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背景

時に1990年、ソ連の支援を受けた共産ゲリラがジャマイカ、エルサルバドル、コスタリカ、ハイチ、ドミニカ共和国で権力を掌握した。キューバ陸軍の大部隊がこれらの諸国における反革命勢力を一掃すべくソ連の輸送船に乗って現地へ向かう。対する米軍も緊急展開部隊(RDF)をホンデュラスとパナマに展開。さらに大統領命令で戦闘部隊がフロリダ南部に集結した。

斜陽のソ連共産党書記長は米国に対し「キューバ・ニカラグアへの侵攻はソ連本土への侵攻とみなす」と声明を発表。実際、数千名のソ連地上部隊及び航空機数個中隊が既にキューバ各地に展開していた。

さらに最近になって2つの大規模なソ連輸送船団がキューバに到着していた。CIAは、それらの船団には通常の軍事物資に加えてSS-20及びスカッドB弾道ミサイルが搭載していたことを大統領に報告。スパイの報告によれば、これらの船団はニカラグアとコスタリカを目指しており、そこからパナマ運河に対して弾道ミサイルによる狙いをつけるという。

米統合幕僚本部(JCS)は南方軍司令長官(CINCSOUTH)に対してこれらの船団を目的地に到達する前に撃破することを命令した。さらにJCSはCINCSOUTHに対して艦隊海兵部隊をカリブ海の主要部に派遣し、反革命勢力を支援することも求めていた。

SetUp

という感じで開始されたフリートシリーズ最終作「3rd Fleet」のシナリオ11「キューバミサイル危機(1990年代バージョン)」だ。空母、戦艦、ミサイル巡洋艦、原子力潜水艦といった現代海戦の花形が、カリブ海で激しく戦う派手目のシナリオである。

両軍の兵力をざっと見てみると、まずソ連軍。
トビリシ級(現アドミラル・クズネツォフ級)の空母が1隻、キエフ級軽空母1隻を主力とし、キーロフ級、スラヴァ級、ソブレメヌイ級、ウダロイ級といった水上艦艇が登場する。水上部隊の戦力は、空母2、ミサイル巡洋艦5、駆逐艦5、フリゲート艦2、コルベット艦数隻となる。水上部隊は4個群に分かれており、その内訳は輸送船団2個、空母「スベルドルフスク」を主力とするグループ(以下、スベルドルフスク機動群)、軽空母「キエフ」を主力とするグループ(以下、キエフ機動群)となっている。
他にはオスカー型巡航ミサイル搭載原潜が1隻、攻撃型原潜が2隻(アクラ型、ヴィクター1型)が登場。そして基地航空部隊としてSu24フェンサー、Su27フランカー、Tu26バックファイア各1個中隊と偵察機や電子戦機が登場する。他にキューバ軍が基地航空部隊(MiG-19、MiG-21、MiG-23)、ディーゼル潜水艦、ミサイル艇を率いて登場する 。

対する米軍は、ニミッツ級の原子力空母「ジョージワシントン」と通常動力の大型空母「アメリカ」が登場。戦艦「ニュージャージー」も老骨に鞭打って登場する。それを護衛する水上部隊は、ミサイル巡洋艦5(内イージス艦3)、ミサイル駆逐艦6(内イージス艦1)、フリゲート艦5といった陣容。他に強襲揚陸艦が11隻登場し、その中で最新鋭のワスプ級LHD「キアサージ」には、VMA-232所属のAV-8Bハリアーが搭載され、防空の傘を提供している。水上部隊は4群に分かれ、「ジョージワシントン」の空母機動部隊(以下、ワシントン機動群)、「アメリカ」と揚陸艦5隻を含む空母機動部隊(以下、アメリカ機動群)、「ニュージャージ」と「キアサージ」以下6隻の揚陸艦からなる水上打撃部隊(以下、ニュージャージ機動群)、そして海兵遠征部隊を輸送する輸送船団からなる。
基地航空部隊は、パナマ運河を防衛するF-15Cイーグル1個中隊、フロリダ州ホームステッド空軍基地に展開するF-16Cファルコン2個中隊、バミューダとキーウェストに展開するP-3Cオライオン2個中隊、海兵隊のF/A-18C/Dホーネット2個中隊とEA-6Bプラウラー1個中隊、そして旧式のA-7Eコルセア1個中隊がカリブ海各地に展開する。さらにエグリン空軍基地からは当時漸く正体が知られるようになった最新鋭ステルス攻撃機F-117Aナイトホーク1個中隊が登場する。
最後に原潜部隊は最新鋭のシーウルフ級「シードラゴン」とベテランのスタージョン級「ホークヴィル」、そしてさらに古いパーミット級の「グリーンリング」が登場する。

シナリオの目的は、両軍とも自軍輸送船を目的地に届け、相手輸送船団を阻止すること。その過程で敵の兵力に最大限の打撃を与えることとなる。

ゲームの長さは6Turn(2日間)。今回筆者はソ連軍を担当した。

1st Turn

キューバ北東海域で米空母「アメリカ」機動部隊がソ連機動部隊を発見。攻撃隊を発進させた。しかし、ソ連空母「スベルドルフスク」を発進したSh-27B、MiG-29B等の艦載戦闘機が米攻撃隊を迎え撃つ。空中戦で勝利したのはソ連側戦闘機隊で、米空母艦載機は約10機の損失機を出して撃退された。

