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「戦略級銀英伝」は1995年に旧Game Journal40号の付録ゲームとして発表された作品である。この「戦略級銀英伝」をVASSALで通信対戦してみましょう、ということになり、練習も兼ねてソロプレイしてみた。

実はAARを仕上げた後に気づいたのですが、戦闘ルールに重大なミスがありました。近距離を距離0のみと思い込み(実際には0~1が近距離)、戦艦を過大評価、空母を過小評価をしております。正しいルールでプレイすると、戦艦が一度懐に飛び込まれると、殆ど対象不能になるのですが、そのことを誤解しておりました。以下の駄文はそのつもりでお読み下さい。

ここまでの展開 --> こちら

第18Turn(UC800/RC491:4-6月)

メルカッツA帝国の艦隊は、遂に自由惑星同盟の首都星であるハイネセンと目と鼻の先にあるエリューセラ星域に迫った。またライガール星系に進出してきたケンプ大将(2-1-1★★)麾下の第12艦隊を新たに同盟軍指揮官となったメルカッツ提督(1-3-2★)の艦隊が迎え撃つ。兵力で勝るケンプと老練なメルカッツの対決。しかし戦いはあっさりと決着がつき、メルカッツ艦隊は1発も反撃しないままケンプ艦隊の砲火によって壊滅した。
同盟本土に迫る危機に対し、同盟側で使える戦力はヤンの第1艦隊とアッテンボローの第2艦隊のみ。ヤンはエリューセラ、アッテンボローはライガールへ出撃。帝国軍はヤン、アッテンボローとの直接対決は避け、両星系は同盟軍が奪回した。

第19Turn(UC800/RC491:7-9月)

ミッターマイヤーB帝国軍はアスターテ、ジャムシードの2星系に進出してきた。主力はアスターテ星系へ進出してきた帝国艦隊で、最高司令官であるラインハルト自らが率いる親衛艦隊と、新たに元帥に昇進したミッターマイヤー(2-2-2★★★)指揮下の第4艦隊が含まれていた。それに対して自由惑星同盟は、唯一の艦隊戦力ともいうべきヤンの第1艦隊とアッテンボローの第2艦隊をアスターテに向かわせた。第2次アスターテ会戦である。
この戦いは帝国、同盟の双方にとって凄惨なものとなった。まず帝国のミッターマイヤー艦隊と同盟のアッテンボロー艦隊が激突する。指揮官としての能力は両者互角であったが、兵力に勝るミッターマイヤー艦隊が終始戦いを有利に進めた。ミッターマイヤー艦隊は僅か1ユニットを失っただけでアッテンボロー艦隊を壊滅させたのである。
続いてミッターマイヤー艦隊を迎え撃ったのがヤン・ウェンリー率いる同盟第1艦隊。兵力では僅かにミッターマイヤー艦隊が勝っていたが、さすがにヤンは強かった。ヤン艦隊は2ユニットを失ったものの、ミッターマイヤー艦隊を完膚なきまで撃破したのである。ミッターマイヤー元帥自身も重傷を負い、その後1年以上病院のベッドで過ごすことになり、遂に終戦まで戦列に復帰することはなかった。
そして満を持して登場したのがラインハルトの艦隊だ。先のミッターマイヤーの戦いで戦艦2ユニットを失ったことがヤン艦隊にとっては致命傷となった。もし戦艦だけで6ユニットそろえていたなら、数で勝るラインハルトをも撃破し得た可能性もあったのだが・・・。
それでもヤンは強かった。ラインハルト艦隊の戦艦3ユニットを撃破し、ラインハルト自身に冷や汗をかかせる場面もあった。しかし所詮は多勢に無勢。最後は数に勝るラインハルト艦隊に包囲され、ヤン艦隊は壊滅した。ヤン提督自身も旗艦「ヒューペリオン」と運命を共にした。

Turn18a


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第20Turn(UC800/RC491:10-12月)

ビュコックB再びエリューセラ星域に侵攻してきた帝国軍に対し、同盟軍は昇進したビュコック大将(1-3-2★★★)率いる最後の艦隊をエリューセラ星系に出撃させた。エリューセラ星系で帝国軍の若き将軍ミュラー大将と同盟軍の老練ビュコック大将の対決である。艦隊のすべてを空母にそろえたミュラー空母艦隊に対し、ビュコック艦隊は各種艦艇の混成である。また兵力自体もミュラー艦隊の方が僅かだが多かった。
結果はあまりに残酷であった。ミュラー艦隊の統一された戦闘指揮に対してビュコック艦隊は成す術もなかったミュラー艦隊は1艦も失うことなくビュコック艦隊を壊滅させ、エリューセラ星系の戦いは帝国軍の完勝に終わった。

Turn20a


この戦いから3ヶ月。帝国軍ミュラー大将の艦隊が自由惑星同盟の首都星ハイネセンに侵攻した。その時同盟側に迎撃する艦隊はなく、自由惑星同盟は帝国軍に対して無条件降伏するしかなかった。

写真08


感想

今回は結構長期戦になったが、実際には短期戦で終わることが多いように思う。とにかく指揮官の能力が重要で、艦隊戦もギャンブル性が大きい。帝国側でラインハルトが戦死すればサドンデスになるし、そうではなくてもラインハルトやヤンが早期に退場すれば、相手側のフリーランに近い状態になる。同盟側にとってヤンが戦死しても負けることはないが、プレイヤーとしては「もうやめましょう」という状態になるだろう。
ちなみに今回のプレイでキルヒアイスが暗殺されなかったのは、ルールを忘れていたわけではなく、"1"の目が出なかっただけです。

ゲームシステムはシンプルで面白く、艦隊戦闘も艦種別の能力に違いがあって面白い。最初にプレイしたときに「役立たず」だと思われた空母についても、ミュラーやビュコックのように防御修正の大きい指揮官が指揮すると使えることがわかった。また相手の艦隊編成に合わせて自軍艦隊の編成を考えるのも面白い。まあ毎回毎回戦術ディスプレイに艦艇ユニットを移すのが面倒といえば面倒だが・・・。
ちょっとした時間があるときに軽くプレイするゲームとしては最適であり、銀英伝に興味があればプレイして損はないと思う。如何せん前世紀(なんと1995年の作品である)に発表された作品であり、現在では入手ほぼ不可能。再販の可能性も皆無(版権の問題があるので)と思われるが、このまま埋もれておくには惜しい作品であることは確かだ。

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