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以前に軽く紹介したが、ウォーゲーム日本史の15号「八王子城攻城戦」が思いの外面白いゲームであることがわかった。そこで再び本作をソロプレイしてみることにした。なお、追加ルールや選択ルールは一切採用しない。

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第6Turn

大道寺直次(2-0)以下の3ユニットが金子曲輪に突撃。金子曲輪を守る金子定重(3-0)以下の3ユニットと激しい白兵戦を演じる。ほぼ互角の戦いで大道寺勢も2ユニットを失う大損害を被ったが、金子定重以下の北条勢は玉砕。金子曲輪の防衛ラインは崩壊した。これによって南東側の尾根伝いに本丸へたどり着ける経路が開かれたことになる。これによって本丸の守りが苦しくなり、御主殿防衛の意味が薄れてきた。
ここに至り北条方は御主殿を放棄。僅かな部隊を足止めに残し、主力は本丸方面へ転進させた。これによって命拾いしたのは前田慶次と上杉景勝である。
北西方面では、突撃姿勢を取ったまま待機中の依田勢に対し、転進してきた北条方の鉄砲隊が集中射撃を見舞った。依田康勝と武士1ユニットが失われ、依田勢の戦闘力は風前の灯火となる。

現時点で豊臣方の損害は31ユニット、北条側の損害は23ユニットである。

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第7Turn

上杉勢が御主殿に突入し、北条側の抵抗を排除。御主殿を占領した。北西部で損害を被った依田勢は射界外に後退していく。真田、前田勢も再配置して本丸への突撃態勢に入る。
北条勢は本丸周辺に再配置。二の丸、三の丸に鉄砲隊を配兵し、豊臣方の突進に備える。

現時点で豊臣方の損害は33ユニット、北条側の損害は24ユニットである。
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第8Turn

真田信幸(3-0)麾下の3ユニットが東正面の馬蹄段に突入する。北条方の屈強な侍大将2人と白兵戦を展開。両方とも壊滅するという凄まじい戦いとなった。他では大きな動きなし。残り5Turn。そろそろゲームエンドが気になる豊臣方なのであった。

現時点で豊臣方の損害は36ユニット、北条側の損害は26ユニットである。

第9Turn

真田隊が東正面の櫓台に対して突撃を敢行する。しかし必勝を期した突撃が、何たることか。僅かな民兵によって阻止されてしまった。民兵1ユニットと名だたる武将2ユニットとの交換はさすがの真田も受け入れるに能わず。真田隊は唐沢玄葉(2-1)を失っただけで空しく後退していく。
上杉隊は南正面から山王台まで進出している。
現時点で豊臣方の損害は39ユニット、北条側の損害は28ユニットである。

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第10Turn

真田信繁(幸村)(4-0)が動いた。東正面櫓台に突進。民兵を排除して櫓台を確保する。それに対して北条方の弓矢が信繁に対して集中するが、運よく信繁は被弾を免れる。
南からは上杉隊が決死の突撃路を切り開く。上杉景勝、山浦景国(3-0)といった錚々たる武将が討死していくなか。上杉隊が南廻り馬場の北条勢を撃破。本丸への突撃路を開口する。その開口部を前田慶次(4-0)以下の前田勢が突進。中ノ丸に突進して守備する北条勢を追い散らす。しかし中ノ丸は、本丸、二の丸、三の丸から銃火の降り注ぐ場所である。忽ち四方から火線を集中され、バタバタと倒れていく前田勢。
現時点で豊臣方の損害は44ユニット、北条側の損害は32ユニットである。

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第11Turn

結局、中ノ丸に投入した前田勢は、前田慶次以下全ユニットが壊滅した。キルゾーンに不用意に飛び込んだ者の悲劇であった。東正面から突入した真田隊は高丸に突入し占領したものの、やはり二ノ丸からの猛射を受けて真田信繁以下全ユニットが失われてしまう。
混乱の極にある豊臣勢。東正面では、後ろから前進してきた前田勢が、山道に陣取る真田の弓隊を敵と誤認。これを殲滅してしまうという悲劇も起こっている(要するにスタック制限を自発的に超過し、味方ユニットを自滅させたということ)。
現時点で豊臣方の損害は51ユニット、北条側の損害は36ユニットである。

第12Turn

大道寺勢、前田勢が相次いで高丸に進出したものの、二の丸からの集中砲火を浴びて壊滅。唯一依田勢が城の背後である駒冷やし場に進出して本丸を伺う姿勢である。しかしその依田隊にしても、あと1Turnで本丸にたどり着くことは不可能である。この時点で豊臣勢は勝利を諦め、八王子城攻城戦は北条方の勝利に終わった。
現時点で豊臣方の損害は57ユニット、北条側の損害は40ユニットである。

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感想

まずは両軍の残存兵力(ユニット数)について見てみたい。

 ・前田:18 --> 5
 ・上杉:21 --> 10
 ・大道寺:20 --> 6
 ・真田:15 --> 0
 ・依井:8 --> 4
 ・北条:49 --> 9

言うまでもなく一番損害が大きいのは北条勢である。しかし豊臣方もまた壮絶な状況である。真田隊は文字通り全滅、前田隊も損害率が70%以上に達している。逆に損害が小さいのが依井隊と上杉隊。依井隊は元々の兵力が少ないので兵力が温存された感がある。また上杉隊は兵力こそ大きいものの、雑兵が多いため間道を通れずに前線に着けなかった兵が多かった。
豊臣方の敗因は、北方に回す兵が少なすぎたことだろう。例えば上杉勢の半数程度を北方に回し、依田勢の後詰に投入していれば、北から攻めることも可能であった。北からの進入路は敵の火線が少なく、射撃によって壊滅するリスクが少ないという利点もある。逆に今回のプレイで明らかになったように、二の丸、三の丸に布陣する北条方の射撃部隊は極めて強力なので、その突破は困難を極めるということも今回の戦いで確認できた。

いずれにしても「八王子城攻城戦」は面白い。これが厳密な攻城戦のシミュレーションか、と言われると、やや怪しい部分もある(ユニット数の違いなど)が、攻城戦の混乱した状況や凄惨さが上手く表現されている。それに攻城側が「勝てそうで勝てない」ので、ソロプレイでも良いから城が落ちるまでやってみたい、と思わせてくれるものがある。私自身、次回こそ城を攻め落としたいと考える今日この頃である。

プレイ中に豊臣方の有力武将(前田利家や上杉景勝)がバタバタと除去され、記事の中で「討死」と表現したが、シミュレーションとしてみた場合は「討死」とは考えない方がそれっぽい。ゲーム上で除去された豊臣方のユニットは、兵力の3割を失って戦闘継続能力を失ったか、有力な侍大将が負傷して継戦意欲を喪失したとみるのが正しいと思う。まあ記事としては「討死」とした方が派手派手で良いのだけれど・・・。
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