拙ブログで何度か紹介しているが、
「決戦!ア・バオア・クー」
(以下、本作)は、機動戦士「ガ○ダム」における最終決戦であるア・バオア・クー会戦を戦術作戦級で再現したシミュレーションゲームである。1ユニットは中隊規模のモビルスーツ部隊又は数隻の艦船を表す。ガンダム、ジオング等の著名なユニットも当然登場する。
今回、本作のミニシナリオを作成することになった。元々本作は4~6時間程度のプレイ時間を想定していたが、「プレイがやや重い」という指摘を受けることもあった。
「1年戦争最大の宇宙会戦を再現するゲームだからある程度プレイ時間がかかるのはやむをえない」
と開き直ることもできるが、それはそれで芸に乏しい。
そこで2時間程度でプレイできるミニシナリオを作成してみた。内容の骨子は以下の通り。
(1)戦場をSフィールド限定にしてマップとユニット数を半分にする。
(2)ガンダム、ジオングといった両軍の主役メカが確実に登場させる。
(3)Turn数を短くしてゲーム時間を短縮する。具体的には第3Turnからの開始とする。
(4)勝利条件その他を見直す
具体的には、マップは南半分だけを使用。ユニットは通常シナリオの半分としセットアップは同じ。増援はその種類は通常シナリオと同じだが、増援の数は両軍とも毎Turn1個。ジオングは初期戦力に含め、ガンダムは第4Turnに特別増援として確実に登場するようにする。
取り敢えずVASSALでテストプレイしてみた。
ジオン軍が2回続いたので先制攻撃を加える。シャア大佐のジオングがジム中隊を血祭に挙げた他、ジム、ボール、サラミス等、計4ユニットを撃破した。ジオン側の損害はリックドム1ユニットが混乱したのみ。ジオンにとってはまずは順当な勝利である。
このTurn、最初に動いたのは連邦軍だ。ジオンの攻撃が連邦軍左翼に集中しているのを見た連邦軍は、逆に右翼で前進する。連邦軍右翼に面するジオン軍は、ザクを中心とする比較的弱体な部隊しかなかったので瞬く間に撃破され、防衛ラインの一角が食い破られた。
さらに連邦軍のアクション。ガンダムやGファイター、さらにジム、ボールがジオン軍の防衛ラインを突破してアバオアクーに近づく。
最後にジオン軍のアクションである。増援で現れたヴァルヴァロがセイラさんのGファイターに挑む。性能ではヴァルヴァロの方が上であったが、セイラさんは強かった。返り討ちにあったヴァルヴァロは哀れ宇宙の藻屑に。セイラさんのGファイターを弾切れに追い込んだのが関の山であった。
このTurnのアクションチットは、「No Action」「Zion」「EFSF」「Zion」である。前線から急遽転進してきたジオン軍部隊が連邦軍の先鋒に襲いかかる。シャアのジオングやエリートゲルググの攻撃を受けてジムやボールが撃破されていく。しかしガンダムが白兵戦距離にシャアのジオングを捉えた。
「こう近づけば四方からの攻撃は無理だな、シャア」
「なに」
「なぜララァを巻き込んだ。ララァは戦うべき人ではなかった」
「ちいぃー」
小さくつぶやくシャア。しかし次の瞬間、ジオングはガンダムのビームサーベルによって一刀両断にされていた。
このTurnのアクションチットは、「EFSF」「Zion」「No Action」「No Action」である。連邦軍はアバオアクー要塞に近づいているものの、最後の一押しする戦力がない。このTurn、ガンダムは巡洋艦ザンジバルを攻撃したが、7の目を出してしまって大外れであった。
連邦軍の増援は「ザビ家の内乱」。ジオン軍の増援は「補充5」である。ジオンの撃破ユニットは3個なので「補充5」をここで使うのは些か勿体ない。しかし背に腹は代えられないので、ジオンは「補充5」を使って3ユニットを回復させた。
このTurnのアクションチットは、「EFSF」「EFSF」「Zion」「No Action」である。連邦軍はアバオアクー要塞ヘクスに攻撃を加え、パブリク突撃艇による攻撃で遂に要塞1個を陥落させた。これで連邦軍の負けはなくなった(注)。残る1個の要塞を落とせば連邦軍の勝利である。
一方のジオン軍は、残りの全兵力を以て要塞の守りにつかせた。攻撃は一切行わない。コマ数を残して敵に手数を使わせるのが目的だ。
そしてこのTurn、ゲーム終了はなかった。ちなみにこのTurnゲーム終了の可能性は33%である。
(注)このシナリオの勝利条件は、連邦軍が除去した要塞ユニットの数で決まる。0個ならジオン軍の勝利、1個なら引き分け、2個なら連邦軍の勝利だ。
このTurnのアクションチットは、「No Action」「EFSF」「Zion」「Zion」である。連邦軍はこのTurnも最後の要塞を攻めきれず、ジオンの要塞は健在であった。さらにガトル戦爆隊、リックドム部隊、そして戦艦グワジンの砲撃によって連邦軍マゼラン級戦艦3ユニットが一挙に撃沈されてしまった。
