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コマンドマガジン Vol.181『北海道侵攻』 「北海道侵攻」は、2025年に発売されたコマンドマガジン181号の付録ゲームで、1990年代にソ連軍が北海道に侵攻したケースを扱った仮想戦ゲームだ。元々は1988年に翔企画からSSシリーズの1作品として発売された同名作品のリメイク版である。今回のコマンドマガジン版には、SSゲームに含まれていた北海道の地上戦ゲーム以外に、北海道周辺での海上戦闘を描いた「パシフィックヒート」も含まれている。

今回は、その中から地上戦ゲームをソロプレイしてみた。なお、「北海道侵攻」の地上戦ゲームを以後「本作」と呼称する。

まず本作の基本システムを説明する。
RU_342_DTR_765本作は北海道での日ソ両軍の地上戦闘を扱っていて、1Hex=約30km、1Turnは実際の1日に相当し、1ユニットは1個連隊または旅団相当である(一部大隊または師団規模あり)。基本システムは移動と戦闘の繰り返しで、ZOCは侵入即停止、ZOCtoZOCは1Hex移動のみ可。注意点としてZOCから離脱したユニットは、そのTurn中にZOCへ再侵入できない(これは実際のプレイで結構忘れていたかも・・・)。

JP_2_3CT_555地上戦闘は比率方式のMay Attack。要注意点としてソ連軍は複数の師団が同じ攻撃に参加できない。これが兵力でSDFを圧倒しているハズのソ連軍の足を引っ張ることになる。また地形効果はダイス修正だが、特に荒れ地の防御効果が結構デカイ。戦闘結果は攻撃側と防御側への損害ステップ数として与えられるが、後退を選択すれば損害ステップ数はチャラにできる。とはいえ戦闘後前進が2Hex認められるので、損害を嫌って後退ばかりしていると、他の友軍部隊が包囲されてしまうことにもなりかねない。さらに先にも述べた通り荒れ地の防御効果が大きいので、防御地積に限りのあるSDF側は泣く泣くステップロスで土地を死守するような展開になる。対するソ連軍も、相手を後退させないために自身の損害を耐えつつ現時点に踏みとどまる必要がある(攻撃側が後退してくれたら、防御側が後退しても戦闘後前進を食らわないので安心)。なお敵ZOCを通過する後退は、たとえそのHexに友軍ユニットが存在していても禁止である。

注:ルールブックを読めば、攻撃側が退却した場合でも戦闘後前進できるようにも読めるが、常識的に考えて攻撃側が退却しなかった場合のみ戦闘後前進を認めるとすべきだろう。

Z_Empty補給ルールは補給線を引く方式で、自身の支配する港湾が補給源となる。SDFは地形や距離に関わらず補給線を引けるが、ソ連軍は道路沿いにしか補給線を引けず、補給下の道路に隣接している場合のみ補給下となる。逆にいえば道路から2Hex以上離れたら補給切れになる。これが結構厳しい。また敵ZOCによって補給線は遮断されるが、友軍ユニットの存在によって敵ZOCを中和することはできない(このあたりは古いゲームっぽい)。
補給切れのユニットはZOCを失い、攻撃禁止、移動は1Hexのみ可能だが、味方補給源に近づくように移動しなければならない。なお、第6Turnまでのソ連軍は補給切れを無視できる。

JP_201TFS_2AW_710ここまでが地上戦ルールだが、本作には航空戦ルールもある。航空戦は制空戦闘と対地攻撃の2種類がある(他に対船団攻撃も可能だが、攻撃成功率を考えると対地攻撃の方が明らかに「美味しい」)。制空戦闘は相応の航空ユニットが1対1で空中戦を行い、空戦結果表で相手の空戦値以上の結果が得られればステップロスできる。制空戦闘に投入できるユニット数は両軍とも最大6ユニットで、戦闘の組み合わせはSDF側が決めることができる(この点でSDF側はほんの少しだが有利と言える)。空戦自体は無制限ラウンド制なので、どちらかが撤退を宣言するか全滅するまで続くことになる。

RU_11FBR_140対地攻撃は目標Hexを指定し、出目が対地攻撃値以下なら目標が1ステップする。対地攻撃のダイス目は制空権の有無や天候によって増減し、修正前または修正後のダイス目が6以上なら攻撃を行った航空機がステップロスする。なお対地攻撃に投入できる航空ユニットは最大6ユニットなので、特にゲーム終盤の西側陣営は仕事にあぶれた航空機が溢れてくることになる。

とまあ、こんな感じだが、取りあえずゲームを始めてみよう。

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1Turn

RU_1FR_1FD_700まず航空戦である。ソ連軍は6ユニット、SDFも6ユニットを制空戦闘に投入した。結果は両方とも3ステップずつを失う。SDFが空戦を切り上げたので、ソ連空軍が制空権を獲得した。SDFが空戦を切り上げた理由は、第1Turn特別ルールでソ連空軍に有利なDRMが適用されるためである。

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ソ連軍の第1波が上陸を開始した。第342自動車化狙撃兵師団は稚内からオホーツク海岸の浜頓別、枝幸付近に上陸し、海軍陸戦隊は北方領土を発して斜里と根室に上陸した。
紋別ではソ連第342師団の第1146連隊と空中機動旅団が、SDF第2師団25CTを包囲し、これを殲滅した。しかし名寄ではSDF第2師団の精鋭3CTがソ連軍の攻撃を撃退した。

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注:ソ連の空挺部隊は音威子府の隣接Hexにしか降下できないので、紋別付近への空挺部隊投入はルール違反である。

SDFは名寄を放棄し、旭川に第2師団を集結させる。

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2Turn

天候は荒天。これによりソ連軍の増援が1Turn遅れる。悪天はソ連軍にとっては痛い。
ソ連軍はSDF第11師団を活性化させないように旭川盆地の北端まで出て止まっている。

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注:SDFの各師団は、麾下の師団のいずれかのユニットの4Hex以内にソ連軍ユニットが侵入しない限り、移動できない

SDFは旭川~深川の線で防衛ラインを組む。

3Turn

Z_Weather天候は曇天。SDFには増援部隊が到着する。小松駐在第6航空団の第205飛行隊と築城基地の第8航空団第207飛行隊だ。いずれもF-15Jイーグルを装備している。
しかし航空戦はソ連軍のダイスが冴えわたり、最初の交戦でSDFの戦闘機4ステップを失ってしまう。ソ連軍の損害は2ステップのみ。SDFは損害を回避するために引き上げたので、ソ連側が制空権を確保した。

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制空権を握ったソ連軍は空中機動によって旭川を守るSDF第2師団を包囲した。ソ連第342師団がSDF第2師団を攻撃するも、SDF師団はギリギリで生き残った。

SDFは新たに活性化した第11師団を中心に留萌~日高山脈のラインで防衛ラインを組む。

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4Turn

JP_2_3CT_555天候は晴天。両軍の戦闘機が激しい制空戦闘を繰り広げた。SDFの損害は5ステップ、ソ連空軍はその2倍にあたる10ステップを失う。そしてSDFは遂に制空権を確保した。

ソ連軍は旭川を守備していたSDF第2師団を遂に壊滅に追い込んだ。SDFの残存部隊は、岩見沢~夕張のライン迄後退する。

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つづく



コマンドマガジン Vol.181『北海道侵攻』 コマンドマガジン Vol.177『ヴュルツブルク』
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