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「War and Peace」(邦訳:戦争と平和、以下本作)は、1980年に米国のThe Avalon Hill Game Co(TAHGC)から発表されたナポレオン戦争を扱ったシミュレーションゲームである。デザイナーは、Mark McLaughlinで、本作以外では30年戦争を扱った"Holy Roman Empire"や、太平洋戦争キャンペーン"East Wind Rain"等のデザインでも知られている。
今回、本作をVASSALでソロプレイしてみることにした。選んだシナリオは「解放戦争」。一般には諸国民戦争とも呼ばれる1813年の戦いである。

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シナリオV.解放戦争(承前)

4Turn(1813年7月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は4。6戦力以上スタックしているヘクスが損耗対象となる。フランス軍は衛星諸国2戦力を含む計3戦力を失う。
同盟フェイズは例によってスキップ。
増援フェイズ。マインツ(Mainz)に計22戦力(約11万)の大量増援が登場する。しかもそのうち6戦力は親衛隊だ。
移動フェイズ。フランス軍は戦線南方のドレスデン方面に兵力を集めつつ、戦線北方のベルリン方面では機動戦を展開する。オーバーラン攻撃によってプロイセン軍3戦力を撃破したフランス軍は、オーデル川河畔に陣取るブリュッヒャー将軍麾下のプロイセン軍4戦力を攻撃する。戦闘比は1-1だが、士気差によりフランス軍が有利な筈であった。そして結果は予想通りフランス軍の勝利。ブリュッヒャー軍はオーデル川から東に向けて撤退した。、

連合軍の手番。損耗フェイズ。出目は1。連合軍にとっては最良の目だ。16戦力以上のスタック又は補給切れで11戦力以上のスタックなら損耗が発生するが、そのようなヘクスはない。
同盟フェイズは例によってスキップ。
移動、戦闘フェイズ。ロシア軍の騎兵を中心とする部隊が、バルクレイ将軍とコンスタンティン将軍に率いられてベルリンとマグデブルグを急襲する。それを迎え撃つのは、フランス軍スールト将軍とウジェーヌ将軍。ロシア軍にとっては勝機のある戦いであったが、またもや戦闘のダイス目が振るわずにロシア軍は敗退し、ベルリン、マグデブルグはフランス軍ががっちりと抑えている。

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5Turn(1813年8月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は4。6戦力以上スタックしているヘクスが損耗対象となる。フランス軍は衛星諸国1戦力を含む計4戦力を失う。
同盟フェイズは例によってスキップ。
増援フェイズ。マインツ(Mainz)に計4戦力(約2万)の増援が登場する。
フランス軍は連合軍最後の要域ブレスラウ(Bresrau)に攻撃を加える。ネイ(Ney)将軍麾下の4戦力がプロイセン軍ヨルク将軍麾下の4戦力を攻撃。その後方からそれぞれナポレオン直率の10戦力とブリュッヒャー将軍麾下の5戦力が後詰として控える。
戦いはフランス軍優位に進んだが、増援に現れたナポレオン軍の士気が低かったのが裏目(同盟軍が大半であった)。彼らは一戦戦っただけで戦意を失った後退してしまう。かくしてフランス軍のブレスラウ攻略作戦は失敗に終わった。

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連合軍の手番。損耗フェイズ。出目は5。連合軍にとっては宜しくない目だ。しかし連合軍は兵力が少なかったため、失ったのはプロイセン軍1戦力で済んだ。
連合軍はベルリン方面に総攻撃をかける。プロイセンとロシアの合わせて20戦力(約10万)以上の戦力がベルリンに向けて殺到。スールト、ダヴー両将率いる計12戦力(約6万)のフランス軍と交戦する。兵力に勝る連合軍と兵の士気と指揮官の能力に勝るフランス軍の戦い。決着は連合軍の勝利。クライスト将軍麾下のプロイセン軍がベルリンに入城し、ベルリンは約3ヶ月ぶりにプロイセン軍の手中に帰した。
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6Turn(1813年9月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は1。フランス軍にとっては最良の出目である。フランス軍の損耗はなしだった。
同盟フェイズ。連合軍がベルリンを奪回したので、連合軍の都市点は2点になった(ベルリンとブレスラウ)。フランス軍は勝利点が3点あるが、シナリオ特別ルールでオーストリア参戦まではDRM+3がつくので、最終的なDRMは+2となる。修正後の出目が7以上ならオーストリアとスウェーデンが連合軍側に立って参戦することになる。
出目は6で修正後は8。これでオーストリアとスウェーデンの参戦が決まった。フランス軍としては一気に苦しくなる。
フランス軍はベルリンを奪回し、加えて同方面に集結しつつあるロシア軍に打撃を与えるため、主力部隊をベルリン方面に向かわせた。ナポレオン、ダヴー両将率いるフランス軍が総勢22戦力。さらに後詰としてスールト将軍率いる8戦力が待機。総兵力30戦力(約15万)でベルリン方面に攻勢を仕掛けた。連合軍はロシア軍のバルクレイ将軍、プロイセン軍ビューロー将軍らが率いる総戦力23戦力。兵力、士気、そして指揮官の能力のいずれの面でもフランス軍が有利。フランス軍の勝利は約束されていた筈であったが・・・。
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親衛隊を率いたナポレオン直率の部隊が、ロシア軍のバルクレイ将軍に大苦戦(出目が悪かった)。慌てて後方からスールト将軍麾下の増援部隊が増援に向かったが、これまたスールト将軍の到着が何故か遅れてしまう(アンタはグルーシーかい・・・)。結局ナポレオン軍はバルクレイ軍に敗れて後退。ナポレオンに勝利した連合軍は貴重な勝利点3点を獲得した。フランス軍としては、ダヴー将軍麾下の部隊がベルリンを奪回したのが唯一の慰めである。なお、プロイセン軍のクライスト将軍がこの戦いで負傷。戦場を退くことになる。

