Game Journal 73-沖縄の落日 「沖縄の落日」(以下、本作)は2019年にGame Journal誌73号の付録ゲームとして発売されたシミュレーションゲームで、テーマは太平洋戦争末期の沖縄戦である。海空戦に関するルールもあるが、メインは沖縄における地上戦である。マップには沖縄本島中南部が描かれており、北は嘉手納地区から南は那覇~与那原までは含まれている。沖縄戦前半の主戦場である首里北方の高地隊はほぼ全て含まれている。タイムスケールやマップスケールは不明だが、1Turnが数日、1Hexは数キロといった所だろう。1ユニットは中隊(日本軍)~大隊(米軍)である。
基本システムは移動・戦闘の繰り返しだが、戦闘システムがやや特殊である。まず戦闘の実施は任意だが、戦闘は1スタック対1スタックの形で行われる。ちなみにスタック制限は2枚までで、米軍は「同一連隊のみスタック可という制約がつく。戦闘は射撃力分のダイスを振り、5又は6の目が出ると、敵をステップロス、後退させることができる。射撃戦に生き残ったユニットがいた場合には白兵戦に移る。白兵戦でも白兵戦力の数だけダイスを振り、相手よりも大きい目を出した方が勝ちになる。想像できると思うが、射撃戦では米軍が有利で、白兵戦では日本軍は有利になっている。
もう1つ、本作のシステムで特徴的なものが配属チットシステムである。配属チットには戦車部隊や重擲弾筒、火炎放射器や指揮官等があり、戦闘に重大な影響を及ぼす。例えば火炎放射器は米軍の白兵戦力を飛躍的に向上させるが、狙撃兵で無力化される。このあたりのチットシステムはGJ#9「キエフ攻防戦」等の流れを汲むものである。(ただし細部は微妙に異なる)。

今回、本作を対人戦でプレイしてみた。下名は米軍を担当する。

1Turn

US_1_383R96D序盤でイキナリ攻撃失敗。第1Turnに賀谷支隊の前哨陣地である95高地を攻撃した米軍第96師団がまさかの攻撃失敗。いきなりVPチットを日本軍に渡してしまう。さらに日本軍のカミカゼ特攻機が飛来したが、艦載機の攻撃でこれを撃墜して何とか事なきを得た。

盤上の制高点計16個所には1個ずつPマーカーが置かれる。米軍が制高点を占領すると、そこに配置されているVPチットを取得する。また米軍が新たなVPチットを1個も獲得できなかったTurnには、日本軍が盤上に残っているVPチット1枚を手元に引き取ることができる。米軍に立場からいえば、1度に多くのVPチットをまとめて確保するよりも、1個ずつ1個ずつVPチットを獲得した方が良いことになる。

2Turn

Marker_VP今回は米軍の攻撃が成功し、2個所でVPマーカーをゲットした。1ヵ所は東海岸の久場近くにある165高地。もう1ヵ所は普天間と久場の間に存在する内陸部の無名高地である。
日本軍は菊水特攻隊2枚で反撃を企図したが、B29爆撃隊の絨毯爆撃によって九州各地の日本軍基地が大損害を被ったため(日本軍海空チットを全部除去)、大特攻攻撃は未然に防止された。

写真01


ちなみにB29による爆撃は自軍海空戦turnのみ使用できるので、上記の運用はルール違反である。この後でルール間違いに気づいたが、後の祭りであった。

3Turn

JP_賀谷5_12_63B日本軍は前進防御で前線を守ろうとする。そのため時間稼ぎのために陣地帯の前面に展開していた日本軍ユニット3ユニットが米軍の包囲攻撃を受けて壊滅した。しかし彼らの犠牲のため、米軍はこのTurnにもVPマーカーを獲得できなかった。米軍の最前線は、北谷-島袋-新垣の線に留まっている。

写真02


4Turn

JP_Chit_32cm臼砲連合軍は総攻撃に出て日本軍の両翼を突破した。東海岸では新垣高地の線まで米軍が進出。西海岸では喜友名の線まで米軍が出てきた。
しかしその後日本軍の総攻撃が始まる。移動制限が解除された内山大隊を主力として大規模な反撃が・・・。敵中に突出していた米第96歩兵師団の第383連隊は大損害を被り、計2ユニットを失った。同連隊は事実上戦闘力を失う。

