恐れのない組織
エイミー・C・エドモンドソン/野津智子訳 英治出版

心理的安全性という言葉が注目されている。昨今話題のハラスメントという言葉と似たような文脈で語られることが多いが、本書を読めば心理的安全性とハラスメントは全く異なる概念であることがわかる。
心理的安全性とは、エンゲージメント向上が主目的ではなく、むしろ組織の生産性向上やイノベーション創造のための不可欠の手段としてとらえる必要がある。VUCAの時代と呼ばれる不確実で変化の激しい世界においては、組織は常に変化し、新たな試みに挑戦する必要がある。しかしそのためには数多くのアイデアを出し、様々な立場から多様な意見をぶつけ合う必要がある。そのために欠かせない背景が心理的安全性なのだ。
「私はこの中で何を言っても許される」
その安心感がなければ人は組織の中で積極的に発言しようとしない。むしろリスクを回避しようと沈黙を選ぶだろう。思い出してほしい。かつての日本軍が「空気」という沈黙を重視し、そのためいかに数多くの学びの機会を失ってきたかを。ミッドウェー海戦しかり、沖縄戦しかり。
本書は、心理的安全性の本質を理解し、組織の中で活用していくために極めて良質な著作といえる。
お奨め度★★★★
恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす
心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える
なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践
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