240429_空母瑞鶴戦史

空母瑞鶴戦史-ソロモン海の戦闘旗

森史郎 光人社NF文庫


空母瑞鶴を主役とした長編シリーズの第3巻である。本書では、ミッドウェー海戦の敗戦直後から第2次ソロモン海戦終了直後までを扱う。ミッドウェーで大敗を喫した日本艦隊は空母を中心とした第3艦隊を編成。ミッドウェーの仇討を決意する。人員が一新された第3艦隊。しかし司令長官と参謀長はミッドウェーの「負け組」である南雲中将と草鹿少将が残留。そのような中にあって新戦策を策定して米機動部隊との再戦を期する第3艦隊であったが・・・。
とまあこんな感じで空母瑞鶴を中心に描く太平洋戦記である。本書の主人公は瑞鶴の乗組員と母艦搭乗員達。彼らの奮闘と苦悩が本書の主なテーマである。主役が日本側なので日本側から見た視点が中心となるが、戦闘場面については両軍の資料を参照しているため、戦果・損害については概ね正確とみて良い。本書の白眉は、日本側の記録を丹念に調べている点で、ミッドウェー海戦や第2次ソロモン海戦の戦訓を日本海軍がどのように読み取ったかが興味深い。
読み物としても面白く、太平洋戦史に興味のある向きにはご一読をお奨めしたい著作である。

お奨め度★★★★


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