沈まぬ太陽3-御巣鷹山編
山崎豊子 新潮文庫
これまではNAL(Nation Air Line = 国民航空)での労働争議とそれに起因する人事問題がメインテーマであったが、この第3巻はNAL123便のジャンボ機が御巣鷹山に墜落し、520人が死亡するという大惨事と、その後の遺族たちの苦しみやNAL社員や関係者との確執がメインテーマとなる。なお、本書でNALという航空会社が、実在のJAL((Japan Air Line)をモデルにしていることは言うまでもない。
これまでは、主人公恩地元の会社との確執と恩地自身の苦しみが主なテーマであったが、本巻では実際に起こった大事故(1985年8月日航ジャンボ機の御巣鷹山墜落事故)がテーマになっているだけに、恩地だけではなく様々な登場人物が登場する。その中には実際の御巣鷹山事故関係者が実名で登場しており、現実と小説との境界がいよいよ曖昧になってきている。
とはいえ、本書における筆者の筆致は冴えわたり、事故発生場面や事故直後の救難活動、生々しい遺体確認の場面は、豊富な取材に基づくリアリティを感じる部分だ。また事故原因に関する考察についても十分に納得できるもので、あくまでもリアリティに拘った小説作りを感じる部分であった。
お奨め度★★★★
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