「ソロモン夜襲戦」は、私が自作した水上戦闘ゲームです。テーマは太平洋戦争における水上戦闘で、1ユニット=1艦、1Turn=5分、1Hex=1500mになります。
「ソロモン夜襲戦」の入手方法は、こちらをご参照下さい。
そのようなシステムでマリアナ沖あるいはレイテ沖海戦に匹敵する大規模戦闘を戦おうというのですから正気の沙汰ではありません。実際、本ゲームは空母中心の戦いだったので水上戦の機会はあまりありませんでした。それでも何度か水上戦闘を戦ったことはあり、実際に駒を並べて砲戦を交えたのですから、当時の我々が如何に元気であったかわかろうというものです。
勿論、今回水上戦ゲームをリメイクするに当たって、15年前のシステムをそのまま流用していません。15年間でウォーゲームのデザイン手法は長足の進歩を遂げていますし、プレイアビリティに対する要求も15年前よりは遥かに高くなっています。ゲーマーの大半が社会人となり、プレイに割ける時間が昔よりも遥かに少なくなったことも注意しなければならないでしょう。
今回、最も重視したのはプレイアビリティです。素人が仲間内で遊ぶゲームなら「ノリ」で楽しむこともできるし、当時は時間が有り余っていたので多少時間のかかる方式を採用しても問題はありませんでした。しかし。今では事情が違います。時間のかかりすぎるゲームを世間は敬遠するだろうし、第一私自身時間のかかりすぎるゲームをプレイするほど時間が余っているわけではありません。また複雑過ぎるルールは、ルールを理解する上でプレイヤーに余分な負担を強いることになります。さらに「覚えておかなければならない」ルールはプレイアビリティを著しく悪化させます。
今回、一番手を加えたのは射撃システムです。何枚もの表を見たり、覚えなければならないルールを極力廃し、基本的には1枚の表ですべて判定できるようにしました。損害箇所に関するルールもなくし、損害ポイントと特殊損傷だけの簡単な損害ルールとしました。 しかし基本的な部分は昔と変わっていません。指揮ポイントを中核に据えた指揮統制システムは15年前のアイデアそのままだし、魚雷マーカーを使った雷撃システムも昔のままです。これらのルールは当時としては画期的なルールであると思っていましたが、現時点でもその意味は決して色褪せていないと密かに自負しています。
水上戦ゲームの魅力の1つとして「個々の艦船のキャラクター性」というものがあります。戦艦「大和」、重巡洋艦「利根」、駆逐艦「雪風」等、軍艦を愛する人々にとって第2次大戦で活躍した艦船は永遠のヒーローであり、その活躍を自分の手の中で再現したいと思うのは当然でしょう。そして水上戦ゲームは、そういった我々の夢を実現してくれるためのツールでもあるのです。
本ゲームでは1ユニットが1隻の艦船を示します。これは先に述べた艦船のキャラクター性を再現するために必要と考えた選択です。ゲームの中には巡洋艦や駆逐艦を数隻で1ユニットとしているものもあります。このようなデザイン思想を否定するつもりはありませんが、本ゲームでそのような手法を採用することはできませんでした。なぜならソロモンの海で最も活躍した艦船は巡洋艦、駆逐艦といった中小の艦船であり、彼らの活躍を再現するためには1隻単位で扱う必要があると考えたからです。
また、ユニットスケールは、プレイアビリティからみても十分妥当であるという判断があります。ソロモン海で戦われた最大規模の水上夜戦は、第3次ソロモン海戦第1次夜戦で、その時両軍合わせて27隻の艦船が海戦に参加しました。また1プレイヤーが担当する艦船数は、第3次ソロモン海戦第1次、第2次夜戦における日本軍の14隻というのが最大で(仮想シナリオ除く)、その他の海戦でも概ね1プレイヤー当たり10隻前後です。この規模であれば、1隻1ユニットでもそれほどプレイアビリティを損ねることなく再現可能でしょう。
1ヘクスは1500mです。これは海戦ゲームとしてはやや大きめのスケールです。ヘクススケール決定に際しては、艦砲の性能差を表現できる規模と考えていました。あとは艦隊陣形を再現できるスケールです。プレイアビリティを考えればスケールが大きい方が良いのですが、あまりに大きすぎるとゲームが再現したいディテールが表現できなくなることにもなります。本ゲームでは上記2要素を再現でき、かつプレイアビリティを損なわないスケールとして1500mという値を選びました。
