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Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。ご存知の通り、第2次世界大戦から凡そ半世紀に渡って繰り広げられた米ソ両大国による冷戦は、本物の戦争(熱戦)に発展することなく終結を迎えた。従って本作で扱っている東西両陣営による大規模な空中戦闘は発生せず、そういった意味において本作は「仮想戦」ゲームといえる。

今回は、3番目のシナリオ「RS3:First Strike」をプレイしてみた。開戦劈頭におけるWP軍によるNATO前線部隊に対する航空攻撃を扱ったシナリオである。WP側の戦爆連合編隊が最前線のNATO機械化部隊を攻撃。それをNATOの戦闘機と防空ネットワークが迎え撃つシチュエーションだ。このシナリオは、他のシナリオに比べると規模が小さく、それでいて本作による主要登場人物(戦闘機、対地攻撃機、SEAD機、SAM、対空火器など)が一通り登場するので、入門用として適していると考えた。なお、今回はVASSALによるソロプレイである。

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10Turn

BE_F16_Vivier低空侵攻中のMiG-23MLDの攻撃編隊が携行SAMの奇襲攻撃を受けた。危うく回避するMiG-23。
しかしこのMiG編隊の災厄は終わらない。ベルギー空軍のF-16A"Falcon"がこのMiG編隊にドッグファイトを仕掛けてきた。僅か2機のF-16Aだったが、その格闘戦性能は抜群だった。しかも背後からの奇襲に成功している。爆装したMiG-23で敵う相手ではない。瞬く間に2機のMiG-23がAIM-9Lサイドワインダーの直撃により撃墜され、残り2機がサイドワインダーと20mm機関砲の射撃によって撃破された。この戦闘でF-16Aはサイドワインダーを撃ち尽くす。
仇を撃たんと後方から護衛のMiG-23MLD 4機編隊がF-16Aに襲いかかる。しかし運動性に勝るF-16AはMiG-23を翻弄し、20mm機関砲の射撃で1機のMiGを撃墜。別の1機を大破させて撃退した。そしてF-16Aは機関砲弾も撃ち尽くして丸腰になる。
結局このF-16A 2機は、8機のMiG-23MLDと交戦。自ら損害ゼロで3機のMiG-23を撃墜し、3機を撃破するという大戦果を挙げた。低空でのF-16Aは正に「現代の零戦」。無敵のドッグファイターであった。

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ちなみに同じF-16でもF-16Cになると格闘戦能力は寧ろF-16Aよりもやや劣る。搭載するミサイルはF-16AのAIM-9Lに対してF-16CはAIM-9Mと強化されているのだが、格闘戦でミサイル性能の違いはない(と本作では表現されている)。夜間での対地攻撃能力といった「戦闘爆撃機」的な側面ではF-16Cの方が「使える」のだが・・・。AMRAAMが使えればなぁ・・・。本作の扱っている時代ではAMRAAMはまだない。

後方からSEAD任務に就くSu-24M"Fencer C"は、MiG-27Mを狙うHawk地対空ミサイルに対して距離40海里の遠距離からKh-58対レーダーミサイルを発射した。それがHawk部隊に命中し、Hawk部隊は戦闘不能になる。

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11Turn

US_F15_Taco兵装を射耗したF-16Aの編隊が西方へと退く。まだ手数が残っている米空軍のF-15Aが急上昇。高度約20,000ftから正面5海里を飛行するMiG-27Mに対してヘッドオンからAIM-9Lサイドワインダーを発射する。しかしミサイルは目標を逸れて飛び去った。

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12Turn

RU_MiG23_BudarinイベントでNATO側に指揮混乱が発生した。このTurn、NATO側は空対空戦闘を仕掛けることができない。千載一遇の好機を逸したF-15Aの編隊は、一旦高高度まで上昇して再攻撃の機会を伺う。それに対して護衛のMiG-23はF-15Aを追って上昇。距離12.5海里からBVR攻撃を試みるが、パイロットの戦意不足(-3だった)により攻撃は失敗に終わる。
同じ頃、目標上空に近づいてきたSu-17M4”Fitter C"が主攻撃目標であるNATO軍補給廠に対して対人用クラスター爆弾を投下する。目標地点で大爆発。明らかにNATO軍補給廠に重大な損害を与えていた。

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13Turn

UK_Harrier_PostNATOにとってささやかなプレゼントがあった。QRA(Quick Reaction Alert)の戦闘機が緊急増援として登場してきたのである。機種は英空軍の"Harrier GR3"。些か寂しい増援ではあったが、それでも「無いよりはマシ」である。
イニシアチブを取ったWP軍は、近接護衛のMiG-23MLDの編隊で米空軍F-15Aの2機編隊を襲う。しかし"Eagle"は強い強い。自らは全く損害なしで、襲ってきた4機のMiG-23MLDのうち3機を撃墜したのである。ただし彼らの犠牲は無駄ではなかった。F-15部隊が"Disordered"状態となったため、一時的にせよ戦闘不能となったのである。

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RU_Su17_Danilov2つ目のSu-17M4の攻撃編隊が主目標たるNATO補給廠に近づく。Hawk地対空ミサイル部隊が、その"Fitter"を狙ったが、SEAD任務のMiG-27Mに制圧されてSAMを発射できないでいる。そうこうしている間にSu-17Mは目標上空に侵入し、爆撃を完了させた。
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14Turn

低空侵攻中のSu-25"Frogfoot A"が携行式対空ミサイル"Stinger"の攻撃を受けた。1機が被弾して損傷。他の1機がミサイルを回避しようとして爆装を投棄してしまう。

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15Turn

再びNATOのQRAが緊急増援として登場してきた。今回も英空軍の"Harrier GR3"。無いよりはマシ、といった所か。
攻撃を終えたSu-17が翼を翻して帰路につく。それを狙って数発の地対空ミサイルが発射されたが、Su-17は余裕で回避する。
ソ連軍攻撃隊の後続波であるSu-25が目標に近づく。それを待ち構える英空軍のHarrier戦闘機。さらにはその後方のOrbit Pointでは、米空軍のF-15Aが戦意を回復していた。

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16Turn

RU_Su25_SytovSu-25の先行編隊が目標上空に進入し、爆撃を実施する。Su-25が搭載するKMGUは、対装甲車両攻撃に特化された特殊爆弾だ。目標は僅か1両のGepard対空自走砲である。集中爆撃を受けたGepardは跡形もなく四散した。

攻撃を終了したソ連軍編隊に対してNikeやHawkといったSAMが次々と発射された。しかしいずれも惜しい所で外れてしまう。一方、ソ連軍のSEAD機はNATOの囮レーダーに対してARMを発射。しかもそれが悉く外れという悲しい結果に終わった。

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つづく

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