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白馬三山とは、標高2932mの白馬岳(しろうまだけ)、同2812mの杓子岳、同2903mの鑓ヶ岳の三山のことである。私は2019年の夏休みを利用し、白馬三山登頂を試みた。その際、今まで歩いたことがなかった白馬大雪渓についても歩いてみたいと思った。そこで猿倉の登山口を基点とし、白馬大雪渓経由で登頂。白馬三山を制覇した後下山する1泊2日(前夜車中泊)の登山プランを計画、実行してみた。

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山小屋の朝は早い。4時頃にはほぼ全員が起きている。朝食が0530からだが、急ぎの客は朝食を取らずに出発していく。ちなみに朝食もバイキング形式。これもまた美味しかった。

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その後トイレを済ませて出発は0605であった。今日の目標は白馬三山の残り二座制覇と無事の下山である。歩いて10分の丸山に登って周囲を見る。ここからでも白馬三山の雄姿が一望できるが、遥か彼方に見える白馬鑓ヶ岳の姿を見て少しの恐怖も覚える。遥か彼方に見えるあの大きな山に登って、さらに戻ってきて、無事下山できるのだろうか・・・。

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丸山からは急な下りとなり一旦標高2600m以下まで降りていく。そして再び登り道。杓子岳への最後の登りはザレ場になっていて歩きにくい。標高2803mの杓子岳山頂に着いたのは0714。登り始めて1時間10分が経過していた。ここからは背後に白馬岳、正面にはこれから向かう白馬鑓ヶ岳の雄大な姿が見える。

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杓子岳から再び急な下り坂となり、標高2600m以下ぐらいにある鞍部になる。そこから鑓ヶ岳へ向けた約300mの急登になる。慎重に歩けば危険はないが、そのスケール感が圧倒的だ。南アルプスの名山北岳と言えば少し大袈裟だが、それを彷彿させるものがある。

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急登を登り切った後は頂上へ続く緩やかな登り。鑓ヶ岳山頂に着いたのは0820であった。コースタイム2時間の所を所要時間2時間15分であった。山頂からは今まで歩いてきた白馬岳、杓子岳の姿の他、進行方向には天狗平や不帰瞼、さらに遠方には精悍な姿の剣岳や黒部ダムの姿も見えている。まさに北アルプス大パノラマだ。

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山頂で20分ほど景色を堪能した後、山荘に向かって下山を開始する。帰りは杓子岳を通過せず、迂回路を利用する。これによって所要時間を20分ほど短縮できる。それでも鑓ヶ岳からの帰路は長く、山荘に戻って来たのは1020分頃。所要時間は1時間40分ほどを要した。

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荷物をピックアップし、下山開始は1040頃である。往路と同じコースを逆に下っていく。急斜面でしかも登ってくる登山者が多いのでなかなかペースが上がらない。それでも1200頃には大雪渓の所に降りてきた。ここで休憩。そしてアイゼン装着。大雪渓の下りに乗り入れる。折しもガスが上がってきて前方の視界が効かない。しかも午後の時間帯なので登山者が少なく、登りも下りも殆ど登山者がいない。そんな中、コースミスの不安に怯え、スリップによる坂道急降下を恐れつつ、おっかなびっくり降りていく。

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そんなこんなで小一時間かけてようやく雪渓を降りきり、河原のような所に出てアイゼンを外す。ここまで来たらもう危険個所はない。スリップに注意しつつ慎重に降りていく。
白馬尻の小屋に着いたのは1345。下山開始から約3時間が経過していた。背後を振り返るとさっきまで降りてきた白馬大雪渓と白馬の山々が、ガスに包まれながらもその姿を見せている。ここまで降りてきた自分としても感無量になって山の写真を撮る。

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白馬尻からは約40分のトレッキングで猿倉に到着した。猿倉に着いたのは1442。山荘から所要時間は約4時間である。コースタイムよりも約30分のオーバーだ。

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荷物を整理し車で出発。八方まで降りてきて「八方の湯」に入る。2日間に渡る山旅の疲れを癒す。

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感想だが、猿倉から頂上宿舎までの標高差は約1500m。所要時間5時間だが、変化に富んでいるので退屈することはない。最後の急登がきついが、バテなければ大丈夫。
白馬三山からの景観は素晴らしいの一言。今回は晴天に恵まれたのでなおさらだが、北アルプス独特の鋭い山容と緑が広がる広大な山岳風景。今回は見逃してしまったが、宿舎から10分程歩けばご来光を見るチャンスもあったという。今回でピークハンディングは終了したので、次回は山岳風景を楽しむためにゆっくりと歩いてみたいものである。

帰りの雪渓下りはかなりビビったが、慎重に歩けば左程危険がないこともわかった。慣れた人は「雪渓の方が歩きやすい」といった感じでスイスイと雪渓を下って行ったのが印象的である。無論、技量差があるので楽観は禁物だし、慎重に歩くことに越したことはないが、過度に恐れる必要もないと感じた。
いずれにしても今回の白馬登山は個人的には大満足。機会があれば再び白馬に訪れたいと思っている。