丸2026年10月号
光人新社
今回は、日本海軍の戦時量産艦である松型駆逐艦を中心に、海防艦、連合軍の護衛艦、現代艦艇、陸自イベント、戦史資料などを幅広く扱った構成になっている。特集の軸は「護衛艦・海防艦」で、松型・鵜来型・米英の護衛駆逐艦といった対潜・船団護衛のテーマが大きな比重を占める。
さらに、スプルーアンス級駆逐艦やL-39C、富士総火演、ウクライナ戦争情勢など、現代軍事の話題も盛り込まれ、戦史と現代の両面を扱う“丸らしい総合誌”の構成となっている。
今回は特に松型駆逐艦の特集は非常に興味深く読めた。松型は戦時急造艦でありながら、対空・対潜を重視した合理的な設計思想を持ち、戦争末期の日本海軍の苦境を象徴する存在でもある。その松型を、設計背景・戦闘行動・図版・彩色イラストまで含めて丁寧に扱っている点は、松型好きとして素直に嬉しい内容だった。海防艦や護衛駆逐艦との比較も自然に読み進められ、護衛戦の全体像を俯瞰できる構成になっている。
一方で、読み進めていて少し違和感を覚えたのが、第5特集のスプルーアンス級駆逐艦である。もちろんスプルーアンス級は現代艦艇史の中で重要な存在だが、今号の中心テーマが「戦時量産艦」「護衛艦」「海防艦」といった第二次大戦期の護衛戦であることを考えると、突然スプルーアンス級が登場するのはやや文脈が飛んだ印象を受けた。
それでも、松型・鵜来型・連合軍護衛艦の特集は充実しており、戦史資料や現代軍事ニュース、ミュージアム情報まで含めて、「丸」らしい幅広さと資料性の高さは健在だった。
お奨め度★★★