
以前に軽く紹介したが、ウォーゲーム日本史の15号「八王子城攻城戦」が思いの外面白いゲームであることがわかった。そこで再び本作をソロプレイしてみることにした。なお、追加ルールや選択ルールは一切採用しない。
作戦研究
前回の対人戦では、事前研究なしのいきなりぶっつけ本番であった。そのためルールの適用ミスや戦略面での不手際等が目立った。ルール面で一番大きなミスは戦闘解決で、「敗北側は後退せずに自身が全滅することで相手の半数を道連れにできる」というルールを失念していたことだ。このルール、一見すると防御側である北条側が有利なように思えるが、そうではない。むしろ攻撃側である豊臣方に有利に働く。例えば山道に北条方の精強な侍大将が陣取っていたとしよう。もし上記のルールがなければ豊臣方は自軍に精強な侍大将がいない限り突破の方法がなかった。しかし上記のルールを使えば比較的簡単に突破できる。とにかく雑兵の大軍を侍大将にぶつければ良いのだ。雑兵側は全滅するが、侍大将側にも出血を強いることができる。これを繰り返せば、結局兵力の余っている豊臣方が勝つ、という寸法だ。という訳でまず攻撃側である豊臣方の作戦について考えてみよう。豊臣方の兵力は以下の通りになる。
・前田:侍大将10(4,3,2x8)、兵(2-0)x5、鉄砲(0-2)x3
・上杉:侍大将10(3x2,2x8)、兵(1-0)x8、鉄砲(0-2)x3
・大道寺:侍大将6(3,2x5)、兵(1-0)x10、兵(0-0)x4
・真田:侍大将7(4,3x2,2x4)、弓(1-1)x2、兵(1-0)x4、鉄砲(0-2)x2
・依井:侍大将4(3,2x3)、弓(1-1)x3、兵(1-0)x3
上記の兵力を見ると、兵力的に消耗戦に耐えられるのは依井以外の4氏、また突破力を期待できるのは前田、真田の両氏である。従って兵力展開は以下のように設定する。
・御霊谷川口:上杉
・九手:大道寺
・北浅川:真田
・予備:前田、依井
つまり正面である大手門には大道寺と上杉という兵力の豊富な勢力を派遣。搦め手には突破力が期待できる真田隊。兵力の少ない依井隊は真田隊の後詰とし、最強の前田隊は総予備として最後の突破兵力として期待する。
対する北条側だが計49ユニットを持っている。豊臣方が計84ユニットなので、損害比1:2を強要できれば北条方も勝利が可能だ。北条方にとって重要なのは、自らが損害を被ることなく相手を撃破できる射撃ユニットだ。これに相当するのが、2射撃力の鉄砲隊5ユニットと、1射撃力の修験者等6ユニットである。また配置については南側の正面には射撃適地が多くあるが、北の搦め手側には火力発揮可能な拠点が少ない。とはいえ北側は全く無視できないので、以下のように火力部隊を配置する。
・本丸:鉄砲1、その他1
・搦め手方面:鉄砲1、その他2
・大手門方面:鉄砲3、その他3
あとの歩兵部隊は、適当に要所を扼する地域に分散配備する。とにかく北条方にとって時間稼ぎが全て。兵力で勝つことは最初からムリである。
第1Turn
大道寺の大道寺政繁(2-0)が兵3を率いて近藤曲輪に突撃。そこを守る北条方の兵と激しく戦い、両者1ユニットずつ失う。北条方は曳き橋の爆破?を試みる。ダイスで3以下を出せば成功だが、6を出して失敗する。
続いて豊臣方は依田勢が武士1(2-0)、兵3で大手門前広場に突進。北条方と相殺で1ユニットずつ失う。依田勢の主任務は搦め手を攻める真田の後方警戒だが、真田が突破口を開くまでは、南から攻める上杉勢のために突撃路啓開の任務を遂行する。
北条方による曳き橋爆破はまたしても失敗
続いて真田隊。搦め手口から矢沢頼康(2-0)と兵2が北条方近藤助実(2-0)麾下の部隊を搦め手道で激突する。激しい白兵戦の末、真田隊は壊滅した(矢沢頼康討死)が、北条方も2ユニットを失う。
北条方の曳き橋爆破はここでようやく成功した。
続いて上杉隊。武士2、兵2で尾根道を進み、北条方兵1を撃破する。
