八王子城攻防戦とは、天正18年(1590年)に実施された豊臣秀吉による小田原征伐の一環として行われた攻城戦である。八王子城城主は北条氏康の四男である北条氏照。その氏照が不在の八王子城を上杉景勝、前田利家、真田昌幸らの兵力15,000人が攻め、北条側は城代横地吉信麾下の3,000人が城を守る。僅か1日の戦いで八王子城は陥落したが、攻城側にも1,000人以上が死傷するという激しい戦いであった。
ウォーゲーム日本史15号の「八王子城攻城戦」(以下、本作)は、その八王子城攻防戦を再現したシミュレーションゲームだ。マップには八王子城全域が描かれ、それがいくつかの拠点に分かれている。所謂「ポイント・トゥ・ポイント」システムだ。
ユニットにはこの戦いに参加した主要な武将が名前入りで記載されており、有名な所では、上杉景勝、真田昌幸、真田信?(幸村)、前田慶次、直江兼続らが登場する。他に弓隊、鉄砲隊等も登場する。
システムは簡単。両軍とも1Turnに5回のアクション機会をもち、交互にアクションを行う。それぞれのアクションでは1スタックの移動・戦闘又は1ヵ所に対する射撃を実施できる。豊臣方は、それぞれの家(上杉家、前田家等)毎に別々に行動しなければならないのに対し、北条方はそのような制限がなく、柔軟に行動できる。
また攻城戦なので防御側が射撃力を自由に発揮できるのに対し、攻撃側は火力発揮が難しく、キルゾーンに追い込まれて攻撃は多大な損害を強いられることになる。このあたり、攻城戦の雰囲気が上手く出ていて面白い。
今回手探りで本作をプレイしてみた。私は攻城側を担当した。最初大手門から攻め込んだ真田隊は尾根道から太鼓曲輪に進出。さらに提に攻め上ったが、そこで御主殿に展開した北条方から集中射撃を浴びて戦死者続出。また近藤曲輪から山下曲輪に攻め込んだ前田隊もアシダ曲輪から猛射を浴びて侍大将が次々と打ち取られていく。前田慶次、真田昌幸、真田幸村といった錚々たる面々がここで枕を並べて討ち死。
一方、搦め手に回り込んだ大道寺勢は比較的脆弱な北条側守備隊を撃破し、柵門台に進出。城の連絡線を遮断できる位置にまで進出してきた。北条方はそれを阻止すべく南方の守備兵力を本丸方面へ移動させる。そして大道寺勢を撃破せんと、反撃を指向した。
しかしそれで逆に勢いを得たのが南方正面から攻める豊臣方。上杉、前田、依田らの残存兵力がアシダ曲輪から虎口、そして御主殿に進出。八王子城の主要防衛線を抜いて本丸を狙える位置に出た。
この時点で勝利の見込みがないとみた北条方の投了でゲーム終了となる。
ゲームの感想だが、先に書いた通り攻城戦の雰囲気が上手く出ていて面白い。城を強襲する際の苦しさが上手く表現されていると思う。攻撃側が制約が多くて難しいが、恐らく実際もそうなのだろう。実は今回戦闘解決ルールの一部を勘違いしていたので北条側が不利になってしまったが(戦闘に敗北した場合、自軍が全滅することで相手も自軍損害の半分を道連れにできるルールを忘れていた)、正しいルールでプレイしていれば、豊臣方が先に攻撃力を失ってしまったことになったかもしれない。
正しいルールで是非再戦したいものである。
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