沈まぬ太陽5-会長室編(下)

山崎豊子 新潮文庫

沈まぬ太陽5
JALの御巣鷹山墜落事故をテーマとした小説で、この第5巻が最終巻である。前巻で利根川総理からの三顧の礼でNAL会長に就任した国見正之だが、労使間の対立をまとめることができず、次第に苦境に立たされる。会長室の部長職に就任していた主人公恩地元はNAL社内での不正な金銭の動きを追うが、そのことが逆に政府・マスコミの反感を買う。政府の支援を得られないと悟った国見は、遂に最後の決断をする。
とまあこんな感じで、テーマは御巣鷹山事故の後もJALを巣食っている腐敗と、それと戦う主人公たちという構図になっている。最終的に主人公たちは敗れるのだが、そこに筆者の無念さと怒りを感じる。
ただ、本書はあくまでも小説である。主人公の恩地や国見会長にはモデルになった人物が実在しているが、彼らに対する評価も毀誉褒貶がある。さらに主人公たちの視点から描いた小説なので、相手側の視点が欠落している感がある(自分が悪人だと大っぴらに主張する人間はいないので、著者の言う「インタビュー」の対象に本書で「悪人」とされている人々は含まれないと考える)。そういった意味で本書はあくまでも小説として楽しむのが正しい楽しみ方だと思う。

お奨め度★★★



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