『激闘!聯合艦隊 1894–1905』(以下、本作)は、日清戦争と日露戦争の海上戦闘を再現するSLGだ。1Hexは実距離1km、1Turnは実際の10分間に相当し、プレイヤーは大日本帝国海軍、清国北洋艦隊、ロシア帝国海軍のいずれかを率いて、東アジアの海を舞台とした戦いに挑む。
本作が描くのは、弩級戦艦が登場する以前の「過渡期の海戦」だ。前弩級戦艦と装甲巡洋艦が主役を務め、速射砲と旧式のアームストロング砲が混在し、衝角(ラム)による体当たりと魚雷による止めの一撃がなお現実味を持っていた時代。つまり戦艦が海軍の主役に躍り出ていく時代の戦いである。
システムの核心にあるのは、戦隊単位の指揮統制システムである。これは「ソロモン夜襲戦」のシステムを発展強化したもので、プレイヤーは各戦隊が保有する指揮ポイント(CP)を消費して、移動や変針、射撃、雷撃といった行動を実行する。各戦隊には旗艦と士気値が設定されており、旗艦が沈めば戦隊は混乱に陥って能力が低下する。とはいえ旗艦が先頭に立っていると効率的に戦えるので、両軍とも敵旗艦の撃破を狙って火力を集中することになる。
本作での戦闘は射撃戦が基本で、首尾線方向か舷側方向かによって発揮できる火力が変化し、同航戦・反航戦の位置取りが命中率を上下させる。敵にダメージを与えるためには同航戦が望ましいが、逆に敵からも猛烈な砲撃を受けることになるので難しい。さらに被弾の結果として火災・浸水・舵機故障・マスト被弾といった特殊損傷が個別に発生し、傷ついた艦をじわじわと蝕んでいくのも、この時代らしい緊張感を生む。
シナリオは、歴史の転換点となった実際の海戦を題材としている。日清戦争からは豊島沖海戦と黄海海戦、日露戦争からは黄海海戦、蔚山沖海戦、そして日本海海戦を再現する。加えて、史実では戦列に間に合わなかった準弩級戦艦の「薩摩」「安芸」、巡洋戦艦「筑波」「生駒」、ロシアの新鋭である「アンドレイ・ペルヴォズヴァンヌイ」級やスラヴァといった艦を投入できるボーナスカウンターも用意している。これらはプレイヤーが独自シナリオを作成するための助けとなる。
なお、本作は現在開発中の自主制作ゲームである。ルールの細部や各艦の性能値、カウンターやマップのデザインは、検証とプレイテストを重ねながら現在も調整を続けている。今回紹介するのは、どの中でのテストの場面だ。
今回プレイしたのは、シナリオ3「旅順艦隊出撃」である。このシナリオは1904年8月10日の日本聯合艦隊とロシア旅順艦隊が激突した黄海海戦を扱っている。日本側の戦力は戦艦4、装甲巡洋艦4、防護巡洋艦3の計11隻、ロシア側の戦力は、戦艦6、防護巡洋艦4の計10隻である。額面上の戦力はほぼ互角だが、シナリオ上で火砲の命中率と指揮能力で日本側が有利になっている。従ってまともに戦えば日本側が有利に戦える。その代わり、ロシア側は51xxラインラインよりも右側に出た艦船についてVPが得られるようになっている。だからロシア軍としては日本艦隊と戦いつつ、日本側のスキを見て突破を狙うことになる。あるいは火砲の命中率の不利を克服するため、思い切って接近戦を挑んで日本側と刺し違える手もある。さてさてどうなることやら。
1Turn
南東へ逃げるロシア艦隊に対し、両サイドから挟むように日本側の第1戦隊、第3戦隊が挟撃する。不完全ながらT字の形をとった第1戦隊は、距離7000mからロシア側旗艦「ツェサレヴィチ」を砲撃する。しかし旋回中の射撃は正確さを欠き、「ツェサレヴィチ」には1発も命中しない。
右側から近づいてきた第3戦隊も格上のロシア戦艦部隊を砲撃する。こちらは命中弾を得て戦艦「レトヴィザン」に損傷を与えた。
