写真00


US_1_3_9_9Air & Armor(以下、本作)は、米国Compass Games社が2024年に発表したSLGで、テーマは1980年代における西ドイツでの地上戦だ。元々は米国West End社が1985年に発売したゲームで、今回の作品はオリジナルから約40年後に発売されたリメイク版になる。

基本システムについては、以下の動画で既に紹介済なので、ご覧頂きたい。



今回プレイしたシナリオは、シナリオ3.Out of the Fogである。このシナリオは、シュヴァインフルト北部から南下してメイン川渡河を目指すソ連軍第39自動車化狙撃兵師団と、それを阻止せんとする米第3歩兵師団第1旅団との戦いを描いたシナリオである。このシナリオは、以前に紹介したシナリオ2に比べると登場兵力はやや少なめだが、戦場はかなり狭い領域になっている。今回、うp主は米軍を担当した。



状況

US_1_3_9_9このシナリオは、ソ連軍が1個師団、米軍が1個旅団なので、兵力比でいえば2:1~3:1ぐらいでソ連側が優位に立っている。しかし米軍にも有利な点がいくつかある。それは、

 1)戦車性能が上回っている(米軍はM1A1エイブラムス、ソ連軍はT-62またはT-80)
 2)初期配置で全ユニットが陣地下にいる
 3)地雷原が設置されている

この中で一番有力なのが2)で、特に敵の砲爆撃を受けた際に有利になる。実際にプレイしてみるとわかるが、このゲーム、陣地の効果はかなり大きい。特に砲爆撃に対する抵抗力がかなり異なってくる。だから初期配置の段階で全てのユニットが陣地下にいるというのは結構大きい利点になる。

セットアップ

写真01


上の写真はセットアップ時の状況である。このシナリオでは、マップの上半分しか使用しない。従って赤い透明チップを含むヘクスから下の部分はシナリオでは使用しない。ソ連軍はマップの左側から進入し、中央右側を流れるメイン川渡河を目指す。米軍はそれに対して道路沿いに縦深配備している。本気で戦えば兵力差で押しつぶされてしまうので、序盤は地積を利用して遅退戦術を行う構えだ

1~2Turn

US_2_11_5_4ソ連軍は順次マップに進入してくる。米軍はチョークポイントに機甲偵察大隊を配置して遅退行動を行う。道路上を前進してくるソ連軍に対して米軍の砲兵部隊が遠距離射撃を行い、若干の戦果を上げた。

写真02
写真03

3Turn

RU_117G_39G_4_3霧が晴れた。最前線を進むソ連軍第117自動車化狙撃兵連隊が、米軍の戦車部隊と接敵した。ソ連軍の兵力は1個連隊、米軍は2個中隊程度の戦車部隊である。兵力差ではソ連側が圧倒的に有利であったが、戦闘の結果は逆であった。米軍戦車は陣地を利用して待ち伏せ戦闘を行い、さらに砲兵支援もあった。しかも地形は比較的開けていて戦車の性能が発揮し易い状況である。ソ連の自動車化狙撃兵連隊は米戦車の反撃を受けて兵力の半数以上を失い、瞬時に戦闘力を失った。

写真04


4Turn

取りあえず1個連隊を撃破したが、戦線左翼ではソ連軍の2個連隊が米軍の防御ラインを抜けてシュヴァインフルトに迫ってきた。
写真05



米軍は諸兵科連合のタスクフォースを編制し、最前線を進むソ連部隊に反撃を加えた。激しい戦いで米軍も機械化歩兵2個中隊を失ったが、ソ連軍の1個連隊に打撃を与えてその先鋒を挫いた。

写真06


戦線右翼を前進してきたソ連軍の戦車連隊に対し、M1戦車の1個大隊が反撃を加えた。戦車性能に勝る米軍戦車は、ソ連戦車を各個に攻撃し、これに大きな損害を与えた。

写真07


5Turn

US_A-10ソ連軍の先鋒がメイン川に近づいて来たので、米軍砲兵部隊は、ADM(空中発射型散布地雷)をソ連軍の進撃路に散布してその進撃を止めようとした。しかしソ連軍の中で唯一無傷の第120狙撃兵連隊が散布地雷原を強行突破し、遂にメイン川に取りついた。

写真08


米軍部隊は航空支援を要請。A-10サンダーボルトの1個中隊が飛来した。最前線を進むソ連機械化歩兵部隊を攻撃し、約1個大隊の戦力をスクラップにした。

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6Turn

RU_120G_39G_3_3ソ連軍自動車化歩兵の一部がメイン川を渡河し、対岸に橋頭保を築いた。米軍は戦車2個中隊をメイン川南岸に移動し、渡河してきたソ連軍に反撃を行う布陣をしく。さらに前線に進出してきたソ連軍砲兵部隊を偵察部隊が発見。MRLS部隊が先制射撃を加えてソ連自走砲部隊を撃破した。

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感想

RU_15G_39G_5_4この時点でゲーム終了とした。このシナリオは全7Turnとなっているので残りは1Turnだが、残り1Turnではソ連軍の渡河できる兵力が限られており、勝利条件的にソ連側の勝利が不可能と判断されたためだ。
米軍の勝因はソ連側に大きな損失を強いた事。それにより獲得したVPに大きな差がついたためだ。陣地に籠ってソ連側に出血を強いつつ、適宜反撃して各個撃破を図った作戦が図に当たった形となった。
ソ連側プレイヤーの談としては、序盤に米軍の砲撃によって複数の工兵隊を失ったのが痛かったとのこと。確かに工兵部隊は目立たないが、本作では陣地構築、渡河支援、地雷掃討など、結構重要な役割を担っているので、不用意に失うことは禁物かもしれない。

それにしてもAir & Armorは面白い。ルールは比較的シンプルながら、歩戦連合部隊の作戦と遠戦兵器による長距離打撃を同時に楽しむことができる。さてさて、次はどのシナリオをプレイしようかな?

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