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「英国海軍」(以下、本作)は、1990年代に発売されていた同人ゲームである。テーマはWW2の海戦で、全世界における海戦を1ユニット=重巡以上の大型艦1隻のスケールで再現する。

本作の基本的となるシステムは、かつての名作ゲームWar at Sea(WaS)及びVictory in the Pacific(VitP)である。実際、カウンターデザインやレーティング、さらにマップデザインやレイアウトはWaS、VitPに酷似している。

ゲームシステムもWaSやVitPのものを踏襲しているが、WaS/VitPではゲームの複雑化を避けるために簡略した部分を、本作ではあえてゲームシステムに組み込んでいる。やや推測を交えて評するなら「WaS/VitPのシンプルなシステムに満足できなかったウォーゲーマーが欲望に任せてルールを追加したゲーム」と言えるかもしれない。

余談だが、筆者が生まれて初めて購入したウォーゲームはVitPであった。箱を空けてルールを読んだ時の「失望感」は今でも忘れることができない。

「嗚呼、筆者が夢にまで見た"うぉーげーむ"なるものは、こんな「玩具」じみたゲエムだったのか・・・」

と。
だから筆者も本作ゲームデザイナーの気持ちは痛いほど理解できる。かくいう筆者もVitPの簡単すぎるルールに満足できず、自作で戦術マップを作成し、さらに1ユニット3機単位の空母戦ルールのようなものまで自作したぐらいであったのだから・・・・


閑話休題。
本作で導入されたルールは多岐に渡る。戦闘システムでは重巡vs戦艦における重巡の不利(WaS/VitPでは、重巡を複数隻集めれば戦艦を比較的容易に撃破できた)、重巡の短い航続距離、空母戦でのCAPや対空砲火、海戦における任務群の編制、東京急行、未成艦の建造と既存艦修理との関係、ドイツ仮装巡洋艦、日本軍航空部隊の練度低下とパイロット教育、航空戦艦伊勢/日向、水上偵察機、米旧式戦艦の近代化改装、隼鷹/飛鷹の機関故障等等。他にも中小国のルールや大国別の特別ルール等が多数あり、ルールを読んでいても「くらくらする」感があった。

なお、本作は元々は全世界での海戦をテーマとしたゲームであり、そのため基本的には米英独日の4人プレイが基本スタイルとなっている。ただし現実問題として4人プレイはプレイスペースやプレイ人数の関係でなかなか実現が難しい。そこで今回は太平洋戦争シナリオをプレイしてみた。筆者は日本軍を担当する。

5Turn(1942年前半)

太平洋戦争シナリオは真珠湾攻撃直後から開始される。つまり真珠湾攻撃の結果はOBに反映済ということだ。余談だが、この「真珠湾攻撃直後からのスタート」というアイデアは秀逸と思う。というのも、真珠湾攻撃自体は太平洋戦争開始時の重大イベントだが、まともにプレイすると時間がかかるのみならず、結果が極端な方に触れるとその後のゲーム展開そのものを破壊しかねないからだ。

ただしインドネシアに対する奇襲攻撃ルールは適用される。なお、本作では英軍がシンガポールにプリンスオブウェールズ、レパルスを派遣する必要はない。ただし戦艦を派遣しないといきなりセイロンに日本軍が侵攻してくる恐れがある。それが嫌なら2隻ぐらいの「かませ犬」戦艦を派遣するしかない。

今回のプレイでは連合軍プレイヤーは史実通り2隻の新型戦艦、巡洋戦艦を派遣し、そして共に陸攻隊の餌食となった。

写真01_1941年12月マレー沖海戦


その他、日本軍はミッドウェー、南太平洋に進出し、インドネシアと合わせて合計6つの海域を支配した。日本軍は13VPを獲得し、連合軍は10VPを獲得した。ちなみに太平洋シナリオでは連合軍の11VPからスタートするので、現時点で連合軍の8VPである。このペースで果たして日本側に勝ち目があるのだろうか・・・?

写真02


6Turn(1942年中盤)

セイロン島に英軍の大規模増援が到着したので、英東洋艦隊がインドネシアに反攻戦を仕掛けてきた。日本軍は就役したばかりの最新鋭戦艦「大和」を筆頭に艦隊をインドネシアに派遣して英海軍を迎え撃つ。海戦は日本海軍の勝利に終わり、日本軍はインドネシアを守り切った。

写真03


またもや余談だが、このゲームではVitPとは異なって英海軍の行動能力に制約を設けていない。VitPの場合、英海軍は長距離行動できないように足枷をしているのだが、本作ではそのような制約がないので英海軍がかなり積極的な活動が可能となっている。日本軍としてはちょっと納得できない部分ではある。

さらに日本軍は珊瑚海に進出し、米豪連絡線の遮断を図る。一方の米軍はミッドウェーに反攻作戦を仕掛けてきた。VitPでもそうだったが、連合軍は常に日本軍の移動を見た後で移動できるので、日本軍の弱い所突いて攻撃することができる。慌てて空母「瑞鶴」「翔鶴」「飛龍」「蒼龍」等の高速空母を中心とする部隊をミッドウェー近海に派遣し、ミッドウェー沖で日米の空母戦が起こった。練度に勝る日本空母群は米空母に大きな損害を与え、米空母3隻を撃沈したが、日本軍も「飛龍」「瑞鶴」「翔鶴」の3艦を失い、大きな損害を被った。

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このTurn、日本軍は珊瑚海の支配を確保したものの、ミッドウェーの支配を失う。日本軍は14VPを得て、米軍は9VPを得た。現在の総VPは連合軍3VPである。おっと、なんだか調子良いんじゃないかな、日本軍。

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7Turn(1942年後半)

連合軍の基地航空兵力が巨大化してきたので、最早珊瑚海を占領し続ける事は難しい。オーストラリアは巨大な航空基地と化しており、珊瑚海はその航空威力圏内にあるからだ。最早珊瑚海に主力艦や空母を派遣するのは自殺行為に等しい。
日本軍はマーシャル諸島から南太平洋、インドネシアに至るラインに絶対防衛ラインを構築し、来航する米艦隊を迎え撃つ布陣とした。
一方の米軍は残存空母部隊の大部を以て再びミッドウェー近海に来航してきた。ミッドウェー近海で再び日米の空母部隊同士が激突する。この戦いでも日本空母は練度の冴えをみせて米空母3隻を撃沈、これで開戦以来第1線で戦ってきた米空母は全て失われたことになる。対する日本軍も空母「蒼龍」と軽空母2隻を失う。

このTurn、日本軍は珊瑚海の支配を失い、獲得したVPは12VPとなる。対する米軍は11VPを得た。現在の総VPは連合軍2VPである。1942年終了段階でも米軍の方がVPで勝っているので、最早日本側に勝ち目はないだろう。

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つづく


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