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「The Datk Sands」(以下、本作)は、2018年に米GMT社から出版されたシミュレーションゲームである。デザインはTed S.Raicerで、1940年から42年までの北アフリカ戦を再現する。

これまでにいくつかのシナリオを紹介してきた。

シナリオ1「コンパス」ソロ
シナリオ3「クルセイダー」ソロ

そこで今回別のシナリオをソロプレイしてみた。
選択したシナリオはシナリオ4「ガザラ」。これは1942年のガザラ攻防戦を描いたシナリオで、枢軸軍はトブルク要塞の奪取とエジプトへ向けての突破を狙う。連合軍の目的はその阻止だ。

では、さっそくやってみよう。

12Turn(1942年5-6月)

ガザラボックスを構えて独軍を待ち構える連合軍に対して、快速を誇るドイツ装甲師団は戦線南翼を突破。反時計回りに動いてトブルク南方の連合軍補給線を遮断する。英軍は激しく反撃し、特に戦車部隊の反撃によってドイツ軍第15装甲師団はその装甲兵力の約75%を失う損害を被った。それでもDAK(ドイツアフリカ軍団)の装甲師団は戦線背後からトブルクに回り込み、その前哨陣地を攻撃した。その過程で前線に残された連合軍数個師団はドイツ軍による包囲下に陥る。

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13Turn(1942年7-8月

先手を取った枢軸軍はトブルクを集中攻撃する。フルスタックしたトブルク要塞は頑強で、戦闘比は1-1しか立たなかったが、それでも装甲シフトのDRM+2が奏功して結果はDR。退路を断たれているトブルク守備隊4個師団はここに壊滅。トブルクは枢軸軍の支配する所となった。
枢軸軍はなおも東に向けて進撃する。キレナイカ南端の戦線弱点部を突破したDAKは海岸へ向けて突進。バルディアに対する低比率攻撃を成功させてバルディアを占領した。これによりキレナイカ東部地区では英軍の歩兵6個旅団、戦車5個旅団が包囲される。Turn終了時には補給を断たれた第30軍団司令部と戦車3個旅団が壊滅した。しかしDAKも第21装甲師団が1個装甲大隊を残して概ね壊滅。第15装甲師団も随伴の擲弾兵連隊が壊滅しており、その突進能力は既に半減していた。

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感想

英軍の損害は戦車7個旅団、その他17個旅団に達し、さらに10個旅団以上が後方連絡線を断たれて壊滅の危機に瀕している。交換比では枢軸軍の大勝利であった。さらに戦略目標であるトブルク、バルディアの攻略にも成功している。
しかしシナリオでの勝者は英軍である。枢軸軍はトブルク、バルディアの占領に加えて、東部マップの村落1つを占領しなければならない。しかし東部マップはハルファヤ峠のさらに12~13ヘクス彼方にある。その向こうにある村落を占領するのは相当困難だ。

今回のプレイでもわかる通り、本作での枢軸軍、特にドイツ軍は極めて強力である。機動力で連合軍を凌駕しているうえ、戦闘でも様々な特典が与えられているのだ。シナリオの場合は勝利条件で調整することも可能だが、果たしてキャンペーンシナリオの場合、両軍の戦闘能力差が全体の流れに悪影響を与えないものか。些かの不安を感じている。

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