そしてこのTurn終了時点でゲーム終了となった。結果は引き分けである。
後で確認してみると、この時点で連邦軍はマゼラン級戦艦の残りが1ユニットになり、ホワイトベースと合わせて大型戦闘艦の残りが僅か2ユニットとなった。対するシオン側はグワジン級戦艦とドロス級空母が各1ユニット残っていた。計2ユニット。ルール5.2項を適用するとジオン側の勝利となる。本シナリオで5.2項を採用するかどうかは未定であったが、導入した方が良いと思う。
今回、ジオン側が拙い戦略を行った。序盤に突出して、連邦軍の突破を許したことである。前に出て守るのは地積を確保するという観点では重要なのだが、前に出すぎて裏を取られると守り切れなくなる。あまり前へ出すぎず、すぐに下がれるように守るべきであった。
今回、「要塞を全て破壊すれば連邦軍の勝利」としたが、この勝利条件だとジオンが1個の要塞の周りにユニットを集めると攻め辛くなる。この手を使われると、隣接ヘクスを「掃除」しない限り隣接ヘクスから要塞を攻撃することが不可能となり、連邦軍の攻撃オプションが少なくなる。そういった意味では勝利条件を少し見直した方が良いかもしれない。
他に今回のシナリオの良かった点として、Gファイターやガンタンクといった通常シナリオでは活躍の機会がない珍兵器を登場させることができる点である。Gファイターは映画版でその存在すら抹殺され、ガンタンクについても陸戦専用機という扱いになってしまった。いずれも「リアル」という観点からは正しい扱いなのだが、この歳になるとファンタジー的な魅力もまた捨て難いと思うので、これらの兵器に活躍の場を与えてやりたかった。
つづく
今回、本作のミニシナリオを作成することになった。元々本作は4~6時間程度のプレイ時間を想定していたが、「プレイがやや重い」という指摘を受けることもあった。
「1年戦争最大の宇宙会戦を再現するゲームだからある程度プレイ時間がかかるのはやむをえない」
と開き直ることもできるが、それはそれで芸に乏しい。
そこで2時間程度でプレイできるミニシナリオを作成してみた。内容の骨子は以下の通り。
(1)戦場をSフィールド限定にしてマップとユニット数を半分にする。
(2)ガンダム、ジオングといった両軍の主役メカが確実に登場させる。
(3)Turn数を短くしてゲーム時間を短縮する。具体的には第3Turnからの開始とする。
(4)勝利条件その他を見直す
具体的には、マップは南半分だけを使用。ユニットは通常シナリオの半分としセットアップは同じ。増援はその種類は通常シナリオと同じだが、増援の数は両軍とも毎Turn1個。ジオングは初期戦力に含め、ガンダムは第4Turnに特別増援として確実に登場するようにする。
取り敢えずVASSALでテストプレイしてみた。
3Turn
アクションチットの引きは「No Action」「Zion」「No Action」「Zion」となった。ジオン軍が2回続いたので先制攻撃を加える。シャア大佐のジオングがジム中隊を血祭に挙げた他、ジム、ボール、サラミス等、計4ユニットを撃破した。ジオン側の損害はリックドム1ユニットが混乱したのみ。ジオンにとってはまずは順当な勝利である。
4Turn
このTurnから増援が登場する。またシナリオ特別ルールによってこのTurn連邦軍は通常の増援の他にRX-78 Gundam(つまり主人公メカのガンダム)を受け取る。 連邦軍は、このRX-78の他、セイラさんのGファイターを増援として受け取った。ジオン軍はMA-06ヴァルヴァロを受け取る。このTurn、最初に動いたのは連邦軍だ。ジオンの攻撃が連邦軍左翼に集中しているのを見た連邦軍は、逆に右翼で前進する。連邦軍右翼に面するジオン軍は、ザクを中心とする比較的弱体な部隊しかなかったので瞬く間に撃破され、防衛ラインの一角が食い破られた。
さらに連邦軍のアクション。ガンダムやGファイター、さらにジム、ボールがジオン軍の防衛ラインを突破してアバオアクーに近づく。
最後にジオン軍のアクションである。増援で現れたヴァルヴァロがセイラさんのGファイターに挑む。性能ではヴァルヴァロの方が上であったが、セイラさんは強かった。返り討ちにあったヴァルヴァロは哀れ宇宙の藻屑に。セイラさんのGファイターを弾切れに追い込んだのが関の山であった。
5Turn
このTurnの増援は両軍とも「増援4」であった。特に危機に瀕しているジオン側は増援部隊をアバオアクー要塞前面の守りに回す。このTurnのアクションチットは、「No Action」「Zion」「EFSF」「Zion」である。前線から急遽転進してきたジオン軍部隊が連邦軍の先鋒に襲いかかる。シャアのジオングやエリートゲルググの攻撃を受けてジムやボールが撃破されていく。しかしガンダムが白兵戦距離にシャアのジオングを捉えた。