1ターンは実際の5分間に相当します。ソロモン海の海戦では、個々のアクション(射撃開始、変針、射撃終了等)を行う時間間隔が概ね5~15分程度です。1ターン5分というスケールは、実際の艦船隊指揮官が海戦を戦う中で個々の決断を下す際の思考周期と概ね一致するのではないかと考えています。もちろん個人差や状況による差異はあるでしょうが、例えば1分単位では「そんなに早く決断できる艦隊指揮官はいない」し、20分だったら「そんなにノロマなら艦隊指揮なんてできないよ」ということになると思います。あとは、ヘクススケールとの兼ね合いも考慮しました。今のスケールだと1移動力が実際の約5ktに相当します。これは、高速艦、中速艦、低速艦の違いを表現する上で好都合なスケールです。
本ゲームが再現対象としているのは主に夜間の水上戦闘です。夜戦の場合、敵の状況はおろか、味方の状況も不明というのが普通です。さらに指揮系統の混乱によって指揮下の艦船への命令伝達が上手くいかなかったり、さらには友軍への誤射というのも決して珍しいことではありません。軍事用語で言うところのC3I(指揮・統制・通信・情報)が上手くいかないことが多いのです。
従来の水上戦ゲームでは、このようなC3Iの問題を正面から取り扱うことはあまりありませんでした。サンセットゲームズの『聯合艦隊』、ゲームジャーナルの『幻のレイテ湾海戦』には簡単な艦隊運動ルールがありますが、いずれも艦隊運動に対する制約に特化したルールであり、射撃や雷撃は相変わらず「やりたい放題」でした。
本ゲームでは、移動、射撃、雷撃といった主要な戦闘行為に対して、一定量の指揮ポイントの消費を要求するものになっています。指揮ポイントは、毎ターン、一定割合で補充され、ある程度までは蓄積することも可能ですが、その絶対量は常に不足気味であり、指揮下の艦船を「手足の如く」行動させることは数量的に不可能です。プレイヤーは少ない指揮ポイントを有効活用するために必然的に艦隊を単縦陣で運用することになります。魚雷の回避運動なんて行った時には、艦隊を元の陣形に復旧するために大量の指揮ポイントを必要とするでしょう。
指揮ポイントは、艦隊運動だけではなく、射撃や雷撃の際にも必要になってきます。艦隊運動で大量の指揮ポイントを消費してしまうと、射撃や雷撃に支障を来たすことは必定です。有効な砲雷撃を行いたければ、必然的に艦隊運動をシンプルにする必要があります。これは現実の姿と同じです。
射撃に指揮ポイントを必要とするルールは、ゲームの中で行われる射撃頻度が必然的に現実の値に近づくことになります。このことは、射撃戦のところで詳しく書きます。
雷撃も同じです。魚雷の最適射点を得られたとしても、指揮ポイントがなければ魚雷を発射できません。現実にも最適射点を得ながら魚雷を発射できなかった事例はいくつも存在します。逆に魚雷発射に必要な指揮ポイントを捻出するために、あえて射撃を行わないという選択もあるでしょう。実戦でも魚雷を撃つために射撃を行わないという選択はしばしば行われています。
毎ターン得られる指揮ポイントは、指揮値という形で表現され、指揮値の大小がそれぞれの艦船隊の指揮能力を示しています。指揮値は、艦隊の規模と艦隊練度によって決められています。艦隊練度とは聞き慣れない言葉ですが、要は戦闘単位としての実力を効率的に発揮するため能力と考えて下さい。艦隊練度の設定根拠は、ルールブックの中にも少し記載しましたので、そちらもご覧下さい。
艦隊の規模が大きければ、それだけ必要とする指揮ポイントも多くなってくるので、艦隊規模と指揮値に相関関係が成立する必要性はご理解頂けると思います。しかし、指揮値と艦隊規模は比例関係ではありません。例えば、艦隊規模が2倍になっても、指揮値の増分は2倍にはなりません。これは、艦隊規模が大きくなればなるほど指揮が困難になる、という事象を再現しています。戦史を見ても、大規模な艦隊が指揮系統の混乱から持てる実力を十分発揮できずに敗退した事例は数多く残っています。サマール島沖海戦での日本艦隊などはその典型的な例と言えるでしょう。
