How Carrier Fought

Lars Celander  CASEMATE

とにかく素晴らしい。空母戦について興味がある御仁にとっては必読書といって良い程である。目次を拾ってみると、

 (1) Carrier Operations
 (2) Carrier Battles of World War II
 (3) The Art and Evolution of Carrier Operation

の3部構成となっている。
本書の価値を理解するには、読んでいただくのが一番なのだが、例えば開戦時全体の僅か20%だった艦載戦闘機が、終戦時に80%以上にまで膨れ上がったのはなぜか?。あるいは、飛行甲板の広さが大して違わない日米の空母が、なぜ同時発進数に大きな違いがあるのか(カタパルトも1要因ではあるが、それだけではない)。ボフォース40mm機関砲とVT信管装備の5インチ両用砲はどちらが対空火器として威力が大きかったのか。F4Fワイルドキャットに対する米海軍の評価はどのような内容だったのか。彼らは零戦とワイルドキャットの違いをどのように評価していたのか。真珠湾攻撃におけるドッグや石油タンクに対する攻撃実施は決定的な要因足り得たのか。1942年には既に復活していた米旧式戦艦群の活動が不活発であった真の理由は何か。等々。
本書は空母戦における事実や筆者の見解を羅列しているだけの著作なのだが、とにかく面白い。英文にも関わらずこれほど面白い空母戦の書籍は日本語でも殆ど(あるいは全く)類を見ないだろう。
繰り返すが、空母戦好きなら必読書と言って良い。

お奨め度★★★★★

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