航空戦史-航空戦から読み解く世界大戦史
古峰文三 イカロス出版
第2次世界大戦(一部WW1に関する記事もあり)における航空戦について、様々な局面や視点から分析した計12篇の小論集である。記事の大半は雑誌「歴史群像」で一度紹介されたものなので、以前に読んだことがある記事が多くを占めている。記事の内訳は、太平洋戦史関連が7本、欧州戦史関連が4本(WW1含む)、技術論が1本となっている。太平洋戦史でも陸軍関係が5本、海軍関係が2本と圧倒的に陸軍関係の記事が多く、著者の興味が日本陸軍航空隊に多く注がれていることが見て取れる。
記事はいずれも読みごたえがあって面白いが、個人的に面白かったのは後半の2本。ノルマンディ戦とアルデンヌ線におけるドイツ空軍の戦いに関する記事だ。ノルマンディ戦やアルデンヌ戦といえば、圧倒的な連合軍の航空兵力に苦しむ精鋭ドイツ装甲部隊というイメージが先行している。ウォーゲームをプレイしていても、ノルマンディ戦やアルデンヌ戦でドイツ空軍が活躍する作品は、私の知る所なきに等しい(え、OCSは違うって?)。しかし筆者によればノルマンディ戦やアルデンヌ戦では大規模なドイツ空軍が活躍しており、連合軍の激しい戦いを繰り広げたとしている。ドイツ空軍がこれらの戦いをどのように戦い、どのように敗れ去ったのか。これらの記事はそれらを明らかにしてくれる。
航空戦に興味のある向きにはお奨めしたい好著である。
お奨め度★★★★
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