指揮値は、味方の損害によって減少します。これは味方の損害によって指揮系統に混乱を起こしている状況を再現したものです。このルールは本来の目的以外に思わぬ効果をもたらしました。それは両軍に生じた損害によって戦闘が自然と終息してくるということです。
従来のゲームでは、味方に被害が出ても残存艦船の戦闘力に影響を与えることはなかったため、「全滅するまで戦う」ということが往々にして起こっていました。サンセットゲームズの『聯合艦隊』のように、そのような事態を避けるために「保護水準値」といったルールを設けている例もあります。
本ゲームでは「保護水準値」に相当するルールはありません。その代わり指揮ポイントのルールが「保護水準値」の肩代わりをしています。損害によって指揮値が減少し、その結果、攻撃行動に回せる指揮ポイントが少なくなります。攻撃行動は莫大な指揮ポイントを必要とするため指揮値の減少した艦隊は有効な攻撃手段を失います。その結果、大きな被害を被った艦隊はこれ以上の損害を避けるために避退運動に移ることになるでしょう。
(つづく)
「ソロモン夜襲戦」の入手方法は、こちらをご参照下さい。
原案と再デザイン
この水上戦ゲームは、私が今から15年以上前(注:このノートを始めて書いたのは2006年だから、その15年前なので1990年またはそれ以前)にデザインしたゲームが基になっています。そのゲームは、もともと空母戦を扱うゲームでの水上戦ルールが基になっていました。空母戦ゲームの中での水上戦闘システムですからシンプルなものを想像するかも知れません。そして私もシンプルなものを目指しました。しかし、今の視点から見るとそのゲームは決してシンプルではありませんでした。1発単位の命中判定は当然として、命中弾が砲塔に命中したかそれとも船体に命中したかの判定、上部から命中したのかそれとも側面から命中したかの判定等もルール化されていました。そのようなシステムでマリアナ沖あるいはレイテ沖海戦に匹敵する大規模戦闘を戦おうというのですから正気の沙汰ではありません。実際、本ゲームは空母中心の戦いだったので水上戦の機会はあまりありませんでした。それでも何度か水上戦闘を戦ったことはあり、実際に駒を並べて砲戦を交えたのですから、当時の我々が如何に元気であったかわかろうというものです。
勿論、今回水上戦ゲームをリメイクするに当たって、15年前のシステムをそのまま流用していません。15年間でウォーゲームのデザイン手法は長足の進歩を遂げていますし、プレイアビリティに対する要求も15年前よりは遥かに高くなっています。ゲーマーの大半が社会人となり、プレイに割ける時間が昔よりも遥かに少なくなったことも注意しなければならないでしょう。
今回、最も重視したのはプレイアビリティです。素人が仲間内で遊ぶゲームなら「ノリ」で楽しむこともできるし、当時は時間が有り余っていたので多少時間のかかる方式を採用しても問題はありませんでした。しかし。今では事情が違います。時間のかかりすぎるゲームを世間は敬遠するだろうし、第一私自身時間のかかりすぎるゲームをプレイするほど時間が余っているわけではありません。また複雑過ぎるルールは、ルールを理解する上でプレイヤーに余分な負担を強いることになります。さらに「覚えておかなければならない」ルールはプレイアビリティを著しく悪化させます。
今回、一番手を加えたのは射撃システムです。何枚もの表を見たり、覚えなければならないルールを極力廃し、基本的には1枚の表ですべて判定できるようにしました。損害箇所に関するルールもなくし、損害ポイントと特殊損傷だけの簡単な損害ルールとしました。 しかし基本的な部分は昔と変わっていません。指揮ポイントを中核に据えた指揮統制システムは15年前のアイデアそのままだし、魚雷マーカーを使った雷撃システムも昔のままです。これらのルールは当時としては画期的なルールであると思っていましたが、現時点でもその意味は決して色褪せていないと密かに自負しています。
スケールの話
スケール決定に際しては、「ソロモン海で実際に戦われた海戦を容易に再現できること」をデザインの基本方針としました。このことを考慮した上で以下の文章をお読みいただけたら、と思います。水上戦ゲームの魅力の1つとして「個々の艦船のキャラクター性」というものがあります。戦艦「大和」、重巡洋艦「利根」、駆逐艦「雪風」等、軍艦を愛する人々にとって第2次大戦で活躍した艦船は永遠のヒーローであり、その活躍を自分の手の中で再現したいと思うのは当然でしょう。そして水上戦ゲームは、そういった我々の夢を実現してくれるためのツールでもあるのです。
