「TAC AIR」(以下、本作)は、1987年に米国Avalon Hill社から発売された現代戦ゲームである。冷戦時代におけるNATOとワルシャワ条約機構(WTO)の衝突を描く作品で、舞台は西ドイツ・ホーフギャップ周辺である。この地域は、米第7軍団とソ連中央方面軍集団が激突する地域で、本作以外にも旧SPI社Central Frontシリーズの「HofGap」や、WestEnd/CompassGamesの「Air & Armor」、さらには2024年にIEDから再販された「ヴュルツブルク」でも主戦場となっている。
今回はシナリオ7「Counterattack」をプレイしてみた。これは軍団アセットによって強化された米第1機甲師団が、ソ連軍機械化歩兵師団の防衛ラインを撃破し、北方への突破を試みるシナリオである。
今回はVASSALによるソロプレイとした。
前回までの展開は --> こちら
3Turn
ソ連軍が大きく後退したので、米軍は間合いを詰めるべく前進する。空ではF-111と爆装したF-16の編隊がソ連砲兵部隊を爆撃する。F-16の編隊はSA-9地対空ミサイルの反撃を受けて撃退されたが、F-111の爆撃は成功し、砲兵部隊に大損害を与えた。
その刹那、突如マップ北端から出現したソ連戦闘機が爆撃を終えて帰投中のF-111の編隊を奇襲攻撃する。連続攻撃を受けたF-111は大損害を被り、1.5編隊が失われた。護衛のF-15とF-16が直ちに反撃。離脱するMiG-29の背後からサイドワインダーを放ったが、命中しなかった。
さらに米軍機が撤退中の間、ソ連攻撃機の大編隊がマップ北端から姿を現した。狙いは移動中の米SAM陣地である。待機していたHAWKミサイルがMiG-27の編隊を強制撤退に追い込み、さらにSu-24の半個編隊を撃破。駆け付けたF-15の編隊がヘッドオンでスパローミサイルを発射してさらにSu-24の半個編隊を撃破したが、そこまでだった。残ったSu-24とSu-25が移動中のHAWK地対空ミサイル部隊を爆撃し、1個中隊を撃破した。離脱を図るソ連軍機に対し、駆けつけたF-16の編隊がサイドワインダーを発射。Su-24の1個編隊を撃墜した。
一連の攻撃でソ連軍はHAWK部隊1個の撃破と引き換えに最有力のSu-24 2個編隊を失い、損得勘定では割に合わない結果となってしまった。
4Turn
米第1機甲旅団がソ連軍防衛線に猛攻を加える。空からはA-10の大編隊が近接航空支援に飛来し、ソ連側の防衛線を突破した。ソ連軍も戦車2個大隊で反撃を実施し、米M2ブラッドレー大隊1個を撃破したが、些か焼け石に水の感もある。
5Turn
米第1機甲旅団がソ連軍前線を突破した。この時点で勝負あったということで、ゲーム終了とした。感想
今回のプレイを振り返ると、終始NATO側が主導権を握ったまま押し切る展開になった、というのが率直な感想である。序盤はまだ接触がなかったものの、対SAM攻撃でソ連側の長距離防空網を減らすことができたことで、「これで航空支援は通る」という手応えをNATO側は掴むことができた。
第2ターンにおけるNATO側の攻撃はまさに狙い通りで、砲兵・ヘリ・A-10の連携が綺麗に噛み合い、ソ連機械化連隊は決定的な損害を被った。一方でA-10がMiG-23のBVR攻撃を受けた場面では、SAM圏外からの攻撃の脅威も実感できたが、NATO側にとっては打撃力を維持できたのは幸運だった。
第3ターンはソ連側が温存していた航空戦力を大量投入し、NATO側もややヒヤリとする場面があった。特に帰投中のF-111が奇襲を受けて損害を出したのは結構手痛い損害で、もし両者が拮抗している状況であればかなり影響の大きい場面であった。ただ、その後のソ連側攻撃機部隊による反撃を、NATOはHAWKと戦闘機で迎撃できたことで、結果的にはソ連側の航空打撃力が大幅に減少してしまった。一連の航空戦でNATO側が優位を維持できたのが、勝負の分岐点だったように感じる。
第4ターン以降は、正直なところ流れは完全にNATO側に傾いていた。A-10の支援を受けた地上部隊の攻撃は非常に強力で、防衛線を突破できた時点で勝負は決まったと感じた。ソ連側の反撃もあったが、局地的な戦果にとどまり、大勢を覆すには至らなかった。
全体として、NATO側としては「やるべきことをやれば勝てる」シナリオという印象が強い。航空優勢とSAMの運用がうまく回れば、地上戦も自然と有利になる構造であり、大きなミスさえしなければ押し切れる感触だった。一方で、ソ連側は終始受けに回らざるを得ず、どこで主導権を取り返すのかが難しいシナリオだとも感じた。
ゲームとしてみた時、ルールはシンプルながら現代戦の雰囲気が良く出ている作品だと思う。戦力差方式のCRT、攻撃力と防御力のみというシンプルなユニットなど、ルールだけを見ると非常にシンプルである。これほどシンプルなルールで複雑な現代戦を再現できるのか不思議に思えるのだが、プレイしてみると現代戦ぽさが出ているのが驚きだ。また1Turnに両軍が10回ずつ動くという航空戦も、一見面倒に思えるが、実際にプレイしてみるとシンプルかつ空中戦の雰囲気をうまく再現している。
最後に本作を初めてプレイする人に対する軽いヒント。司令部や補給ユニットは可能な限り森や市街地ヘクスで非移動面にしておきましょう。これらが爆撃で潰されると、部隊全体の戦闘力が大幅にダウンするからです。特にSAM部隊の補給ユニットは絶対に露出させてはいけません。補給部隊を失ったSAM部隊は、弾切れに対応できないからです。
逆に航空攻撃で司令部や補給ユニットは第一優先目標と考えましょう。特に路上を移動モードでウロウロしている司令部や補給ユニットは、チャンスがあれば叩き潰すべきです。上手く行けば1個旅団を丸々戦闘不能に持っていくことも不可能ではありませんから。





