これまで何度か紹介しているVUCA社の仮想戦シミュレーション・ウォーゲーム「Red Strike」(以下、本作)のシナリオをプレイしてみた。
今回プレイしたシナリオは、シナリオB3「North German Plains」。北ドイツ平原を巡るWP軍とNATO軍の対決である。登場ユニット数356個で、キャンペーンシナリオを除けば本作で最大規模のシナリオである。
圧倒的兵力で北ドイツ平原を席捲するWP軍戦車部隊に対し、NATO軍はいかにして対抗するのか・・・。
シナリオの勝利条件は、第3Turn終了時点でWP軍がウェザー川西岸に橋頭保を築くことと、ハンブルクの港湾施設を占拠することである。
今回筆者はNATO軍を担当した。
SetUp
このゲーム、全てのシナリオでセットアップは一部を除き固定化されている。筆者の持論として「SLGのセットアップは固定セットアップが良い」というのがあるが、その理由は「初心者に優しい」という理由と、「余計な事にプレイヤーの脳のリソースを使わせたくない」というのがある。その点ではこのゲームは有難い。0Turn
このシナリオでは、シナリオ開始前に一定の事前移動が認められている。NATO軍は移動力の半分まで。WP軍は移動力の2倍の範囲で移動可能である。一見するとWP軍が有利に思えるが、序盤に分散配置されているNATO軍にとっては、自軍を強化する千載一遇の好機となる。そこでNATO軍としては地形効果のある拠点に部隊を集めた拠点防御でWP軍の前進を止める方針とした。1Turn
ソ連軍は化学兵器搭載の中短距離ミサイルを西ドイツ領内に大量に打ち込んできた。主目標は防空組織と飛行場。一連の攻撃を受けて西ドイツ領内のNATO航空基地は、その大半が機能損失するに至った。化学兵器の威力については、 前回のプレイ で完全に失念していた部分である。化学兵器は追加効果が色々あるのでそちらに目を奪われがちになるが、敵部隊や施設に対する打撃という面でも通常兵器よりも遥かに強力である。1点目として化学兵器は通常弾頭とは異なる命中判定が不要で常に命中扱いとなること。さらに命中した場合、通常弾頭では1打撃しか与えられないが、化学兵器の場合は2打撃を与えることができる。すなわち単純計算で化学兵器の威力は、通常弾頭と比較して2~4倍程度の威力があると考えて良い。
制空権を得たWP軍地上部隊は。東西国境を突破し、ハンブルグ(Hamburg 2821-2822)、ブラウンシュワイク(Braunschweig 2223)に殺到する。北ドイツ平原を守る英第1機甲師団と第4機甲師団はWP戦車部隊の攻撃を受けて壊滅的な損害を被った。
NATO側の反撃は空から行われた。米本土からはB-52爆撃機が発進し、東ドイツ領内のWP軍航空基地に対してAGM-86空中発射型巡航ミサイルを大量に打ち込む。巡航ミサイル攻撃を受けてダメージを受けた航空基地に対しては、英本土を発進したF-111E/Fアードバーグの編隊が、護衛なしで飛来。WP軍の防空戦闘機やSAMによる妨害をEF-111Aレイブンによる強力な電子妨害で強行突破。精密誘導兵器による必殺の一撃を叩き込む。
一連の航空攻撃でNATO軍は東ドイツ領内にある4個の航空基地を破壊した。その過程でSu-24 3ユニット、MiG-29 3ユニット、MiG-27 3ユニット、その他2~3ユニットを撃破した。これは大きな戦果であったが、それでも東ドイツ領内に配備されたWP軍航空戦力の20パーセントに満たない数を撃破したに過ぎなかった。
2Turn
NATO軍がバルト海沿岸の港湾都市リューベック(Lubeck 2924)を放棄し、ユトランド半島への進撃路が開かれた。後から考えると、リューベックの放棄は愚策だったと思える。NATOとしてはリューベック、ハンブルクのラインで可能な限り阻止戦闘を展開し、WP軍の進撃を遅らせるべきだっただろう。無論、最終的に両都市の陥落は避けられないとしても、WP側の戦争資源を可能な限り長期間ユトランド半島の入口で消費させるのは悪い戦略ではない。WP軍としても勝利条件の関係上、ハンブルクを無視して前進するのは難しい。
WP軍はユトランド半島を席捲・・・、せず。ユトランド半島の付け根をそのまま西へ進んでハンブルクの西半分を攻撃する。これはNATO側にとってはラッキーだった。というのも、ユトランド半島に残っていた航空基地の一部はまだ機能しており、そこには第3Turnに米軍のF-15イーグルを含む戦闘機隊が登場することになっていたらからだ。
何はともあれ、WP軍戦車部隊はハンブルク西半分に殺到する。さらに南ではハンブルクとハノーバーの間に広がるリューネブルガーハイデ(Luneburger Heide)自然保護区で遅退戦闘を行うNATO軍に対してWP軍が猛攻撃を加える。これらを守るNATO軍は雑多な編制の数個師団。スタックの内容が建制を無視したバラバラな内容になっているため、Deliberate Defense(計画防御)を選択できないのが辛い。Deliberate Defenseなら強制後退の結果を食らっても追加の損害により後退結果を無視できるのだが・・・。
WP軍の猛攻によりハンブルクは遂に陥落。さらにリューネブルガーハイデでもNATO軍部隊は後退を余儀なくされていく。
NATO軍は航空攻撃の目標を航空基地から地上部隊に変更する。B-52部隊も巡航ミサイル攻撃から通常爆弾に兵装を切り替え、F-111E/Fアードバーグの編隊と共同でWP軍戦車部隊に爆弾の雨を降り注ぐ。この攻撃でソ連軍戦車2個師団を事実上半身不随状態とした。
NATO軍はハンブルクから後退し、エルベ川西岸からリューネブルガーハイデ西部に沿って戦線を形成する。勝利条件は第3Turn終了時にWP軍がウェザー川西岸に進入するのを阻止することなので、逐次後退しつつなんとかウェザー川の防衛ラインを阻止したp。
つづく
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