本ゲームでは1ユニットが1隻の艦船を示します。これは先に述べた艦船のキャラクター性を再現するために必要と考えた選択です。ゲームの中には巡洋艦や駆逐艦を数隻で1ユニットとしているものもあります。このようなデザイン思想を否定するつもりはありませんが、本ゲームでそのような手法を採用することはできませんでした。なぜならソロモンの海で最も活躍した艦船は巡洋艦、駆逐艦といった中小の艦船であり、彼らの活躍を再現するためには1隻単位で扱う必要があると考えたからです。
また、ユニットスケールは、プレイアビリティからみても十分妥当であるという判断があります。ソロモン海で戦われた最大規模の水上夜戦は、第3次ソロモン海戦第1次夜戦で、その時両軍合わせて27隻の艦船が海戦に参加しました。また1プレイヤーが担当する艦船数は、第3次ソロモン海戦第1次、第2次夜戦における日本軍の14隻というのが最大で(仮想シナリオ除く)、その他の海戦でも概ね1プレイヤー当たり10隻前後です。この規模であれば、1隻1ユニットでもそれほどプレイアビリティを損ねることなく再現可能でしょう。
1ヘクスは1500mです。これは海戦ゲームとしてはやや大きめのスケールです。ヘクススケール決定に際しては、艦砲の性能差を表現できる規模と考えていました。あとは艦隊陣形を再現できるスケールです。プレイアビリティを考えればスケールが大きい方が良いのですが、あまりに大きすぎるとゲームが再現したいディテールが表現できなくなることにもなります。本ゲームでは上記2要素を再現でき、かつプレイアビリティを損なわないスケールとして1500mという値を選びました。
1ターンは実際の5分間に相当します。ソロモン海の海戦では、個々のアクション(射撃開始、変針、射撃終了等)を行う時間間隔が概ね5~15分程度です。1ターン5分というスケールは、実際の艦船隊指揮官が海戦を戦う中で個々の決断を下す際の思考周期と概ね一致するのではないかと考えています。もちろん個人差や状況による差異はあるでしょうが、例えば1分単位では「そんなに早く決断できる艦隊指揮官はいない」し、20分だったら「そんなにノロマなら艦隊指揮なんてできないよ」ということになると思います。あとは、ヘクススケールとの兼ね合いも考慮しました。今のスケールだと1移動力が実際の約5ktに相当します。これは、高速艦、中速艦、低速艦の違いを表現する上で好都合なスケールです。
指揮統制ルール
水上戦ファンの私としては悲しいことなのですが、「水上戦ゲームはつまらない」という意見を良く聞きます。たしかに水上戦は陸戦に比べると兵科の差異や地形の影響が乏しく、そのため戦術のバリエーションが少なくなります。その結果、水上戦ゲームはダイス目勝負となりがちです。しかし、兵科や地形の影響だけが水上戦をつまらなくしているのでしょうか?本ゲームが再現対象としているのは主に夜間の水上戦闘です。夜戦の場合、敵の状況はおろか、味方の状況も不明というのが普通です。さらに指揮系統の混乱によって指揮下の艦船への命令伝達が上手くいかなかったり、さらには友軍への誤射というのも決して珍しいことではありません。軍事用語で言うところのC3I(指揮・統制・通信・情報)が上手くいかないことが多いのです。
従来の水上戦ゲームでは、このようなC3Iの問題を正面から取り扱うことはあまりありませんでした。サンセットゲームズの『聯合艦隊』、ゲームジャーナルの『幻のレイテ湾海戦』には簡単な艦隊運動ルールがありますが、いずれも艦隊運動に対する制約に特化したルールであり、射撃や雷撃は相変わらず「やりたい放題」でした。
本ゲームでは、移動、射撃、雷撃といった主要な戦闘行為に対して、一定量の指揮ポイントの消費を要求するものになっています。指揮ポイントは、毎ターン、一定割合で補充され、ある程度までは蓄積することも可能ですが、その絶対量は常に不足気味であり、指揮下の艦船を「手足の如く」行動させることは数量的に不可能です。プレイヤーは少ない指揮ポイントを有効活用するために必然的に艦隊を単縦陣で運用することになります。魚雷の回避運動なんて行った時には、艦隊を元の陣形に復旧するために大量の指揮ポイントを必要とするでしょう。
