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Oceans of Fire(以下、本作)は、2023年に米国Compass Gamesから発売されたシミュレーション・ウォーゲームです。テーマは太平洋戦争で、1941年12月~1945年9月の戦いを1Turn=半年のスケールで描きます。
マップは、西はインド全域、南はオーストラリア大陸全域、東はハワイ諸島、北はアリューシャン列島を境界とし、太平洋戦争を戦ったほぼ全領域が含まれています。マップはエリア単位で区切られており、各種の行動はエリアを単位として行われます。
1ユニットは、艦船については主力艦1~2隻、巡洋艦は数隻、駆逐艦以下の小型艦はユニット化されていません。地上部隊は旅団~師団規模で統一されており、航空機はポイント制で1ポイント=数十機単位となっています。

1Turnは4つのラウンドに分かれていて、各ラウンドは、さらに日本、アメリカ、英連邦の各インパルスに分かれています。各インパルスでは、手番プレイヤーが活性化ポイントを消費してユニットを活性化し、非手番プレイヤーは迎撃によってそれを迎え撃ちます。
同じエリアに両軍のユニットが存在する場合に戦闘となります。戦闘は空中戦、基地航空機による艦船攻撃、海上戦(空母戦や水上戦)、地上戦闘の順番に解決されます。地上戦闘は戦闘比方式で、その他は火力戦方式の戦闘結果表になっています。ユニットに対する損害は、損害ポイントの形で与えられ、艦船や地上ユニットは防御力に達する損害ポイントで除去、航空機は損害ポイント量が直接航空ポイント減少量となります。
シナリオは計5本用意されており、最初の「ソロモン」シナリは2ラウンド(半Turn)の練習用、次のミッドウェーは1Turnのやや大規模な練習用。続く2本は、それぞれ第1~3Turn、第2~3Turnを扱う中規模シナリオ。最後のシナリオは全8Turnプレイするキャンペーンシナリオとなっています。

このゲーム、とにかくルールの量が多く、ルールブックは英文で計96ページ。さらに選択ルール等を集めたプレイブックが計68ページもあります。尤もプレイブックの大半はプレイの例やデザイナーズノート、あとはシナリオ集なので、実際のルールは12ページになりますが・・・。

今回、本作を試しでプレイしてみましたので、その内容を雑感中心に紹介します。

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シナリオ2.Midwayシナリオ

最初にプレイしたのは、シナリオ2「Midwayシナリオ」です。筆者は日本軍を担当しました。
このシナリオは、第2Turn(1942年4月~9月)の1Turnのみを戦うシナリオで、太平洋全域を舞台としていますが、インド洋方面は使用しません。従って英連邦軍や東南アジアに投入されていた日本軍の大半は投入されていません。
シナリオ開始時の状況としては、東南アジア全域をほぼ手中にした日本軍でしたが、フィリピンでは米比軍がまだ頑張っている状況です。このシナリオのテーマは日本軍による第2段階作戦で、日本軍は中部太平洋方面又は南東太平洋方面に進出して戦果拡大を狙い、一方の米軍はその阻止に努めます。

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序盤、日本軍はフィリピン制圧に注力しました。その結果、フィリピン方面の早期制圧にほぼ成功します。さらに日本軍はポートモレスピーを制圧。ガダルカナルへの進出も見えてきました。しかし肝心のミッドウェー攻略は、序盤にリソースを使い過ぎたため時期を逸してしまいます。このシナリオの基本テクニックとして、日本軍がミッドウェーに侵攻する場合には、第2インパルスに開始できるように準備しておかなければなりません。第3~4インパルスだと、長距離上陸侵攻(Extended Range Amphibious Assault)が実施できないので、ミッドウェー侵攻できないのです。

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無論本作初プレイの筆者に上記のような配慮がある訳もなく、気づいた時には既にミッドウェー侵攻の機会は失われてしまいました。最終的には獲得VPの不足により本シナリオは敗北を喫してしまいましたが、システムを理解するという初期の目的は達成できました。

シナリオ4.Guadalcanalシナリオ

次にプレイしたのは、シナリオ4「Guadalcanalシナリオ」です。このシナリオは全マップを使用する中規模シナリオで、第2~3Turn、つまり1942年4月~1943年3月までを扱います。「大いに暴れまわって見せ」た期間のシナリオです。このシナリオは、先にプレイしたミッドウェイシナリオとセットアップで共通する部分が多いので、今回のプレイに選びました。ここでも筆者は日本軍を担当します。

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このシナリオでは、インド洋方面も登場するので、同方面の英連邦軍も登場します。筆者率いる日本軍は、まず資源の宝庫であるビルマに侵攻。精鋭4個師団を有する我が帝国陸軍部隊は英連邦軍を蹴散らし、瞬く間にビルマ一帯を制圧します。

一方、前回の反省としてフィリピンにおける残敵掃討は過度な兵力投入を行わず、現地兵力だけで時間をかけてじっくりと攻め落とすことにしました。その方法でもTurn終了時点までにはフィリピン全域の制圧が完了したので、あえて同方面へ資源を過剰投入する必要はないと悟った次第。

日本軍が主力を投じたのは南東方面作戦。まずは前回同様ポートモレスピー攻略作戦に空母5隻を持つ南雲機動部隊を投入してこれを一撃で陥落。さらに修理の完了した「加賀」を加えて空母6隻体制になった南雲機動部隊は、オーストラリア本土東岸沖に進出して米空母に決戦を誘います。しかし米空母が出てこなかったので、仕方なくオールトラリア東岸一帯を猛爆撃。輸送船1ユニットを撃沈しましたが、虎の子よりも大事な高練度空母機(CVA)1ポイントを失ってしまいます。あーあ、こんな中途半端な事をするぐらいなら、ヌーメアに集結中の米空母を真珠湾攻撃方式で一気に叩けば良かった・・・。

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その後、日本軍はソロモン諸島に進出。ガダルカナルとブーゲンビルを占領して支配体制を固めます。米軍も反攻を企図しますが、ソロモン諸島の日本軍が強力なために手を出せない状況

という感じで第2Turnが終了しました。今回は時間の関係でここまでのプレイとしました。

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感想

ルールが多いのでプレイするまでは面食らいますが、プレイしてみると意外とサクサク進みます。活性化ポイントも1インパルスあたり48~60ポイントとかなり量が多いのですが、活性化ポイントも大きいので、余ってしまうようなことはあまりありません(日本軍の場合は、ですが・・・)。プレイ時間も今回のケースで1Turn3~4時間ぐらいなので、慣れれば2~3時間ぐらいまで収めることが可能と思われます。だから2~3Turnの中規模シナリオでも1日あれば十分プレイ可能。全8Turnのキャンペーンシナリオでも2日あればプレイ可能と思われます。

ルールが多くて値段も高い本作ですが、和訳ルールも鋭意準備中で、プレイ環境も整いつつあります。筆者自身も次回はキャンペーンシナリオに挑戦しようと考えています。また今回は動画作成は見送りましたが、次回のプレイでは、動画作戦もチャレンジしたいと考えております。

機会があれば、皆さんも是非1度プレイしてみて下さい。

写真06_戦う海兵隊タラワ