「決戦!幕末維新」(以下、本作)は、Game Journal誌96号の付録ゲームで、テーマは幕末から明治維新期にかけての2つの会戦を扱ったSLGである。2つの会戦の1つは、幕末期に旧幕府軍と新政府軍が戦った鳥羽伏見の戦い。もう1つは西南戦争有数の激戦となった田原坂の戦いである。
この2つのゲームは、ゲーム自体は完全に別々になっていて、マップやユニットにも共通性はない。ただしルールはほぼ共通のものとなっていて、特別ルールの一部が異なっているだけである。従って実質的には「同じゲームの異なるシナリオ」的な扱いである。
ゲームシステムは、先攻後攻のプレイヤーTurn方式で、先攻側移動・回復フェイズ、後攻側射撃フェイズ、先攻側白兵戦フェイズという流れで、その後に先攻後攻を入れ替えて同じ事を行って1Turnが終了する。移動の後に相手側の射撃フェイズが入っているのがミソで、敵を攻撃するために接敵すると、まずは敵の防御射撃に耐えなければならない。
移動ルールは一般的だが、移動中にも適用されるスタック制限が特徴的。スタックできるのは1枚、つまりスタックできない。このルールのおかげでプレイ感覚はとても軽い。
射撃戦はファイアパワーで、命中率は結構高い。命中すれば自動的に混乱状態になるので、敵の射撃を切り抜けるのは結構至難の業である。だから複数のユニットを接敵させて射撃を受けないユニットを作るとか、こちらの射撃で相手を混乱させてから接敵する(混乱状態のユニットは射撃力を失う)とか、工夫が必要になる。
白兵戦は戦力差で結果は防御側のモラルチェック。射撃と違って自動的に混乱することはないが、白兵戦でモラルチェックに失敗すると混乱状態になるだけではなく後退も強要される。さらにすでに混乱状態のユニットが白兵戦でモラルチェックに失敗すると、問答無用で除去となる。従って敵ユニットを除去したり、追い払ったりする効果は白兵戦の方が大きいかもしれない。
今回、本作の中から比較的シンプルと思われる「鳥羽伏見の戦い」をVASSALでソロプレイしてみた。
1Turn
ゲーム開始時点で戦線は鴨河東岸の城南宮方面と宇治川北岸・伏見町南部に分かれている。前者は横に広がる薩摩軍に対して縦に並んだ旧幕府軍が向き合っている状況。後者は両軍が共に横一列に並んで向かい合っている状況である。
城南宮方面では、幕府軍が北上して薩摩軍に攻勢を仕掛けていく。強力な白兵戦力を誇る見回組が薩摩軍を撃破して赤池を占領。ここに拠点を構える。
伏見方面では、両軍とも激しい銃火を交えるが、どちらかといえば火力に勝る新政府軍が有利に戦いを進めている。
2Turn
火力と士気に勝る新政府軍が両方の戦線で優位にたってきた。一部例外を除くと火力や士気の面で新政府軍は幕府軍各ユニットを完全に凌駕しており、特に幕府側についた諸藩の歩兵部隊などは全く以てアテにならない。
3Turn
新政府軍の一部が伏見から新高瀬川を超えて鳥羽街道方面に進出してきた。この動きをみてこれまで態度を明らかにしていなかった土佐藩が新政府軍の側にたって参戦。これによって背後を襲われた城南宮方面の幕府軍は、背後を断たれてしまう。
4Turn
城南宮方面と伏見方面では、それぞれ孤立した幕府軍が包囲されてしまう。新政府軍は鳥羽街道に布陣し、幕府軍の増援部隊を迎え撃つ構えだ。一方の幕府軍増援部隊は、淀方面から北上し、鳥羽街道方面と中書島方面に分かれて進撃している。ちなみにこのあたり、中書島や丹波橋には、現代京阪電車の主要駅があることで有名だ。
5Turn
城南宮方面、伏見方面ではほぼ幕府軍が一掃されてしまい、幕府軍は増援部隊で辛うじて戦線を維持している。その中で伏見の街の一角に立て籠もる新選組は、新政府軍の包囲攻撃に屈せず、なおも現時点を死守していた。
6Turn
幕府軍の増援部隊が反撃に転じてきた。横大路村と伏見町を東西に結ぶ街道上で、長州藩士の守る下三栖を包囲したのである。しかし長州藩士は幕府軍の猛攻を耐えている。
7Turn
新政府軍は、芹川、丹波橋、阿波橋、下三栖、肥後橋といった集落を防衛拠点とし、幕府軍の反撃を迎え撃つ。接敵した幕府軍であったが、新政府軍の激しい銃火にされされて、なかなか目標に近づくことができないでいる。
8Turn
早くも最終Turnである。現時点で敗色濃厚なのは幕府軍。しかし幕府軍がVPヘクスをいくつか奪取すれば、幕府軍による逆転勝利も夢ではない。幕府軍は芹川、下三栖、阿波橋、肥後橋といった拠点に対して猛攻撃を仕掛けてきた。
幕府軍は長州藩士が守る下三栖をついに奪回した。しかしその他の地点では幕府軍の反撃はことごとく失敗に終わり、さらに伏見の街中で奮戦していた新選組も、政府軍の激しい砲爆撃によってついに全滅の憂き目をみてしまう。
最終的に幕府軍が支配したVPヘクスは4Hexにとどまり、残り9Hexは新政府軍が支配するところとなった。新政府軍の勝利である。
感想
序盤で城南宮方面で幕府軍が攻勢を仕掛けたのは失敗だったかもしれない。それよりは鳥羽街道から芹川、上三栖、下三栖、阿波橋といったラインを守り、伏見方面と連携して戦うのが正解だったようだ。今回は城南宮方面と伏見方面が分断され、それぞれが包囲されてしまったので戦力の有効活用ができなかった。そうなる前に城南宮方面は後退し、伏見方面と連携しながら増援部隊を合わせて守りを固める。そして最終Turnまで逃げ切るというのが正しい戦略であったように思う。ゲームとしての感想だが、ルールはシンプルでわかりやすい。移動や戦闘を行ったユニットにはマーカーを置いて区別するようなシステムになっているが、マーカーを使わなくてもコマ数が少ないので行動実施の有無を記録するのは比較的容易だろう。
ちなみに姉妹編の田原坂の戦いも面白そうなので、是非プレイしてみたい。









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