指揮ポイントは、艦隊運動だけではなく、射撃や雷撃の際にも必要になってきます。艦隊運動で大量の指揮ポイントを消費してしまうと、射撃や雷撃に支障を来たすことは必定です。有効な砲雷撃を行いたければ、必然的に艦隊運動をシンプルにする必要があります。これは現実の姿と同じです。
射撃に指揮ポイントを必要とするルールは、ゲームの中で行われる射撃頻度が必然的に現実の値に近づくことになります。このことは、射撃戦のところで詳しく書きます。
雷撃も同じです。魚雷の最適射点を得られたとしても、指揮ポイントがなければ魚雷を発射できません。現実にも最適射点を得ながら魚雷を発射できなかった事例はいくつも存在します。逆に魚雷発射に必要な指揮ポイントを捻出するために、あえて射撃を行わないという選択もあるでしょう。実戦でも魚雷を撃つために射撃を行わないという選択はしばしば行われています。
毎ターン得られる指揮ポイントは、指揮値という形で表現され、指揮値の大小がそれぞれの艦船隊の指揮能力を示しています。指揮値は、艦隊の規模と艦隊練度によって決められています。艦隊練度とは聞き慣れない言葉ですが、要は戦闘単位としての実力を効率的に発揮するため能力と考えて下さい。艦隊練度の設定根拠は、ルールブックの中にも少し記載しましたので、そちらもご覧下さい。
艦隊の規模が大きければ、それだけ必要とする指揮ポイントも多くなってくるので、艦隊規模と指揮値に相関関係が成立する必要性はご理解頂けると思います。しかし、指揮値と艦隊規模は比例関係ではありません。例えば、艦隊規模が2倍になっても、指揮値の増分は2倍にはなりません。これは、艦隊規模が大きくなればなるほど指揮が困難になる、という事象を再現しています。戦史を見ても、大規模な艦隊が指揮系統の混乱から持てる実力を十分発揮できずに敗退した事例は数多く残っています。サマール島沖海戦での日本艦隊などはその典型的な例と言えるでしょう。
指揮値は、味方の損害によって減少します。これは味方の損害によって指揮系統に混乱を起こしている状況を再現したものです。このルールは本来の目的以外に思わぬ効果をもたらしました。それは両軍に生じた損害によって戦闘が自然と終息してくるということです。
従来のゲームでは、味方に被害が出ても残存艦船の戦闘力に影響を与えることはなかったため、「全滅するまで戦う」ということが往々にして起こっていました。サンセットゲームズの『聯合艦隊』のように、そのような事態を避けるために「保護水準値」といったルールを設けている例もあります。
本ゲームでは「保護水準値」に相当するルールはありません。その代わり指揮ポイントのルールが「保護水準値」の肩代わりをしています。損害によって指揮値が減少し、その結果、攻撃行動に回せる指揮ポイントが少なくなります。攻撃行動は莫大な指揮ポイントを必要とするため指揮値の減少した艦隊は有効な攻撃手段を失います。その結果、大きな被害を被った艦隊はこれ以上の損害を避けるために避退運動に移ることになるでしょう。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2)
確かに、各戦隊の報告聞いて、状況把握して、指示出して、
なんてやってたら5分なんてあっという間。
全然足りない。よって、報告も指示もごく一部しかできない。
そこで重要なのが艦隊練度。最小限の報告、最小限の指示で、各戦隊、各艦が自分のすべきことを把握して実行する。
夜戦で日本水雷戦隊が優れてたのはそこですか。
米海軍は通信能力に優れているのが災いして、戦闘が始まると情報を受発信し過ぎて指揮が混乱してしまう。
また、両軍とも、損害受けると指揮系統乱れ、報告錯綜し、艦隊司令部の情報処理能力が飽和してしまう。そこで自然に戦闘が収束する。
これは美しいルールですね。なるほど。
1点、独航艦は自衛の為に、自艦を撃ってきた敵艦を射撃するのは指揮ポイント消費なしでやってもいいと思いますが……
艦隊行動中は誤差の範囲だし、戦闘終盤の収束が乱れそうで、却って全体としておかしくなりますかね。
もりつち
がしました