MBTはGMT社が2016年に発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1987年の西ヨーロッパを想定した戦車戦闘。いわゆる「1987年、ソ連軍が西ドイツに侵攻を開始、その時NATOは」的な仮想戦である。 ゲームシステムやスケールについては、既に何度か紹介済であるので省略する。基本的には車両1両、砲1門(又は砲兵中隊(盤外砲兵))、歩兵は班~分隊クラスのスケールで登場する。
今回紹介するシナリオ10「Forced Crossing」は、MBTの中でも最も規模の大きいシナリオである。今回はVASSALによるソロプレイである。
前回まで-->こちら
8Turn
またもや主導権はソ連軍である。1両のブラッドレーがBMP-1Pの対戦車ミサイルを受けて爆発炎上する。別のブラッドレーはT-72の125mm徹甲弾を受けて擱坐する。これでブラッドレーの損害は5両に達した。無傷で残るブラッドレーは残り2両。他にエイブラムス2両が戦闘可能である。現時点で米軍は、1両のエイブラムス、5両のブラッドレー、2両のM901対戦車車両を失った。残っているのは、エイブラムス2両、ブラッドレー3両(内1両は車体損傷)で、M901はゼロである。
対するソ連軍は、戦車8両(T-72BA 7両、T-64BV 1両)、歩兵戦闘車(BMP-1P/2)3両を失った。残っているのは、戦車12両、歩兵戦闘車7両である。損害自体はソ連側の方が大きかったが、兵力比はソ連軍有利に傾いている。今こそ突破のチャンスだ。
9Turn
久しぶりに米軍が主導権を取った。距離800mのブラッドレーから発射されたTOW-2対戦車ミサイルがT-72BA戦車の車体後面に命中。被弾したT-72は爆発炎上する。またM1A1エイブラムスは距離500mからT-64BVに対して直接射撃を行い、これを撃破していた。ソ連軍は装甲の強固なエイブラムスを撃破すべく自軍戦車をエイブラムスの左右に展開せしめた。10Turn
今回も米軍が主導権を握った。距離約2kmの遠距離から放たれたM2A1ブラッドレーのTOW2対戦車ミサイルがT-72BA戦車の後面を直撃し、そのT-72は爆発炎上する。またM1A1エイブラムスは距離500mから行進間射撃をT-64BVに対して行い、これを炎上させていた。さらに前進してきたT-64BV戦車の正面400mからブラッドレーがTOW2対戦車ミサイルを発射。それがT-64の履帯に命中し、T-64は走行不能となる(乗員は戦車を放棄)。ソ連軍も負けてはいない。BMP-2が行進間射撃で対戦車ミサイルを発射。発射されたAT-5「スパンドレル」はブラッドレーの車体正面を直撃し、内部で爆発。ブラッドレーは爆発炎上した。さらに距離500mからM1A1エイブラムスに対して行進間射撃を実施したT-72BAの125mmAPFSDS弾がエイブラムスの車体正面を直撃。重装甲を誇るエイブラムスであっても、この近距離からの直撃には耐えられなかった。エイブラムスは爆発炎上する。
現時点で米軍に残った機甲兵力はM1A1エイブラムス1両(2両損失)、M2A1ブラッドレー2両(6両損失)の計3両のみ。ソ連軍も多大な損害を被ってはいたが、それでも戦車7両(T-72BA 3両、T-64BV 4両)、歩兵戦闘車BMP-1P/2が計7両残っていた。勇敢に戦った米軍部隊であったが、その抵抗は限界に達しつつあった。そしてソ連軍の一部が遂に攻撃目標である中央の村落"Charlie-5"に突入した。
11Turn
