
「北海道侵攻」は、2025年に発売されたコマンドマガジン181号の付録ゲームで、1990年代にソ連軍が北海道に侵攻したケースを扱った仮想戦ゲームだ。元々は1988年に翔企画からSSシリーズの1作品として発売された同名作品のリメイク版である。今回のコマンドマガジン版には、SSゲームに含まれていた北海道の地上戦ゲーム以外に、北海道周辺での海上戦闘を描いた「パシフィックヒート」も含まれている。
今回は、その中から地上戦ゲームをソロプレイしてみた。なお、「北海道侵攻」の地上戦ゲームを以後「本作」と呼称する。
前回までの展開は-->
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5Turn

天候は荒天。航空支援がないのはどちらにとって益があったか・・・?
それはとにかくソ連軍3個師団が北海道中枢部に向けて突進していく。激しい戦いでソ連側機甲部隊もかなりの損害が出たが、SDFもソ連軍の圧力に耐えられず、防衛ラインを一歩後退せざるを得ない。もう石狩平野は目前だ
6Turn
天候は晴天。SDFが制空権を握った。ソ連軍はなおも石狩平野に向けた猛攻を加える。一部では虎の子のスペツナズまで投入して突破を図った。SDFは現戦線から半歩後退し、ついに虎の子第7師団を前線に投入した。
7Turn

天候は曇天。SDFが制空権を握った。地上戦は明らかに力押しの様相を見せている。兵力に勝るソ連軍であったが、異なる師団で共同攻撃できないルールのため、その兵力優位を生かし切れていない。それでもSDFの損害は徐々に嵩んでいく。今までは少しずつ下がりながら損害の回復を図っていたSDFであったが、戦場が石狩平野に入ってきて、最早下がる余地はない。ようやく増援で現れた米軍部隊と、本土から青函トンネル経由で北海道に上陸した第9師団の部隊と共に、最終防衛ラインを整える。
8Turn

標準ゲームの最終Turnである。もはやソ連側に勝機は乏しいが、それでも全力攻撃を加える。札幌前面では、ソ連軍第45親衛自動車化狙撃兵師団とSDF第7師団が激しい戦車戦を繰り広げる。双方とも2ステップずつを失ったが、ソ連側は唯一の戦車連隊が壊滅、第7師団は保有する3個連隊が全てステップロスするという大損害を被った。その他の戦線でもソ連軍は激しく攻撃をし続けるが、SDFの防衛線を破ることができなかった。そうこうしている間に日米の航空部隊が空を覆い、前線で戦うソ連軍部隊の上に爆弾の雨を降らせた。これらの航空攻撃で、ソ連軍第79自動車化狙撃兵師団、同第343師団、同194師団がいずれも大損害を被り、さらに先にSDFと激しい戦車戦を戦った第45親衛自動車化狙撃兵師団はさらなる損害を被って事実上攻撃能力を失った。
SDFは第9師団に続いて増援で到着した第10師団、さらに米第25師団等で戦線を立て直し、その間、損害を被った第7師団を札幌付近に後退させて兵力の回復を図った。
この時点で札幌、千歳、苫小牧に接敵できなかったソ連軍の敗北が確定した。
9Turn
最後まで結果を見届けたいので、もう少しゲームを続けよう。
このTurn天候は晴れ。SDFは第11師団と第5師団が日高方面で反撃を行い、損害を被りつつも第11師団が日勝峠まで進出した。
10Turn

第1空挺団が旭川北方に降下した。ただちに深川~旭川間の国道40号線に布陣し、ソ連軍の連絡線を遮断する。そして岩見沢東方ではSDF乾坤一擲の大反撃が開始されていた。大規模な航空爆撃の後、SDF第7師団が突破展伸を測る。しかしソ連軍決死の防御によって突破はならず。岩見沢付近で攻勢を止められていた。
11Turn

旭川付近に降下したSDF第1空挺団は、ソ連戦車部隊の猛攻を受けて壊滅してしまう。しかし彼らの活躍によって前線のソ連軍の大半が補給切れとなってしまう。その隙をついてSDFが猛反撃を実施。岩見沢~深川間の国道12号沿いに前進を開始した第7師団は、砂川付近でソ連軍歩兵連隊を撃破し、一気に深川の南まで食い込んだ。
南では日勝峠を降りてきたSDFと米軍の合同部隊が帯広市を守るソ連軍2個連隊を包囲し、これを撃破して帯広市を解放した。
さらにその東では、米第3海兵師団が釧路市の東西に上陸し、釧路市を包囲。同地を守るソ連軍2個連隊に対して激しい攻撃を行っていた。
12Turn

ここで天候が荒天となってしまった。航空戦力で一気に大勢を決したかったSDFだが、その意気は殺がれた。それでも包囲下の釧路はこのTurnに解放。第7機甲師団は深川~旭川間の国道40号線のラインにまで進出していた。
ちなみにこのTurnに勝利判定がある。ソ連が釧路、富良野、深川、留萌の全部を保持していればソ連側の勝利。2~3か所なら引き分け、0~1ヶ所ならSDFの勝利となっている。今回は富良野、釧路をSDFが奪回していたので、引き分けということになった。
13-15Turn
一応最後までプレイしたので結果を記す。
SDFは旭川と紋別を奪回した。ソ連軍の大半は撃破され、残余の部隊が包囲されて残っているだけの状況。ソ連軍による日本侵攻は失敗に終わったことになる。
感想

少なくとも序盤は面白かった。通常ゲームの第8Turnまでは緊迫した展開を楽しむことができた。プレイした感じではSDF側が計算しながら後退するとギリギリで勝利できるのではないかと思う。そういった意味ではSDF側が有利なゲームかもしれない。とはいっても天候や空戦といった不確定要素があるので、必ずしもSDF側が必勝ではないとは思うが・・・。

第9Turn以降はややダレた展開になった。特にソ連側への補給制限が厳しいので、効果的な防衛ラインを引くことが困難になる。帯広平野ではソ連軍が補給ルール上側面展開できないので、SDF側の側面迂回に対応するのが困難になる。旭川方面でもSDF側の突破を一旦許せば、ソ連全軍はまとめて補給切れになる危険があり、一気に対応できなくなる。このあたりは守り方に工夫が必要かもしれない。まあ長期戦では勝利条件的にソ連軍がSDF側に勝利できる可能性があるかもしれないが、日米の爆撃隊によってボロボロにされ、側面に回り込むSDF地上部隊に翻弄されている状況では、ゲーム上での勝敗などどうでもよくなるかもしれない。そういった意味で対戦ゲームとして意味があるのは第8Turnまでの通常ゲームで、延長ゲームはあくまでもオマケ程度に考えておいたほうが良い。
いくつか気になる点もあったが、少なくとも悪名高き「SDFシリーズ」に比べれば、まだちゃんとしたゲームになっている分、良いゲームだと思う。航空戦ルールを導入しても半日あれば十分にプレイできる作品なので、機会をみつけて再戦したいと思う。


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