「こう近づけば四方からの攻撃は無理だな、シャア」
「なに」
「なぜララァを巻き込んだ。ララァは戦うべき人ではなかった」
「ちいぃー」
小さくつぶやくシャア。しかし次の瞬間、ジオングはガンダムのビームサーベルによって一刀両断にされていた。
6Turn
このTurnの増援、連邦軍がガンダンク、ジオンがザクレロ。両方とも「外れ」に近いが、どちらかといえばジオン側が辛いかもしれない。このTurnのアクションチットは、「EFSF」「Zion」「No Action」「No Action」である。連邦軍はアバオアクー要塞に近づいているものの、最後の一押しする戦力がない。このTurn、ガンダムは巡洋艦ザンジバルを攻撃したが、7の目を出してしまって大外れであった。
7Turn
先のTurn終了時にジオン側は多数のユニットが混乱状態から回復した。これで再びアバオアクー周辺の守りが固くなる。しかもこのTurnからゲーム終了判定が始まる。連邦軍としてはこのTurnに少なくとも要塞ユニットを1個でも潰しておきたい。連邦軍の増援は「ザビ家の内乱」。ジオン軍の増援は「補充5」である。ジオンの撃破ユニットは3個なので「補充5」をここで使うのは些か勿体ない。しかし背に腹は代えられないので、ジオンは「補充5」を使って3ユニットを回復させた。
このTurnのアクションチットは、「EFSF」「EFSF」「Zion」「No Action」である。連邦軍はアバオアクー要塞ヘクスに攻撃を加え、パブリク突撃艇による攻撃で遂に要塞1個を陥落させた。これで連邦軍の負けはなくなった(注)。残る1個の要塞を落とせば連邦軍の勝利である。
一方のジオン軍は、残りの全兵力を以て要塞の守りにつかせた。攻撃は一切行わない。コマ数を残して敵に手数を使わせるのが目的だ。
そしてこのTurn、ゲーム終了はなかった。ちなみにこのTurnゲーム終了の可能性は33%である。
(注)このシナリオの勝利条件は、連邦軍が除去した要塞ユニットの数で決まる。0個ならジオン軍の勝利、1個なら引き分け、2個なら連邦軍の勝利だ。
8Turn
このTurnの増援。連邦軍はRGM-79GS「ジムコマンド」。サウス・バニング中尉率いるエリート部隊だ。対するジオン軍は「補充3」。時間を稼ぎたいジオン軍にとって、コマ数が増えるのは嬉しい。このTurnのアクションチットは、「No Action」「EFSF」「Zion」「Zion」である。連邦軍はこのTurnも最後の要塞を攻めきれず、ジオンの要塞は健在であった。さらにガトル戦爆隊、リックドム部隊、そして戦艦グワジンの砲撃によって連邦軍マゼラン級戦艦3ユニットが一挙に撃沈されてしまった。
そしてこのTurn終了時点でゲーム終了となった。結果は引き分けである。
後で確認してみると、この時点で連邦軍はマゼラン級戦艦の残りが1ユニットになり、ホワイトベースと合わせて大型戦闘艦の残りが僅か2ユニットとなった。対するシオン側はグワジン級戦艦とドロス級空母が各1ユニット残っていた。計2ユニット。ルール5.2項を適用するとジオン側の勝利となる。本シナリオで5.2項を採用するかどうかは未定であったが、導入した方が良いと思う。
感想
プレイ時間は記録時間を含めて約2時間である。非ウォーゲーマーにアピールするにはまだ長いが、通常シナリオに比べればプレイ感覚はかなり軽くできたのではないか。今回、ジオン側が拙い戦略を行った。序盤に突出して、連邦軍の突破を許したことである。前に出て守るのは地積を確保するという観点では重要なのだが、前に出すぎて裏を取られると守り切れなくなる。あまり前へ出すぎず、すぐに下がれるように守るべきであった。
今回、「要塞を全て破壊すれば連邦軍の勝利」としたが、この勝利条件だとジオンが1個の要塞の周りにユニットを集めると攻め辛くなる。この手を使われると、隣接ヘクスを「掃除」しない限り隣接ヘクスから要塞を攻撃することが不可能となり、連邦軍の攻撃オプションが少なくなる。そういった意味では勝利条件を少し見直した方が良いかもしれない。
他に今回のシナリオの良かった点として、Gファイターやガンタンクといった通常シナリオでは活躍の機会がない珍兵器を登場させることができる点である。Gファイターは映画版でその存在すら抹殺され、ガンタンクについても陸戦専用機という扱いになってしまった。いずれも「リアル」という観点からは正しい扱いなのだが、この歳になるとファンタジー的な魅力もまた捨て難いと思うので、これらの兵器に活躍の場を与えてやりたかった。
つづく
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