米艦艇はキューバ国内の航空基地に対して次々と巡航ミサイルを発射した。戦艦「ニュージャージ」、イージス巡洋艦「ゲティスバーグ」「プリンストン」、攻撃型原潜「シードラゴン」等。しかしダイス目が振るわずミサイルによる航空基地への被害はなし。

F-117_Nighthawk


業を煮やした米軍は、遂に虎の子である最新鋭のステルス攻撃機F-117Aナイトホークを投入してきた。フロリダ半島の基地を発進した第4450戦術航空群所属のナイトホーク部隊は、キューバの首都ハバナの航空基地を攻撃した。レーダー網をかいくぐって侵入したステルス攻撃機は見事に爆撃を成功させ、ハバナの航空基地を使用不能に追い込んだ。

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2nd Turn

ニカラグアのソ連軍航空基地が、米空母「ジョージ・ワシントン」を発進した空母艦載機の集中攻撃を受けて壊滅してしまった。キューバでもハバナのソ連軍基地が米空軍機の猛爆を受けて壊滅寸前になってしまう。一方的にやられる一方のソ連軍だったが、対空砲火でF-16戦闘機をステップロスしたのがせめてものの慰めである。

SA-13


3rd Turn

ハバナのソ連軍基地はついに壊滅した。その一方でキューバ東方海域で合同し空母2隻体制となったソ連艦隊に対し、米空母「アメリカ」艦載機が戦爆連合による攻撃を仕掛ける。しかしここでもソ連軍艦載機による防空戦闘が威力を発揮し、米空母艦載機は撃退されてしまう。

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4th Turn

海戦2日目。キューバ東方海域で米ソ艦隊が激突する。

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米艦隊がフリゲート艦4隻を分離し、対艦ミサイルによる攻撃を仕掛けてきた。その攻撃を受けてキューバに向けて航行中のソ連弾薬輸送艦が撃沈されてしまう。
それに対するソ連軍は、潜水艦の攻撃によって米フリゲート艦1隻が沈没。さらにソ連空母「スベルドルフスク」を発進したMiG-29Bフルクラムの編隊が、キューバを発進したSu-24フェンサーの編隊と合同で米フリゲート艦1隻を爆撃し、これを撃沈した。

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5th Turn

ソ連軍の輸送船団は損害を出しながらも目的地に到着して荷揚げを開始した。その沖合では米ソの艦隊がなおも激しく戦っている。
米軍の残存フリゲート艦2隻に対して、ソ連の主力艦隊が果敢に接近戦を挑む。原子力重巡「キーロフ」、ミサイル巡洋艦「スラヴァ」等、重装備艦多数を持つソ連艦隊に対し、僅か2隻の米フリゲート艦は対抗するべくもなかった。2隻は集中攻撃を受けて撃沈されてしまう。

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6th Turn

最終Turnである。なおも執拗に攻撃してくる米潜水艦に対してソ連艦隊が反撃を実施。最新鋭のシーウルフ級攻撃型原潜「シードラゴン」はソ連艦隊の攻撃によって海の藻屑となった。

余談だが「シードラゴン」という艦名は架空のものであり、シーウルフ級に「シードラゴン」という艦名の艦はない。

USS_Jimmy_Carter_SSN_23


結果

米軍のVP

・航空機5ユニット撃破:15VP
・航空基地5ヶ所破壊:55VP
・輸送船等の入港:68VP
  合計 :137VP

ソ連軍のVP

・撃沈:攻撃型原潜1隻、フリゲート艦4隻
    掃海艇1ユニット、ミサイル艇2ユニット:23VP
・航空機1ユニット撃破:3VP
・輸送船等の入港:57VP
  合計 :83VP

差が50点で、シナリオ固有の勝利条件表に当てはめると、「ソ連軍の実質的勝利」となる。

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感想

「3rd Fleet」の中では比較的規模の大きいシナリオだが、シリーズの他作品の中級シナリオぐらいの規模感であった。プレイ時間も4時間ほどで、比較的手軽にプレイできる。
今回のプレイではソ連側の勝利となったが、米軍としてはソ連艦隊に対してもっと激しくパンチを浴びせることが必要だったということだろう。兵力に勝る米軍としては、ソ連艦隊に対して艦隊決戦を挑む必要があるということだ。

いずれにしてもフリートシリーズは面白い。水上艦、潜水艦、航空機といった現代海戦で主役を演じるそれぞれの役割をゲームの中で見事に表現している。ルールも必要以上に複雑化している訳ではなく、個々のシステムが洗練されていてプレイしやすい。

「フリートシリーズはやはりおもしろい」というのが今回の感想だ。

Blue Water Navy Game Journal 81-米中激突:現代海戦台湾海峡編
Tu-95/142ベア ヤコヴレフYak-38 ソ連/ロシア原潜建造史 ソ連/ロシア空母建造史