写真03


5Turn

US_Chit_火炎放射器先の日本軍の反撃で予想外の損害を被った米軍部隊であったが、気を取り直して攻撃を行う。中央の高地隊に踏み込んだ米第7歩兵師団は161.8高地を攻撃してこれを占領。先に大損害を被った第96歩兵師団も名無しの高地を占領した。

6Turn

US_Chit_艦載機態勢を立て直した米軍が再び南下攻撃を開始する。米軍の攻撃は順調に推移し、日本軍の主防衛ラインである比屋良川に近づきつつあった。このTurn、日本軍の大規模な航空攻撃が行われたが、米艦載機による迎撃によって事なきを得た。(先のB29に関するルール適用間違いに気づいたのはこの時点である)

写真04


この段階で米軍が獲得したVPマーカーは計6枚。それに対して日本軍は2枚だが、米軍ユニット2個が撃破されているので、実質的には同点であった。

ゲームの勝敗は両軍が獲得したVPマーカーの得点によって決まる。そして撃破された米軍1ユニット1個につき、米軍は自らが確保したVPマーカー1個を(内容を確認せずに)日本軍に渡さなければならない。

7Turn

JP_Chit_夜襲戦場に再び雨が降った。米軍には新たに第27歩兵師団が戦場に到着する。米軍は西海岸の大山付近でVPヘクスを1個占領していた。しかし東海岸では、不用意に突出していた米軍の歩兵大隊(ステップロス中)が日本軍の夜襲を受けて壊滅してしまう。ユニットの損害はVPに直結するだけに米軍にとっては手痛い損害となった。

写真05


8Turn

JP_Chit_大和米軍の猛攻撃。重砲支援2枚の大盤振る舞いで日本軍の陣地帯に襲いかかる。西海岸では米軍は牧港を占領。その内陸部では、我如古付近で比屋良川を渡河した米軍部隊が西原高地の日本軍陣地を占領した。その東方の南上原高原でも142高地が米軍の占領する所となる。
日本海軍は戦艦「大和」を出撃させる。「大和」は米艦載機の攻撃をかいくぐって沖縄近海に突入。米艦隊の猛攻を受けて沈没するまで米軍に無視できない損害を与えていた(+2VP)。
このTurn、再び日本軍夜襲があったが、今回はステップロスを食らわずに後退だけで済んだ。

写真06


9Turn

JP_Chit_攻勢命令日本軍が総攻撃に転じた。日本軍の高級参謀である八原参謀は、無謀だとして総攻撃には反対したが、もはや一人の参謀の意見が通る状況ではなかった。そしてその攻撃は八原参謀が予想した通りの結果に終わった。日本軍の攻撃は各所で米軍の反撃を受けて失敗。攻撃に参加した日本軍の半数以上が失われてしまう。この時点で日本軍の防御ラインは崩壊。勝ち目がないことを悟った日本軍の投了でゲーム終了となった。

写真07


感想

US_Chit_支援砲撃ここまでのプレイ時間は3時間強である。最終turnまでプレイしたとしてもプレイ時間は5時間以内に収まるだろう。比較的手軽にプレイできる作品である。
プレイの経過を見ればわかる通り、大胆な機動で敵中を突破して敵を包囲殲滅する、といった感じの機動戦ゲームではない。それよりもチットを駆使した戦術戦闘の積み重ねで敵を叩きつつジリジリ前進していくタイプのゲームである。射撃戦と白兵戦に分かれた戦闘システムも沖縄戦の実情に良くマッチしたシステムだと感じた。

JP_八原参謀今回は米軍の圧勝に終わったが、必ずしも米軍有利だとは断言できない。B29ルールの適用間違い等ルールミスもあったが、戦い方自体も両プレイヤーとも不慣れであったためにベストプレイには程遠い状態だったということも否定できないだろう。仮に両プレイヤーがベストプレイに近い状態で戦った場合、勝敗は予断を許さない展開になるだろう。

写真08


戦う海兵隊タラワ



Game Journal 77-ガダルカナル Guam, Return to Glory
アメリカ海兵隊の太平洋上陸作戦(下) 沖縄、シュガーローフの戦い 特攻-空母バンカーヒルと二人のカミカゼ 日米史料による特攻作戦全史