Air & Armor(以下、本作)は、米国Compass Games社が2024年に発表したSLGで、テーマは1980年代における西ドイツでの地上戦だ。元々は米国West End社が1985年に発売したゲームで、今回の作品はオリジナルから約40年後に発売されたリメイク版になる。
基本システムについては、以下の動画で既に紹介済なので、ご覧頂きたい。
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今回プレイしたシナリオは、シナリオ4.The Last Reserveである。このシナリオは、開戦劈頭前線を撃破したソ連第8親衛軍がNATO第7軍団を完全に撃破すべくその後方地域へ突破しようとする状況を再現するものである。ソ連軍の主力は軍の予備兵力である第27親衛自動車化狙撃兵師団と空中機動大隊、NATOは急遽投入された西ドイツ第54郷土防衛旅団と第3Turnに登場する第27装甲旅団である。
今回の参加者は2名で筆者はソ連軍を担当した。
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状況
初期配置されているのは、西ドイツ第54郷土防衛旅団で、マイン川沿いに配置されている。マップ中央の都市はヴュルツブルクである。ソ連軍はマップ東端より侵入してくる。ちなみにマイン川の橋梁はNATO軍が事前に破壊できる。恐らくヴュルツブルクの中にある橋梁を除いてすべて破壊されているだろう。そして第3Turnに西ドイツ第27装甲旅団が増援として登場してくる。
次に勝利条件を見てみよう。西ドイツ軍の増援が登場してくるマップの南西端から第27親衛自動車化狙撃兵師団を突破すればソ連軍が決定的な勝利する。まあそこまで行くのは結構大変だと思うので、それ以外の勝利条件を確認すると、まずヴュルツブルクへの補給線が残っているとNATO側が勝利得点を獲得する。さらに国道19号線の西側にソ連軍が突破するのに失敗すると、NATO側が決定的勝利となる。
この状況でソ連軍たる筆者は以下のような方針を立てた。
1)主攻勢はマイン川の南側で行う。戦車連隊を含む3個連隊を同方面に投入し、NATO防衛線の突破を図る
2)一部兵力(1個連隊)をマイン川の北側に投入し、NATO側防衛戦力の分散を図る。
さてさてどうなることやら・・・。
SetUp
NATO軍の展開はおおむね予想通りだったが、主戦力をマイン川の南岸部に集中してきたのが違っていた。第27親衛自動車化狙撃兵師団は西ドイツ郷土防衛旅団が全力展開している正面に突入することになるので、かなりの出血を強いられそうだ。
1-2Turn
当初の予定通りソ連軍は二手に分かれて進撃する。第243自動車化狙撃兵連隊がマイン川を渡河してマイン川北岸を迂回するコースをとる。一方主力の3個連隊(戦車連隊1個、自動車化狙撃兵連隊2個)が西ドイツ軍の正面から突入する構えをとる。
3Turn
正面からソ連軍3個連隊がNATO防衛ラインに対して攻撃を加える。NATO側の防御射撃によって主に歩兵戦闘車部隊に損害が出たが、兵力に勝るソ連軍はNATOの防衛ラインを突破した。
一方、NATO側の増援部隊である西ドイツ第12装甲師団麾下の第34装甲旅団が登場してきた。レオパルド2戦車やマーダー歩兵戦闘車など、最新鋭の装備を誇る部隊である。彼らの前進を止めるため、ソ連第900航空突撃旅団の歩兵部隊が西ドイツ装甲部隊の前面に立ちふさがる。もとより西ドイツ軍を阻止することはできないが、少しでも彼らの前進を遅らせるのが目的だ。
4Turn
防衛ラインを突破したソ連軍主力がマイン川に沿って西進し、ビュルツブルグに向かう。西ドイツ第34装甲旅団も広く展開してソ連軍の前に立ちふさがる。西ドイツ空軍のトーネード攻撃機が飛来し、低空爆撃によってT-80戦車2ステップが失われた。
5Turn ソ連軍の主力がビュルツブルグ市内に突入した。ビュルツブルグに向かっていたNATO軍のマーダー歩兵戦闘車2ステップが、Su-17戦闘攻撃の爆撃によって撃破されてしまう。ソ連軍はビュルツブルグの主要部を占領したが、まだ西端部分にNATO軍の一部が布陣していた。
6Turn
反撃を行おうとしている西ドイツ軍部隊に対し、ソ連軍の砲兵部隊が先制射撃を行った。レオパルド2戦車部隊に集中射撃を行い、1ステップを失わしめ、さらに残り部隊を足を止める。
ソ連軍BMP部隊はビュルツブルグ市の西端部に残る西ドイツ軍歩兵部隊を攻撃し、これを撃破。ビュルツブルグ市全体をソ連軍が占領した。
さらにその西方では、マイン川北側を迂回してきたソ連軍自動車化狙撃兵連隊がマイン川を再渡河してNATO軍の背後に回り込む。この時点でNATO側は勝機なしとして投了した。
感想
プレイ時間は丁度5時間ぐらいだった。Air & Armorの中では小規模なシナリオだが、展開が劇的で面白い。このシナリオも序盤の兵力展開と中盤の激突。そしてソ連軍が前線を突破した後のNATO増援部隊との対決など、それぞれの場面に見せ場がある。本文を読んでいるとアッサリと終わったような印象を受けるかもしれないが、個々の戦闘場面は結構燃える。今回勝利に終わったソ連軍も決して無傷というわけではなく、歩兵戦闘車10ステップ、戦車2ステップ、その他2ステップを失うという損害を被っていて、結構激しい射撃戦を戦ったことがわかる。
Air & Armorには他にも色々なシナリオがあり、プレイするのが楽しみだ。
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