Battle_of_Narvik


欧州海域戦 第1次ナルヴィク沖海戦は、1940年4月10日、ノルウェー侵攻作戦を開始したドイツ海軍とそれに対抗する英海軍が、ノルウェー北部ナルヴィク沖で激突した戦いである。ドイツ軍の兵力は駆逐艦10隻、英海軍は駆逐艦5隻が対決。双方2隻ずつが沈み、ドイツ側により多くの損傷艦を出した。このバレンツ海海戦を「欧州海域戦」( 「ソロモン夜襲戦」 の欧州戦線版)でシナリオ化してみたい。

状況

この戦いの特異性は、フィヨルドの中で戦われたということだ。フィヨルドというのはご存じの通り、氷河の浸食によって作られた狭い入り江のこと。一応海なのだが、見ようによっては「大きい川」のようにも見える。「川幅」も数キロなので、調子に乗って走り回ると、浅瀬に乗り上げること請け合いである。こんなところに座礁のリスクが大きい戦艦を突っ込ませるロイヤルネイビーって一体・・・。

フィヨルド地形を再現するため、「ソロモン夜襲戦」と同じ方法でマップ上に海岸線を書いてみた。描いてみると、やはり狭い。「ソロモン夜襲戦」のスケールで描いてみると、単縦陣の艦隊がようやく180度回る余地が残るぐらいである。このような地形で「ソロモン夜襲戦」のシステムが上手く馴染むか、少し不安になる。

Turn00

Turn00a


次に両軍の兵力である。艦の名前をずらずら並べてみてもつまならいので、兵力だけ記す(繰り返しになって恐縮だが)。

・ドイツ軍:駆逐艦10隻
・英軍:駆逐艦5隻

これだけ見ると、ドイツ軍が圧倒的に優勢である。しかもそれだけではない。個艦性能でもドイツ側が英側を凌駕しているのだ。
この海戦に参加したドイツ側の駆逐艦は、1934年型または1936年型と呼ばれるクラスである。また英側の駆逐艦はH級と呼ばれるクラスである。両者の比較を下表に示す。

諸元表


概ねドイツ艦の方が一回り大きく、また武装も強力である。
つまり質量ともにドイツ軍が有利な筈であったが、ドイツ側に不利な要素も含まれていた。
1つは航続距離である。
ドイツ本土からナルヴィクまでの距離と英本土から同地までの距離に大きな差はない。強いてあげるなら、緯度的にやや南に位置しているドイツ本土からの方がスコットランドからの距離に比べるとやや遠いか。逆にドーバー海峡付近からなら英本土の方が遠くなる。いずれにしてもその航行距離に大差はない。
問題は艦そのもの航続距離の方だ。ドイツ艦の場合19ktでの航続距離が1500~2000nm、英艦は15ktで5500nmだ。巡航速度が違うとはいえ、3倍近い差があることになる。そしてそのことが実際の海戦で決定的な要因となった。
ノルウェー軍の抵抗を排除し、ナルヴィクを僅か1日で占領した彼らであったが、その短い航続距離が仇となり、ナルヴィク攻略後における各艦の燃料が殆ど底をついていた。さらに同航していた2隻のタンカーのうち、1隻が撃沈されてしまい、残り1隻という状況になっていた。
燃料不足によって機動力を発揮できないドイツ艦隊。それに対して燃料に(比較的)余裕のある英駆逐艦が襲いかかった、というのが海戦直前の状況である。また攻撃側である英艦隊は敵との交戦を予期していたのに対し、英艦隊の接近を知らないドイツ艦隊は差し迫った危機を予期することは難しかった。


テスト状況

1Turn

昨晩からの吹雪がなおも吹き付ける4月10日のナルヴィク港は、突如砲声に包まれた。ウォーバートン・リー大佐が指揮する英海軍第2駆逐隊がナルヴィク港に停泊するドイツ艦隊に殴り込みをかけたのである。数発の砲弾が在泊中のドイツ駆逐艦に命中した。また英駆逐艦「ハーディ」「ホットスパー」から計8本の魚雷を発射した。

