「The Datk Sands」(以下、本作)は、2018年に米GMT社から出版されたシミュレーションゲームである。デザインはTed S.Raicerで、1940年から42年までの北アフリカ戦を再現する。
これまでにいくつかのシナリオを紹介してきた。
シナリオ1「コンパス」ソロ
シナリオ3「クルセイダー」ソロ
シナリオ4「ガザラ」ソロ
本作はソロプレイではなく、初めて対戦プレイに挑戦する。シナリオはキャンペーンシナリオ。ただし本来のキャンペーンシナリオとは異なり、シナリオ開始時点を第3Turn、すなわち1941年3月より開始することとした。これはドイツ軍が初めて北アフリカに上陸した時点である。下名は連合軍を担当した。
3Turn(1941年3-4月)
ロンメルが北アフリカに登場した。ここから新たな伝説は始まるのか・・・。ドイツ軍が進撃を開始する。西リビアを守る英軍は、独軍の反撃を恐れて東リビア、トブルク周辺に向けて撤退する。
4Turn(1941年5-6月)
ドイツ軍トブルク前面に到着した。英軍はトブルク守備隊3個旅団を残して主力はリビア東方、エジプトとの国境線まで後退した。5Turn(1941年7-8月)
ドイツ軍2個装甲師団がトブルク前面に到着した。ドイツ軍は二手に分かれて1個師団がさらに東進。エジプト国境付近の要塞バルディアを陥落せしめた。。英軍はエジプト国境付近のハルファヤ峠周辺に布陣して様子を伺う。7Turn(1941年10月)
ドイツの装甲師団は少し後退し、代わりにイタリア軍のアリエテ師団がバルディア要塞に入った。8Turn(1941年11月)
史実ではクルセーダー作戦が行われた時期になる。英軍はハルファヤ峠付近で反撃を開始した。ドイツ軍の側面を守る2-2-10の装甲車を包囲攻撃し、これを殲滅した。9Turn(1941年12月)
ハルファヤ峠付近で激しい叩き合いになる。英軍は低比率攻撃を繰り返し、自らは多大な損害を被りながらも、ドイツ軍第21装甲師団の半数を撃破した。10Turn(1942年1-2月)
英軍の圧力に抗しかねる形でドイツ軍は部分的に後退を開始。バルディア要塞もドイツ軍は一旦手放した。英軍はそれを追うも、急激な突出は行わない。へっぴり腰とも思える攻撃を繰り返すのみであった。11Turn(1942年3-4月)
英軍は国境線前方の防御スクリーンを強化するため、主防衛線の前面に歩兵部隊によ防御スクリーンを構築した。独軍はその防御スクリーンに攻撃を仕掛けていく。12Turn(1942年5-6月)
ドイツ軍が再編成を終えて再びソルーム付近に進出してきた。ここで兵力を蓄えた英連邦軍とドイツ・イタリア軍のガチ勝負が始まる。要域バルディアは再び枢軸軍の支配する所になった。またソルームにもドイツ軍が攻撃を実施。ソルーム奪回に成功する。13Turn(1942年7-8月)
ドイツ軍はソルーム南方に迂回しつつ英軍の南翼からの突破を伺う。英軍は戦線を単縦陣に配置し、独軍の突破に備える。また戦線南翼では英軍の数個師団がイタリア軍の側面防衛部隊を包囲した。14Turn(1942年9月)
英軍にモントゴメリー大将が赴任してきた。連合軍は全戦線に渡って総攻撃を加える。低比率攻撃なのでドイツ軍装甲師団に対する戦果は限定的なものであったが、戦線南翼を守るイタリア軍が枢軸軍の弱点である。包囲されたアリエテ師団が大損害を被りながらも後退。同方面のドイツ軍戦線は破れつつあった。感想
全般に動きの少ない展開となった。英軍側の立場から言えば、トブルク周辺を解放する動機付けに弱い。また 前回のシナリオ4「ガザラ」ソロの経験から、英軍が広正面を守ろうとすると機動力に勝るDAKによって補給線を切られて壊滅的な損害を被ることがわかっている。勢い戦線の狭くなるリビア・エジプト国境付近で守ることになるだろう。
枢軸軍の立場から言えば、逆に英軍をキレナイカに引きずり出すためにトブルクに圧力をかけ続けることも必要になるだろう。しかし仮にトブルクが危機に瀕していたとしても英軍がキレナイカに進出することになるかどうかは疑問である。というのも、勝利条件から言えば、トブルクが陥落しても、それだけでは勝利条件に殆ど影響を与えないからだ。やはり英軍をトブルク周辺に引きずり出す何らかの「仕掛け」がない限り、史実のような英軍によるキレナイカ方面への反撃を誘導するのは難しいと思える。
戦術面から言えば、少しテクニカルな面がある。特にチットのカウンティングは必須である。例えば自軍の移動チットが全て出切った状態で相手に複数個の移動チットを残している場合、特にLogisticチットがカップに残っている場合は要注意。補給線を切られて一網打尽にされてしまえは、その時点でゲームオーバーだ。
(実は今回も枢軸側のミスでDAKをまとめて補給切れで全滅させるチャンスがあったが、敢えて見送ったこともあった。理由はいうまでもないだろう)
いずれにしても今回は両プレイヤーとも不慣れであり、ベストプレイとは言い難い状況であった。ベストのプレイであればまた別の展開になる可能性があることも付記しておく。
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