2月後半の3連休。茅野市の天気予報は「晴れ時々曇り」。これは「行ける」と判断した私は、雪山装備を整えて出撃。雨降る諏訪温泉に投宿した。

翌朝、予報通り天気は「晴れ」。しかし八ヶ岳の山々には雲がかかっている。快晴とは行かないまでも登山は可能だろう。そう考えた私は宿を出発。茅野駅へ移動し、レンタカーを受け取った。

レンタカー手続きの際に少しゴタゴタがあって予定よりも出発が遅れる。登山口である女神茶屋に着いたのは0900を回っていた。既に駐車場は車で埋まっている。仕方がないので少し離れた場所にある駐車スペースに車を停めた。それにしても日曜日の北八ヶ岳。冬場でもかなりの登山者が入山している様子である。

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装備を整えて出発した頃には0930を回っていた。少し平坦な道を歩いた後、すぐに急登になる。「今年は雪が少ない」という話を上諏訪温泉でも茅野市内でも何度も耳にしたが、この蓼科山では決して雪がないわけではない。登山道は最初から雪道モード。持参したアイゼンを最初から装着する羽目になった。

それでも最初の頃はまだ良い。雪がそれほど積もっていないし、斜度も級ではない。普通の登山と同じく「登りはしんどいね」程度の話で済む筈だった。しかし最初の急登を登り切って2つ目の急登にかかると、足が思うように進まない。斜度がキツイ上に雪が積もっているので、なかなか雪を噛んでくれないのだ。折角踏み込んでも足がズルズルと滑っていく。これはちゃんと雪上歩行技術をマスターしないとダメだな、という思いがかすめる。

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それでも2つ目の急登を過ぎて平坦な道に出ると、目の前に蓼科山の雄大な姿がドーンと。普段なら感動的な光景なのだが、雪上歩行に疲れた足には「えー、まだこんなに登るのぉー?」と愚痴にも似た思いがよぎる。

その最後の登りは標高差約400mの急登。夏山でも結構キツそうだが、冬山の場合は雪上歩行が加わるので難易度や疲労度は一気に跳ね上がる。それでも見様見真似(単独で歩いている高齢女性は足運びがスムーズだ)で雪山歩行らしきものを色々試してみる。ガニマタが滑らないから良いとか、斜めに足を揃えるのが良いとか・・・。そんなこんなで一番楽そうだったのは斜面に蹴りこんで歩くスタイル。これだと足が斜面に食い込んで簡単には滑らない。ただし毎回毎回キックするのは結構疲れる。もっと良い歩き方はないものだろうか・・・。

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そんなことを考えながら、ようやく森林限界にたどり着いたのは1210頃であった。ここから山頂までは標高差50m弱。歩けば10分とかからないだろう。しかし森林限界を超えたとたん猛烈な風が吹いてきた。天候は悪くないが、風が強い。またこちらの装備にピッケルがないのも気になる。下りで進退窮まった時、ピッケルがないのは辛いかもしれない。
そんなこんなで今回は登頂を断念。森林限界から引き返すことにした。ピークを取れなかったのは残念だが、雪山登山の良い練習にはなったと思う。

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帰りは元来た道を引き返す。登っていくときかなりの急斜面だったので「帰りは大丈夫だろうか?」と不安になったが、降りてみると意外とスムーズに降りていける。ストックのアイゼンによる制動効果が感覚的にわかってくると、降りていくのが楽しくなる。勿論急な斜面では慎重に慎重に。また天候が午後から回復傾向になったのも助かる。これが荒れ模様だともっと下山がキツイものになっただろう。
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登山口である駐車場にたどり着いたのは1400少し前であった。登りの所要時間は約2.5時間、下りは約1.5時間で、いずれもコースタイムより30分短い。無論、最後の山頂部分を歩いていないので、あまり自慢できるタイムではないが・・・。とにかく結果的には夏山の場合と左程違わない時間で雪山を往復できたのは成果であった。

今回の感想だが、蓼科山は雪山の中でも「雪山登山の入門編」とされていたので、少し甘く見ていた所があったのは否めない。しかし少なくとも2週間前に登った北横岳に比べると、難易度も負荷も段違いであった。何といっても蓼科山は百名山である。それを夏山コースと同じコースで冬山を歩くわけだから、それなりの負荷は覚悟しておくべきであった。
またピッケルを持たなかったことも反省点であった。モノの本等では「蓼科山は6本爪アイゼンとトレッキングポールで十分」と書かれていたのでそれを鵜呑みにしたが、実際に山を歩く人の半分以上がピッケルを持っていたのには驚いた。使う使わないに関わらず、雪山でピッケルは必需品、と考えた方が良いかもしれない。

他にも色々と反省点のある蓼科登山であったが、本格的な雪山へのステップアップとしては良い経験になったと思う。今回は登頂できなかった山頂部についても、次回は是非制覇してみたい。
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