Yamato vs Iowa
Paul Forest
タイトル通り「大和」と「アイオワ」のどちらが強いかという手垢のついたテーマを論じた著作である。本書は両者の対決について、砲火力、火器管制、防御力の3つの側面から分析している。筆者は両者の優劣を明確に断じるのではなく、あくまでも淡々と分析の結果を論じている(読んでいれば、筆者の考え方は大体わかるが)。
本書の特徴としては、数式やグラフを多用し、両者の対決を可能な限り数理的に分析している点である。特に興味深い考え方は安全圏に対するもので、本書によれば安全圏の広さは交戦時における両者の交差角によって変化するというものだ。つまり真横を向けて撃ち合うよりも斜め前に向けた方が防御力が有利又は不利になるというものである。その結果、一般には防御力の劣る「アイオワ」であっても、交差角によっては「大和」よりも広い安全圏を得る可能性があるとしている。
英文だが文書量自体は少なめで、読み通すのにそれほど時間はかからない。ただし数式を含めて精読するにはかなり難儀するだろう。
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