South Pacific Air War Vol.3
Michael Claringbould/Peter Ingman Avonmore BooksSouth Pacific Air War
シリーズの第3弾。1942年5月から6月のポートモレスピーを巡る航空戦を扱っている。前巻では主にオーストラリア空軍第75戦闘飛行中隊のキティホークの戦いを扱ってきた。本巻では第74戦闘飛行中隊と入れ替わって米陸軍のP-39エアラコブラ装備の飛行隊がポートモレスピーに進出してきた。従って今回は台南空の零戦とエアラコブラの戦いが主なテーマになる。
巷間で言われている通りP-39は性能面で零戦に劣り、そのことは零戦との損失比にハッキリと表れている。この期間でP-39の損失機は59機で、対する台南空の零戦は21機を失った。P-39は意外と事故損失が多いためキルレシオはややP-39が有利になると思われるが、それでも両者のキルレシオは2:1前後になるだろう、この辺りの数値は、機会を見つけてもう少し分析したいと思う。
またこの期間のもう一つのトピックスは珊瑚海海戦である。この戦いで零戦と米海軍のF4Fワイルドキャットが初めて本格的に対決したわけだが、この海戦で失われた零戦とF4Fはそれぞれ9機ずつ(いずれも母艦上で失われた機数は含まず、他に日本軍は96艦戦2機を損失)。一方の撃墜戦果は米海軍が29~30機に対して、日本海軍が13~17機と、米側が圧勝している。ちなみに両軍の撃墜戦果のうち、零戦の戦果は11~14機でそのうちF4Fは5~6機、一方でF4Fの戦果は25~28機でそのうち零戦は6~7機とされている。キルレシオで見ても総合戦果で見てもF4Fは零戦よりも活躍している。つまり珊瑚海海戦の時点で既に「零戦神話」なるものは失われていたことが数値面かもわかる。
本書は比較的平易な英文で書かれており、しかもイラストが多くて読みやすい。しかも特筆すべきは日本側の連合軍側の航空機損失がほぼ1機単位で特定されていること(巻末の両軍機損失リストは圧巻である)。やや値段が高いのが難点だが、今まであまり知られてこなかった南西太平洋方面での連合軍の航空作戦について理解を深めることできるので、興味ある人にはお奨めしたい。
お奨め度★★★★
コメント