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Imperial Sunset(以下、本作)は、ゲーム付雑誌であるAgainst the Odds誌の付録ゲームで、2006年に発売された作品だ。
テーマはレイテ沖海戦。1944年10月下旬にフィリピン近海で行われた日米の艦隊決戦である。この戦いは、世界の戦史史上最大規模の海戦と言われており、戦闘艦艇が両軍合わせて約300隻、航空機は約2000機が参加した。戦い自体は連合軍の大勝で、日本側の連合艦隊はこの戦いでほぼ壊滅し、以後作戦能力を失った。日本軍はこの戦い以降、特攻作戦を主体として戦い続けることになる。

本作は、レイテ海戦のほぼ全体を再現するSLGで、1Hex=25海里、1Turn=6時間、1ユニット=巡洋艦以上1隻、駆逐艦以下数隻、航空機は10~30機程度というスケールになっている。システムはダミーを併用したチットプルで、タスクフォース別に活性化チットが用意されていて、引いて来たタスクフォースが活性化するというもの。ちなみにこのシステムのおかげで、ダミーを使用しているにも関わらずダミーによる兵力隠匿の効果はあまり大きくはない(索敵自体の発見率も結構高い)。



航空戦や水上戦闘はオーソドックスなシステムになっているが、一応戦闘ボードを使用するシステムになっているので、戦闘解決にはそこそこ時間がかかる。また艦船ユニットの損傷はヒットポイント方式だが、命中数に応じて艦そのものの能力が低下するようになっていて、能力低下をログシートに記録する方法となっている。だから若干のペーパーワークが発生する。

今回、本作をプレイしてみることにした。本作には3本のシナリオが用意されているが、今回は最初のシナリオである「歴史的シナリオ」をプレイした。このシナリオは10月24日~26日の3日間の戦いを扱うシナリオである。既に栗田艦隊は米潜2隻の奇襲によって重巡3隻を失っている状況である。筆者は連合軍を担当する。

なお、「歴史的シナリオ」以外のシナリオは「仮想シナリオ」と「キャンペーンシナリオ」がある。
「仮想シナリオ」は日本軍(主に小沢艦隊)に史実以外の兵力が加わるというもので、ダイス目にもよるが、日本軍にとって最良の場合は、小沢艦隊に「雲龍」「天城」「隼鷹」「龍鳳」が加わる。これだけ加わると小沢艦隊の戦力はマリアナ沖海戦に近い規模になり、単なる囮部隊以上の活躍が期待できるようになる。
「キャンペーンシナリオ」は、シナリオの開始日が10月23日からとなる。そのため「愛宕」「高雄」「摩耶」はまだ健在であり、栗田艦隊はパラワン水道付近からスタートすることになる。


SetUp

まずセットアップから混乱した。栗田艦隊主力がなんとフィリピン東方海上に初期配置されているのだ。他にも増援輸送部隊等の配置も結構目茶苦茶で、史実無視の配置となっている。プレイヤー2人で頭を抱えたが、Against the Odds誌のHPから辛うじてエラッタを見つけ出し、正しい位置にセットアップできた。雑誌付録ゲーとはいえ、初期配置から間違っているというのは、ちと悲しい。

エラッタの参照先:https://www.atomagazine.com/errata/errata_is.pdf

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10月24日

史実ではシブヤン海海戦が発生し、戦艦「武蔵」が沈没した日である。米軍も日本機の反撃によって軽空母「プリンストン」を失っている。

写真01_USS_Princeton


IJN_BB_Musashiゲーム展開もほぼ史実同様に進んだ。最も西に進んでいたシャーマン少将麾下のタスクグループ38.3(TG38.3)は、シブヤン海に向っていた栗田艦隊を攻撃する。さらにボーガン少将のTG38.2も攻撃に加わる。米軍機は「大和」よりも少し対空火力の弱い「武蔵」に攻撃を集中し、数次に渡る攻撃の末、ようやく「武蔵」を撃沈した。それにしても7隻もの空母が集中攻撃を加えたにもかかわらず、戦艦1隻を仕留めるのがやっとということで、改めて戦艦の強大な防御力に驚きを禁じ得なかった。

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USN_CVL_Langleyしかしフィリピンの陸上基地に近づき過ぎた米機動部隊に対して、日本側も基地航空部隊が全力を挙げて反撃を行う。米軍の誇る防空戦闘機はなぜか威力を発揮せず、日本側の攻撃編隊は易々とシャーマン隊に襲いかかった。米艦隊自慢の対空砲火もここでは何故かスカばかり。米機動部隊は軽空母「ラングレー」を撃沈され、ミッチャー中将の旗艦空母「レキシントン」にも3発の爆弾が命中してしまう。「レキシントン」はギリギリで作戦続行可能な状況だったが、もう1度攻撃を受けると、ヤバい状況であった。

このゲームでは、米軍の場合でもCAPや対空砲火はあまりアテにならない。それでもCAPでの撃破率を少しでも高めるため、可能な限り最大火力(20火力)で迎撃できるよう、CAP機には5ユニット以上の戦闘機を当てておきたい。

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10月25日

史実とは異なり、栗田艦隊はシブヤン海からサンベルナルディノ海峡を突破して来なかった。その代わり、ミンダナオ島北方に迂回し、スリガオ海峡経由でレイテ島を目指したのである。史実で志摩艦隊が通過したコースにほぼ等しい。日本軍の狙いは、兵力を集中してスリガオ海峡突破を狙っているのだろう。
対する米艦隊は、第38機動部隊の再編成を行う。すなわち従来の空母3群を、空母2群、戦艦1群に再編成した。各空母群には5隻ずつの空母を配置し、戦艦6隻と護衛部隊を抽出して水上打撃部隊を編制した。

「第34機動部隊はいずこにありや?、全世界は知らんと欲す」

で有名な「第34機動部隊」である。

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USN_BB_W_Virginia夜明けと共に日本艦隊はスリガオ海峡に突入してきた。栗田艦隊の戦艦4隻、重巡7隻、軽巡2隻、駆逐艦13隻である。スリガオ海峡を守っているのは、オルデンドルフ少将麾下の第79機動部隊で、戦艦6隻、重巡4隻、軽巡1隻、駆逐艦20隻である。米戦艦はいずれも旧式戦艦で、しかも「ミシシッピー」を除く全ての戦艦は真珠湾攻撃で日本機の攻撃を受けた艦であった。

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IJN_DD_Div17戦艦の隻数で勝る米軍は砲撃戦を有利に進めた。多数の命中弾を受けた「長門」と「金剛」が大破し、重巡「利根」「筑摩」「熊野」が沈没、「鈴谷」も大破し、「羽黒」も重大な損傷を被った。しかし1万メートル以上の大遠距離から放たれた酸素魚雷が米戦艦群を捉えた。「ウェストバージニア」に多数の魚雷が命中し、彼女にとって2度目の、そして最後となる「死」を迎えた。「メリーランド」「カリフォルニア」にも数本の魚雷が命中して大破。「テネシー」も中破してしまう。砲撃の損害も加えて米戦艦の中で無傷で残ったのは「ミシシッピー」ただ1隻だけであった。

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つづく

Carrier Battle - Philippine Sea ソロモン夜襲戦 海空戦南太平洋1942
レイテ沖海戦 「大和」艦橋から見たレイテ海戦 Leyte: June 1944 - January 1945 The Battle of Leyte Gulf 23-26 October 1944
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