
Wings of the Motherland(Clash of Arms)(以下、WotM)は、Fighting Wingsシリーズ(以下、FW)の1作品で、テーマはWW2東部戦線における航空戦である。戦術級の航空戦ゲームで、1Turn=4秒、1Hex=100yd、1ユニットは航空機1機を表す。スケールを見ればわかるが、FWは電脳ゲームを除けば現在入手可能な最も精密なWW2航空戦ゲームといえよう。
WofMが、FWのシステムでWW2東部戦線の航空戦を再現する作品であり、登場する機種は、旧式のI-16から最新型はFw190A-8、Bf109G-14、La-7あたりまで。意外と登場する機体は少ない。本土防空戦で登場する様々な夜戦が登場していないせいもある。
シナリオブックは計120ページ以上という豪華さ。内容も多岐にわたっており、練習シナリオは戦闘機同士の1対1の対決、少数の戦闘機による爆撃機の迎撃、護衛を伴った爆撃機編隊に対する戦闘機による迎撃等、徐々にレベルアップしてくる。さらに地上攻撃シナリオや艦船攻撃シナリオも加わってくる。当然ながらルーデルによる戦艦マラート攻撃シナリオもある。
シナリオブック後半に登場してくるMission Scenarioになると、単なる空中戦や対地/対艦攻撃だけではなく、離陸から進撃、攻撃実施、帰投、着陸までの航空作戦の全てを再現するシナリオになってくる。PQ-17に対する航空攻撃、モスクワに対する独軍の夜間爆撃等に交じって、独ソ開戦初期におけるソ連軍機によるルーマニア港湾に対する攻撃シナリオが面白い。これは所謂「親子飛行機」による攻撃で、TB-3に搭載されたI-16が空中発進してルーマニアのコンスタンツァ港の港湾施設を爆撃するものである。
とにかくルールもシナリオもボリュームがあり、デザイナーであるJ.D.Webster氏の熱意(熱量)をヒシヒシと感じる作品だ。何とか氏の熱量に答えたいと思う今日この頃である。








コメント
コメント一覧 (2)
いつも興味深く拝読しております。
今回も目の保養をありがとうございます!
シナリオブック120ページですか。すごいですね。
同デザイナー氏の作品はシナリオが秀逸ですよね。
まるでショートショートの小説のような。
私のつたない英語力ではぼんやりとしか読み取れないのですが、それでもシナリオを読んで(眺めて(笑))いるだけでも楽しめます。
今作はプレイエイドも凝っているそうですし(飛行機の機動を図示しているとか)。
ところで、釈迦に説法かとは存じますが、「203の勝利」(ヘルムート・リッペルト著/フジ出版社)は元独戦闘機パイロットの著者が東部戦線を戦い抜いた手記で、WoMの副読本にお勧めかと思います。すでにご存じかもしれませんが。
WoMのリプレイや詳細な紹介など、続編記事を期待しております。
もりつち
が
しました