フランス軍としては、これまで決戦での出目が良かった分をここで取り返された感がある。 

連合軍の手番。損耗フェイズのダイス目は2。オーストリア軍の大スタックが解消していない状況なので、損耗ダイスの目が小さいのは連合軍としては有難い。
オーストリアが参戦したため、南部戦線で連合軍が攻勢に出た。ドレスデンに向けてはシュヴァッツェンベルグ公(Schwarzenberg)率いるオーストリア軍がロシア軍、プロイセン軍と共にドレスデンに侵攻する。連合軍の兵力は32戦力。その半数以上がオーストリア軍だ。
ドレスデン周辺に展開するフランス軍は20戦力弱。戦力に劣るフランス軍はそれでも奮戦したもののドレスデンを守り切れずに後退する。 さらにその南方では、オーストリア軍がイタリアやバヴァリアに侵攻、ミュンヘン、トリエステ等の都市を次々と占領していった。

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7Turn(1813年10月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は1。フランス軍にとっては(またもや)最良の出目である。フランス軍の損耗はなしだった。
同盟フェイズ。連合軍は都市点5、勝利点3。フランス軍は都市点1、勝利点3。その差はDRM+4で最大値だ。出目は5で修正後は8。フランス軍にとっては不幸な出目である。フランスの同盟国であったバヴァリア、ライン同盟、サクソニア、スイス、ヴュルテンブルクが離反し、連合軍側につく。幸か不幸か、これら同盟国の部隊はスイスを除いてこれまでの戦闘で概ね壊滅していたので、フランス軍の被った損害は最小限で済んだ。
なお、これによって以後同盟フェイズはなくなる。
フランス軍は3個軍を編成。それぞれナポレオン、ダヴー、スールトに指揮させる。ナポレオンはライプチヒの防衛、ダヴーはベルリン防衛、スールトは南方から来るオーストリア軍への対応だ。各部隊はそれぞれ正面の連合軍を撃破し、当面の任務は達成した。
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連合軍の手番。損耗フェイズのダイス目は2。損耗した兵力はなかった。
同盟フェイズについては、シナリオ特別ルールにより2回連合軍に有利なイベントが発生すると以後同盟フェイズはスキップする、となっている。
反攻に出たい連合軍ではあったが、連合軍側も決して潤沢な兵力を有している訳ではない。そこで全面攻勢は仕掛けず、部分的な攻勢作戦を実施した。目標はベルリン。フランス軍のダヴー将軍麾下の9戦力が守りを固めている。そこへシュヴァッツェンベルグ公率いるオーストリア軍計14戦力とバルクレイ将軍率いるロシア軍5戦力が共同で攻撃を仕掛けた。兵の質で優るフランス軍であったが、悪い目を出して士気阻喪してしまい、士気での優位が失われた。こうなってしまえば後はただの消耗戦になるので、長居は無用とばかりにフランス軍は撤退する。しかし無事戦場を離脱した時には、その兵力は当初の9戦力から5戦力に打ち減らされていた。さらにフランス軍にとって痛かったのは、フランス軍の名将ダヴー将軍が、戦闘中に負傷し後送を余儀なくされたことである。

本作では、戦闘に参加した指揮官は全員負傷チェックを強要される。そして6ゾロで負傷し、さらに1d6Turnお休みとなる。この時、負傷期間を決めるダイスで6を出すと戦死となる。つまり戦闘に参加したら216分の1(0.5%弱)で戦死となる訳だ。これはたとえ皇帝ナポレオンであっても例外ではない。最大120Turnのグランドキャンペーンシナリオの場合、ナポレオンが途中で戦死・退場の可能性は結構高い。
 
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(つづく)