Turn01a


2Turn

英駆逐艦の放った魚雷が次々と目標に命中した。3本の魚雷がドイツ駆逐艦「アントン・シュミット」に魚雷3本が命中。また駆逐艦「ヴィルヘルム・ハイドカンプ」には2本の魚雷が命中する。両艦とも忽ち轟沈する。
駆逐艦「ハーディ」以下の3隻が一旦フィヨルドの奧に向かい、代わって「ハンター」「ホスタイル」の2艦が反転してナルヴィク近海に迫る。ナルヴィク港で唯一無傷で残っていたドイツ駆逐艦「ハンス・リューデマン」が5門の12.7cm砲で反撃する。その1発が英駆逐艦「ハンター」に命中。砲塔電路を切断して同艦を射撃不能にした。

Turn02a


3Turn

先に英駆逐艦が放った魚雷8本がドイツ駆逐艦に命中した。「ディーター・フォン・レーダー 」に1本が命中し、誘爆を起こして轟沈した。「ヘルマン・キュンネ」にも1本が命中したが、こちらはドイツ側にとって幸運にも不発であった。
ヘリヤンクスフィヨルドに待機していたドイツ駆逐艦が出航し、英駆逐艦を追う。

4Turn

濃霧が晴れた。視界が2Hexから5Hexに広がった。攻撃を終えた英艦隊が速度を上げて離脱を図る。後方からそれを追うドイツ艦隊。煙幕を展張する英艦隊に対して、ドイツ駆逐艦が砲撃を開始する。煙幕のため命中率は下がったが、「エーリッヒ・ケルナー」の放った12.7cm砲弾1発が英駆逐艦「ハーディ」に命中。軽微な損害を与えた。

Turn04a


5Turn

単縦陣で逃げる英艦隊の後ろからドイツ駆逐艦が追う。英艦隊最後尾の駆逐艦「ハヴォック」に12.7cm砲弾が命中。同艦も小破した。

6Turn

バランゲンフィヨルドで警戒配備についていたドイツ駆逐艦2隻が出航する。

7Turn

ドイツ駆逐艦が前後から英駆逐艦をはさんだ。ドイツ駆逐艦の全力射撃。しかし惜しいかな、駆逐艦「ホスタイル」に命中弾1発を与えて小破させただけであった。一方英駆逐艦の砲撃でドイツ駆逐艦「ベルント・フォン・アルニム」が命中弾を被り小破する。
英駆逐艦で最後尾を走っている駆逐艦「ハヴォック」が魚雷8本を右舷後方から近づくドイツ駆逐艦に向けて一斉に発射した。

Turn07a


8Turn

「ハヴォック」の放った魚雷1本がドイツ駆逐艦「ヴォルフガング・ツェンカー」に命中する。誘爆を起こした「ツェンカー」は忽ち沈没した。ドイツ駆逐艦も反撃を行い、駆逐艦「ハヴォック」「ハンター」に命中弾があり、両艦とも速度が20ktに低下する。


Turn08a
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感想

テストはいったんここで終了とした。両軍の損害は、ドイツ側が沈没4、中破1、小破2。英側が中破2、小破2であった。英側の圧勝といってよい。 まず問題となったのは、第1Turnの奇襲攻撃の効果。ドイツ側に対応手段が乏しいので、ほぼダイス勝負となってしまう。だからここでの戦果が勝利条件に大きく響いてしまう。
この問題については、例えば最初の奇襲をヒストリカルな結果にして、どの後の結果だけを争うことでよりイーブンなゲームにすることもできる。
が、今回はその方法は採用しないことにした。確かにダイス目で結果が左右されることについては色々な考え方があるだろう。しかしダイスだけで全てが決まるわけではなく、戦い方によってはダイス目を覆すことも不可能ではない(ようにしなければならない)。それにこのシナリオ自体は1~2時間で結果が見えてくる軽いシナリオである。そもそも水上戦ゲームに運の要素は避けられない。だからこの問題は当初のままとする。

もう1点は英軍の奇襲効果を強調しすぎてドイツ軍のCPや主導権が低すぎる。そのためゲーム後半にドイツ軍になってもドイツ軍が有効な反撃を行えないのだ(魚雷すら撃てない)。これはマズイので少し調整したい。また特別ルールの類を見直して、ドイツ側に反撃のチャンスを膨らませるようにしたい。

(つづく)




欧州海域戦 ソロモン夜襲戦 海空戦南太平洋1942 Atlantic Sentinels
大西洋、地中海の戦い イギリス海軍の護衛空母 Struggle For the Middle Sea The Gaeman Fleet At War, 1939-1945