ロシア艦隊は命中率の低下を嫌って1艦で1艦を狙う戦術をとる。そして「ツェサレヴィチ」の砲撃が「三笠」に命中。軽微ながらも損傷を与えた。
2Turn
日本艦隊はT字戦法から「ツェサレヴィチ」を砲撃した。今度は距離が近かったので命中弾が発生し、「ツェサレヴィチ」は損傷する。「レトヴィザン」にも命中弾があり、損傷を深める。
ロシア側は日本戦艦にはこだわらず、近づいてきた巡洋艦を無差別に砲撃する。「日進」「高砂」「千歳」は命中弾を受けてかなりの損害を被った。
3Turn
ロシア艦隊は左へ転進し、日本艦隊の艦尾を抜けて北東方向へ艦首を向ける。これがT字戦法の弱点で、敵の正面を横切った後、艦尾方向をかわされてしまうことになる。対する日本艦隊は左へ120度回頭し、ロシア艦隊を左舷にみつつ並行砲戦に入る。「ツェサレヴィチ」に集中砲火を浴びせてようやく中破状態にした。一方、ロシア艦隊の砲撃により、「敷島」がかなりの被弾をした。
4Turn
速力の低下した「ツェサレヴィチ」は列外に離れていく。日本艦隊は並行砲戦で今度は1艦対1艦で狙い撃ち。「朝日」の砲撃で「レトヴィザン」に命中し、「レトヴィザン」は火災を起こした。5Turn
「レトヴィザン」も被弾によって速力を低下する。旅順艦隊で編隊を維持するのは4隻に減少した。その諸艦も懸命に北東へ向かうが、各艦に被弾が相次ぐ。6Turn
日本艦隊の猛砲撃を嫌がったロシア艦隊は左へ舵を切って距離の離隔を図る。7Turn
日本艦隊も左へ舵を切ってロシア艦隊を追う。その目の前にロシア巡洋艦隊が迫る。「三笠」以下の日本艦隊がロシア巡洋艦隊を猛撃。防護巡洋艦「ディアナ」「パルラダ」「ノヴィーク」が次々と被弾する。8Turn
そろそろ勝利条件を意識しないといけないロシア艦隊は針路を北から北東に転じて日本艦隊の突破を図る。日本艦隊は「ポベーダ」に集中砲火を浴びせて、これを脱落せしめた9Turn
急速に近づく日露の艦隊。ロシア側の巡洋艦隊は、決死の触角攻撃を仕掛けてきた。軽巡「アスコリド」の触角が、2倍近い大きさの「三笠」の舷側に突き刺さる。「三笠」は沈没するほどではなかったものの重大な損傷を受け、速力が大きく低下する。一方の「アスコリド」も損傷を受けたが、なおも戦闘続行が可能であった。
日本側第3戦隊は、別行動中の軽巡「パルラダ」を捕捉した。「浅間」の砲撃が「パルラダ」に命中。「パルラダ」は沈没した。本海戦で最初に沈没したのが「パルラダ」となった。
10Turn
速力の低下した「三笠」は列外に離れ、旗艦を2番艦「朝日」に移行する。第3戦隊はロシア側巡洋艦隊と近距離で砲戦を繰り広げる。4番艦「高砂」がロシア艦隊の砲撃を受けて速力が低下した。11Turn
第1戦隊は大遠距離からロシア艦隊を砲撃するも外れ。第3戦隊はロシア巡洋艦「ノヴィーク」を撃沈した。12Turn
最終Turnである。逃げるロシア艦隊を聯合艦隊はなおも追うが、第3戦隊が巡洋艦「ディアナ」に沈没寸前の状態にまで追い込んだのが唯一の戦果だった。結果
日本側の損害
沈没:なし中破:「三笠」「高砂」
被弾:「敷島」「日進」「浅間」「千歳」
ロシア艦隊の損害
沈没:巡洋艦「パルラダ」「ノヴィーク」中破:戦艦「ツェサレヴィッチ」「レトヴィザン」「ポベーダ」
巡洋艦「ディアナ」「アスコリド」
被弾:戦艦「セバストポリ」
獲得VPは、日本側が15VP、ロシア側が12VPで差3VP。結果は引き分けとなった。
感想
結構ロシア側も頑張ったと思うけど、これで日本側の勝利というのはちょっとバランスが悪いかもしれない。今回の結果で「三笠」の中破がなかったとしたらロシア側のVPが22VPになる。それで日本側が勝てるぐらいのバランスにしよう。







