Military Classics Vol.94
イカロス出版
今号はまず、巻頭特集のパンター戦車がとても良かった。情報量がしっかりあり、メカ・戦歴・戦術・部隊編制まで一通り網羅されていて、読みごたえがある。パンター特集は過去にも何度か組まれているが、今回は構成が丁寧で、写真・図版・CGの使い方も上手く、資料としての満足度が高い。戦車特集はこういう「厚み」があると安心して読める。
一方で、第2特集の天龍型軽巡洋艦は、正直素材選びが失敗していると感じた。天龍型は確かに日本海軍史では重要な存在ではあるものの、誌面映えするほどの情報量やドラマ性がある艦ではない。写真資料も限られ、戦歴も地味で、どうしてもパンター特集の勢いに比べると弱い。せっかくの大特集枠なのに、題材の魅力が誌面の密度に追いついていない印象だった。
連載記事では、
・砲兵から見た戦後戦史
・ストライク・フロム・ザ・シー
・海外から見た太平洋海戦史
あたりが面白かった。特に「海外から見た太平洋海戦史」は、国内誌では珍しい視点で、連合軍側の評価や分析が入ると読み応えが増す。こういう記事がもっと増えてほしいのだが、今号も例によって連合軍関係の記事は少なく、そこはいつもながら残念に思う。
総じて、パンター特集の強さで全体を引っ張っている号だった。天龍型はやや弱いが、連載のいくつかはしっかり面白く、資料性の高い一冊として十分楽しめた。
お奨め度★★★