240116_なぜサイゼリア

なぜ星付きシェフの僕がサイゼリアでバイトするのか

村山太一 飛鳥新社

本書で書かれていることは、個人と組織が成功するためのノウハウである。個人レベルで筆者が主張するのは「サバンナ思考」と「マヨネーズ理論」だ。サバンナ思考とは、強烈な危機意識を持ち、一つでも多くの事に気づき、素早く行動することである。またマヨネーズ理論というのは、自己流では行わず、一流のやり方を徹底的にマネする方法である。いずれも首肯できるが、なかなか実行できないこと。サバンナ思考で行動するほどの危機感を持ち続けることは難しいし、マヨネーズ理論はプライドが邪魔をする。そういうことを言っている間はダメなんだろうな。
さらに本書の凄い所は、個人レベルでのノウハウ本に留まらないことだ。筆者は個人レベルでは星付きレストランのシェフとして成功しながらも、チームとして成功していないことに忸怩たる思いを持つ。そこで筆者はレストランチェーンのサイゼリアでバイトすることを選ぶ。彼はそこでサイゼリア流の優れた組織マネジメントを知り、愕然とする。高校生アルバイトを含むチームながら、彼らの能力を上手く引き出し、組織としての能力を発揮しているサイゼリア。そして収益の面では、サイゼリアが高価格帯レストランの優に2倍以上の時間生産性を発揮していることに愕然とする。そして筆者は、組織を成功させる秘訣が構成員の「幸せ」を追求することにあったことを知る。
非常にわかりやすい本だけど得る所の多い著作で、特に個人レベルや組織レベルでの処世術について大いに参考になった。