ソ連側が主導権を取り返した。戦車砲の直撃を受けてブラッドレー1両が撃破される。これで残るのはブラッドレー1両とエイブラムス1両のみとなった。ソ連軍主力が村落"Charlie-5"に近づいていく。12Turn
またもやソ連軍が主導権を握った。BMP-2の放った対戦車ミサイルがブラッドレーの砲塔に直撃。そのブラッドレーは砲手が負傷したものの、奇跡的に撃破は免れた。しかし米軍最後の生き残り機甲戦力であるエイブラムス、ブラッドレー各1両に対し、ソ連軍は各種戦闘車両7両で包囲しつつあった。13Turn
米軍にとって頼みの綱は増援部隊である。しかしその増援部隊はまだ来ない。そして主導権はまたもやソ連軍が握った。T-72BAの125mm徹甲弾が距離1300mからM1A1エイブラムスの砲塔前面を直撃した。しかしエイブラムスの重装甲は辛うじてその一撃に耐えた。その200m左では、最後に残っていたブラッドレーが戦車砲の直撃を受けて四散する。先に被弾しながらも耐えたエイブラムスは、自らを撃ったT-72BAを発見。120mm徹甲弾で反撃した。その一撃がT-72BAの砲塔前面に命中。砲塔を吹き飛ばした120mm徹甲弾は、その勢いのままT-72BAの車内で爆発し、同車を炎上させた。
14Turn
遂に米軍の増援部隊が到着した。戦車8両、歩兵戦闘車5両、ヘリコプター5機と随伴の歩兵部隊からなる機甲戦闘部隊だ。ソ連軍は米軍の増援部隊を阻止すべく布陣をしく。対空火器は空を睨み、接近するヘリコプターに狙いをつける。15Turn
またもやソ連軍が主導権を取った。しかしそのこととは関係なく戦場に到達したAH-1F攻撃ヘリコプターが、TOW-2対戦車ミサイルを発射した。直撃を受けたBMP-2歩兵戦闘車が爆発炎上する。対空射撃可能な30mm機関砲を装備するBMP-2は、攻撃ヘリにとって厄介な目標なのだ。さらにAH-1Fは前進中のT-64BVに対してもう1発のTOW-2を発射したが、ミサイルは目標を逸れた。先制射撃を実施したソ連軍。距離900mからT-64BVからの主砲射撃を受けたM1A1エイブラムスが車体側面に命中弾を受けた。エイブラムスは爆発炎上する。
"Charlie-5"に向けて前進中の米軍部隊がソ連軍歩兵の待ち伏せ攻撃を受けた。AT-4 "Spigot"対戦車ミサイルが先頭を走るM2A1ブラッドレーを直撃。ブラッドレーは爆発炎上し、乗車していた歩兵分隊も運命を共にした。残った米軍機械化歩兵部隊が乗車状態のまま"Charlie-5"の前面200mまで前進し、突撃姿勢を取る。
16Turn
]米軍が主導権を握った。Charlie-5前面では、米軍のFO(前進観測)車両がCharlie-5に対して間接射撃を指向し、町の南で守りを固めていたソ連軍歩兵分隊を制圧した。そこへM2A1ブラッドレーから下車した歩兵分隊2個が突撃。橋を扼する位置に布陣していたソ連軍歩兵分隊を撃破した。戦車同士の撃ち合いでは、主導権を握った米戦車隊が猛威を振るう。M1A1エイブラムスの放った120mm徹甲弾が次々とソ連戦車を粉砕していく。1両のT-64BVは後部車体に120mm徹甲弾を受けて誘爆炎上。別のT-64BVも直撃弾を受けて撃破された。さらにT-64BVがエイブラムスの行進間射撃によって撃破され、BMP-1Pがやはりエイブラムスの射撃を受けて撃破されていた。
ソ連軍はT-64BVが行進間射撃によって1両のエイブラムスの側面に125mm徹甲弾を命中させ、これを大破炎上させた。
(つづく) MBT: The Game of tank-to-tank combat in 1987 Germany MBT-FRG MBT-BAOR JグランドEX世界の戦車全戦力ガイド
コメント