北条方は搦め手側で一部配置変更する。
前田隊は上田長則(2-0)麾下の4ユニットを山下曲輪に突進させる。ここはアシダ曲輪からの火線を浴びる地点であり、精鋭の前田隊を敵の射撃で損傷させるのは忍びないが、次Turnにおける大道寺勢の突撃路を啓開するために止むをえない。
当然ながら北条方は山下曲輪の前田勢に火線を集中。白兵戦による損害と合わせて精鋭前田隊が3ユニットを失う。
第2Turn
大道寺政繁と兵2が北条方の火力拠点になっているアシダ曲輪に突進する。元より大道寺側に勝目のない戦いであったため大道寺政繁以下3ユニットが玉砕。しかしその過程で北条側2ユニットを道連れにした。北条側はアシダ曲輪から山下曲輪に射撃を集中。前田勢の上田長則が討死する。これで山下曲輪に突入した前田の先鋒は全滅した。
搦め手側からは真田信幸(3-0)と兵2が前進。北条方の大石照基(2-0)麾下の部隊を撃破した。
上杉方の藤田信吉(2-0)及び兵3が山下曲輪に前進させる。待ち構えていたアシダ曲輪から激しい射撃が降り注ぐ。
最後に前田隊4ユニットが近藤曲輪に前進。突撃態勢を取る。
第3Turn
大道寺勢が再び武士1、兵3で山下曲輪に布陣する。待ってましたとばかりに北条勢の猛烈な銃火が降り注ぐ。連続射撃を浴びて大道寺勢は壊滅する。しかしその犠牲は無駄ではなかった。前田勢最強の前田慶次(4-0)、前田利家(3-0)麾下の切り込み隊が、大道寺勢の屍を超越してアシダ曲輪に突進する。アシダ曲輪で凄まじい白兵戦が繰り広げられたが、前田勢は遂に抗しきれず退却。前田勢がアシダ曲輪を占拠した。北方では真田昌幸(3-0)麾下の切り込み隊が前進し、北条方の近藤助実(2-0)を切り伏せた。
現時点で豊臣方の損害は20ユニット、北条側の損害は14ユニットである。
第4Turn
アシダ曲輪を落とした前田隊は、調子に乗って北条の主要防御拠点である御主殿に前田慶次と前田利家が突進する。40%程度で勝利を得られる筈だったが、そうそう良い話ばかりではない。前田隊は敗退し、前田利家が討死する。北では依田勢の清野満成(3-0)以下4ユニットが搦め手間道を突進する。北条方浅野彦兵衛(2-0)らと激しい白兵戦を繰り広げる。勝利した依田勢が搦め手間道を占領する。さらに真田昌幸以下の小部隊も櫓台での北条勢を排除。高台に迫る。
現時点で豊臣方の損害は24ユニット、北条側の損害は18ユニットである。
第5Turn
南側では間道を伝って提にまで前進してきた上杉勢の名だたる武将たちに御主殿に陣取る北条勢の射撃が集中する。直江兼続(2-1)、安田能元(2-0)らが撃ち倒された。上杉景勝(3-0)は僅かな手回り衆と共に提に取り残される。一番北側では、本丸に近づく依田勢が、本丸への直接攻撃を仕掛けずに本丸背後に回り込む機動を行う。このような動きに対し、北条勢は狩野一庵(3-0)、平山綱景(3-0)ら武勇に優れた武将を回して本丸への突進に備える。
東側では、搦め手経由で櫓台から柵門台まで前進してきた真田昌幸に対し、北条方は姫を真田昌幸にぶつけるという玉砕戦法を仕掛ける。姫と相打ちになった真田昌幸だが、「単独でいるのがそもそも悪い」と言われれば、反論できない真田昌幸なのであった。
本作では、1対1で戦った場合、ダイス目に関わらず常に相殺の結果になる。
現時点で豊臣方の損害は28ユニット、北条側の損害は20ユニットである。
激烈な攻防戦が続く八王子城。果して最終勝利者は豊臣か、北条か。待て次号。
(つづく)
P.S さて、ここでクイズです。果して最後に勝ったのはどちらでしょうか?。








コメント
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もりつち
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しました