリカにおけるドイツ軍は風前の灯火となった。8Turn
最終Turnである。しかし最早ドイツ軍に勝機はなかった。まず最初に引いたのはパットンである。米第2軍団がチュニス(TUNIS 2412)を包囲攻撃。一連の攻撃でドイツ第5装甲軍とアフリカ装甲軍の司令部が壊滅した。そしてチュニスはパントン軍が占領する。続いて引いたのは英第1軍である。既にドイツ軍に残ったユニットは僅か2個。しかもそれらを活性化させる司令部はない。英軍部隊はドイツ軍の間隙をついてビゼルテ(BIZERTE 2711)を占領した。これにより連合軍はサドンデス勝利の条件を満たして勝利した。
感想
いやー、面白いです。チット引きによって戦局が二転三転するので、そのドキドキ感が良い。出目やチット順によっては前回のようにドイツ軍がサドンデスで勝利すろこともあるし、逆に連合軍が兵力に物を言わせて勝利する場合もある。世間では「激闘、マッカーサー国連軍」の方が評価が高いようですが、こちらの「激闘、ロンメル軍団」も十分に評価するに値する作品だと思います。最初に気になったのはドイツ軍の進撃ペースで、ドイツ軍がどんどん占領マーカーを取得して終了Turnを短くしていくので、これはドイツ軍楽勝ではないかと思いました。しかし占領マーカーの件はどうやら織り込み済みの様子。連合軍としては、あまり占領マーカーを気にせず、逆に最初から8Turn勝負(8Turnがこのゲームで最短の長さ)で出ても良いと思います。まあ、ドイツ軍としては、最低限8Turn勝負にまで持っていきたい所でしょうね。
いずれにしても面白いゲームなので、機会があればYouTube動画化も考えてみたいと思います。
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