海賊と呼ばれた男(上)
百田尚樹 講談社文庫
「永遠のゼロ」で有名な百田尚樹氏が描いたもう一つの戦前戦後史。本書はフィクションだが、主人公国岡鐡造のモデルは、出光興産の創業者である出光佐三である。本書は敗戦直後から始まる。敗戦によって殆どの資産を失った国岡商店は、この未曽有の危機に際して社員全員の馘首を行わないと宣言し、ゼロからの再出発を試みる。本書の前半は鐡造の戦後における苦悩と奮闘を描き、ようやく石油販売の再開に漕ぎ着けようとした所で一旦終わる。中盤からは鐡造の青年時代に戻り、彼の少年時代から学生時代、そして国岡商店を立ち上げて、様々な苦難を乗り越えつつ少しずつ国岡商店を発展させていく様が劇的に描かれている。
本当に先を読むのが楽しくなるほど引き込まれる小説。これは史実ではないが、史実を元にした小説だけにその面白さもひとしとだ。下巻を読むのが楽しみである。
お奨め度★★★
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