King Tiger vs IS-2
David R.Higgins Osprey
1945年冬に行われたドイツ軍による「ゾネンヴェンデ」作戦は、ポーランドからドイツ本国を狙うソ連軍に対する局地的な反撃作戦だった。本書では、本作戦の中でも特にドイツ東部の都市「アルンスワルデ」の包囲戦に焦点を当てて、ドイツ軍のSS重戦車大隊に所属していたティーガー2(キングタイガー)と、ソ連軍IS-2重戦車の戦いを描いている。
オスプレイの他の対決シリーズと同じく、本書も主役となる両戦車の開発経緯、技術的特徴、戦略状況、戦闘部隊について解説した後、実際の戦闘場面とその後の分析を紹介している。
本書によれば、ティーガー2はIS-2よりも高価かつ精巧に作られており、そのために両者の対決ではティーガー2の方が高い撃破率を誇ったとしている。しかしその大重量と補給状況の悪化はティーガー2の戦闘遂行能力に悪影響を及ぼした。
一方のIS-2は、ティーガー2に対して1対1での勝利を目指さず、あくまでも数的優勢を以て敵を圧倒することを目指している。そしてその主砲である122mm砲は対戦車戦闘での命中精度や貫通力でライバルである88mm砲には及ばずとも、その大威力で歩兵や建造物には多大な威力を発揮し、対戦車戦闘でも装甲を貫通しなくてもその衝撃によってしばしば目標を無力化したという。
内容的な平凡であったが、独ソ両軍を代表する重戦車の特性を改めて認識できる好著である。
お奨め度★★★
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